2015年現在でポピュラーなのは、のOnkyo HF Playerと、最近登場したradius Ne PLAYERです。今回Ne PLAYERが大幅なアップデートによりDLNA対応となり、使い道がさらに増えたため簡単に紹介しようと思います。
以前Onkyo HF Playerとradius Ne PLAYERの比較レビューを書きましたが(http://sandalaudio.blogspot.com/2015/04/onkyo-hf-playerradius-neplayer-ios.html)、その当時はまだNe PLAYERが発売開始直後だったため不具合も多く、あえてHF Playerから乗り換える必要は無いかな、という結論になりました。その後Ne PLAYERはいくつかのアップデートを重ねて問題点も解消され、普段使いするのに十分なクオリティになったと思います。
とくに今回幾つかの不具合修正とともにDLNA対応という機能も追加されたため、楽しみが増えました。
Radiusという会社はIT関連アクセサリを展開する日本のメーカーで、個人的な印象ではあまりつかみどころがない、よくわからない会社です。USB充電器やiPhoneアクセサリなど、エレコムっぽい商品を販売する傍ら、高音質でマニアックなUSB DACやイヤホンなども製品ラインナップに含まれています。これらオーディオ関連製品については本気でやっているのかスタッフの趣味なのかいまいち不明瞭なのですが、今回のNe PLAYERも同様に、いきなりOnkyo HF Playerに殴りこみをかけるような突如の登場だったため驚いています。
肝心のDLNA機能についてですが、あっさりと動いたので少々あっけないです。
DLNAについてご存じない方に簡単に説明しますと、DLNA対応のネットワークストレージ(NASハードディスクやメディアサーバなど)であれば、特定のフォルダ(例:「Music」フォルダ)に楽曲ファイルを入れておけば、同じネットワーク内にあるDLNA対応プレイヤーを使ってそれらのファイルを再生することができます。DLNAは奥が深いのでもっと色々な機能があるのですが、今回やろうとしているのは上記の通りです。
今回DLNAサーバとして使ったのはASUSTORのAS-602TというNASで、AirMac Express経由でiPodと同じ無線LANに接続しました。
http://www.asustor.com/product?p_id=8&lan=jpn
各DLNAサーバごとに設定方法は違うので、それぞれの環境で動くかどうかは自己責任ですが、ASUSTORの場合はNASの管理画面でUPnP Media Server 2という機能をインストールするとMusicフォルダにある楽曲が自動的にDLNAでアクセスできるようになりました。
ネットワーク上のDLNAサーバが現れる |
Ne PLAYER上では、iPod内部ストレージの楽曲以外に、ネットワーク上のDLNAサーバを検出する画面が追加されています。先ほど設定したNASのDLNAサーバが起動しているので、無事この画面に表示されています。
ここでサーバを選択すれば、サーバ内の「Music」フォルダから楽曲が選択できます。
192kHz・24bitのアップルロスレスを再生中 |
無事、192kHz・24bitのハイレゾ・アップルロスレス(ALAC)ファイルをDLNA経由で再生出来ています。iPodにUSB DACを接続しているので、ちゃんと192kHzで再生出来ていることが確認できます。
ところで、お気づきになったかもしれませんが、なんとNe PLAYERは横置き画面(ランドスケープ・モード)にも対応しています。まだイコライザー画面などいくつか横置きに対応していない画面もあるのですが、選曲・再生画面は横置き対応です。実はOnkyo HF Playerは縦置き操作のみで横置き画面にできないので、これまで困っていました。
これは意外と重要なのですが、たとえばiPhoneやiPadにUSB DACを接続して、据置のオーディオプレーヤーとして活用する場合などには再生ソフトが横置き対応であればとても便利です。さらに個人的にはオーディオフェアやミーティングなどのデモや試聴機で活用するのに非常に重宝します。
NAS上で見た、再生中のネットワーク帯域使用率 |
DLNAなどネットワーク経由でオーディオを再生する場合に一番気になるのが音飛びですが、今回192kHz・24bitのアップルロスレスを再生している際にAS-602T NAS上のステータスグラフを確認してみたところ、だいたい1MB/sくらいを使っています。これくらいのサンプルレートだとビットレート換算で大体4,500kbps(0.56MB/s)くらいなので、DLNAで送信する際にけっこうなオーバーヘッドがあるようです。
802.11n以上であればほぼ問題ないですが、安定した接続であれば802.11gなどでも大丈夫そうです。もちろん同じ無線LANでほかに大きな転送やダウンロードなどを行なっていれば帯域不足で音飛びします。
ちなみに今回はアップルロスレスですが、WAVやAIFFではデータ量が多いので帯域確保が厳しくなります。高性能なDLNAサーバであればリアルタイムでFLAC変換(トランスコード)などしてくれる機能などもあるかもしれません。
DLNAを活用するにあたって幾つか注意点があります。まず選曲する画面は基本的にフォルダ階層表示なので、アルバムやアーティストなどのタグ情報は使えません。この場合、利用しているDLNAサーバによって色々な小細工があるかもしれません。今回使ったASUSTOR NASではタグ情報によるリンク(ダミーフォルダ)が生成されています。
また、DLNAサーバは基本的にWAV、AIFF、FLAC、ALAC、MP3など一般的な音楽ファイルのみを認識するため、たとえばDSFやDFFなどのDSDファイルはたとえ「Music」フォルダに入っていても無視されてしまいます。バッファローやJRiverなどのように独自方法でDSDをサポートしている装置もありますが一般的ではありません。
このように使い方に制限はありますが、DLNA対応になったことでNe PLAYERの活用範囲が広がりました。
iPhoneやiPodなどのiOS機器は、AndroidのようにマイクロSDカードを使えないため内蔵ストレージの容量に制限がありますが、DLNAで外付けハードディスクを接続しておけば、ほぼ無尽蔵の音源にアクセスすることができます。しかもNe PLAYERですので、ほかの一般的なDLNA再生アプリと違い、Lightningケーブル経由でUSB DACを接続して高音質で音楽を再生できます。今回私はOppo HA-2を接続して使いましたが、そもそもradius謹製の最近発売されたAL-LCH91Wなんかも実用的かもしれません。
http://www.radius.co.jp/HeadphonesAudio/tabid/202/ctid/317/pdid/gen000000000000359/Default.aspx
外出先でも、たとえばバッテリ駆動の2.5インチ無線ハードディスクなどでDLNA対応のものを使えば、かなり大容量の音楽ライブラリを携帯できます。
さらに言えば、iOSの一番の問題はハイレゾ音源を手軽に転送・管理することができない事ですが(毎回iTunesのアプリ画面からフォルダ転送する必要があります)、ハイレゾ音源をDLNAサーバーに入れておけば毎回iTunes経由で内蔵ストレージに転送する手間が省けるので、とても便利です。
わざわざ専用のNASを買わなくても、PLEXやXBMCなど、パソコン上で稼働させる無料のDLNAサーバソフトもあるので、家庭の無線LANを使って色々と実験してみるのも面白いと思います。