オーストリアの老舗ヘッドホンメーカーAKGの新世代フラッグシップ・ヘッドホン、K812のレビューです。
K812 |
2014年2月発売当時の定価は16万円という最高級モデルで、ドイツのゼンハイザーHD800やベイヤーダイナミックT1と肩を並べる、新世代の開放型スタジオモニターヘッドホンです。
2015年には円安の影響で176,000円へ値上がりする価格改定がありましたが、2015年8月現在では店頭販売価格が12万円台で安定しているので、そろそろ手を出してみようと思っている人も多いのではないでしょうか。
今回は三回に記事を分けて、手持ちのK812、HD800、T1の三機種を比較してみようと思います。
↓ ゼンハイザー HD800のレビューはこちら
http://sandalaudio.blogspot.com/2015/08/hd800.html
↓ ベイヤーダイナミックT1のレビューはこちら
http://sandalaudio.blogspot.com/2015/08/t1.html
↓ 三機種の音質比較はこちら
http://sandalaudio.blogspot.com/2015/08/hd800t1akg-k812.html
AKGのロングセラー K701 |
AKGというと、これまで開放型ヘッドホンの「K701」シリーズがフラッグシップ機として君臨しており、K701→K702→K712といった感じに数年ごとのマイナーチェンジを経て進化してきました。
そもそもの原点であるK500 |
もとを辿れば、1992年発売のK500ヘッドホンを源流にK501、K601、K701といった系譜だったため、今回さらに上位のK812が登場するのも自然な流れとも言えます。
K701シリーズはAKGのフラッグシップ・ヘッドホンとはいっても5万円以下のクラスであるため、近年における10万円以上のハイエンド機と比較するとワンランク下の位置付けになってしまいます。そのため今回それらハイエンド機とタメを張れるK812が登場することになったのはAKGファンにとって待望の出来事です。
なお、現在AKG社はハーマン・グループという大企業の一事業として存在しており(JBLも同じ系列会社です)、「コンシューマ向けヘッドホン」と「プロフェッショナル(スタジオ)用ヘッドホン」での住み分けを明確にしています。たとえば似たようなデザインでもK702がコンシューマ機で、K712がプロフェッショナル機です。そういった事情から、今回のK812はプロフェッショナル用モデルに区分されています。(今のところK802といったようなコンシューマ向け商品は存在していません)。
コンシューマ機 プロフェッショナル機 |
ハーマン時代のK702とK712ではヘッドバンドのロゴが違います |
意外と知られていない事ですが、AKGのコンシューマ向けモデルは太文字のフォントで「AKG」と書いてあり、プロフェッショナル用モデルは3つのハートを重ねたようなデザインのロゴになっています(これは録音用マイクのカーディオイド指向性シンボルを表すマークです)。K702とK712を見比べてみれば一目瞭然です。
ハートマークはAKGマイクの指向性に由来します |
K240もプロ用のロゴです |
ちなみに日本での販売も、コンシューマ向けモデルが「ハーマンインターナショナル株式会社」で、プロフェッショナル用モデルが「ヒビノ株式会社」と分かれているため、よくオーディオショウなどでハーマンAKGのブースにはプロ用モデルが展示されていなかったりします。
具体的にコンシューマとプロ用モデルで設計や開発が異なるのかはわかりません(もしかすると、プロ用モデルのほうが出荷前テストが厳密とかかもしれません)。最近はどんなヘッドホンでも手に入るヘッドホン専門店があるので混同されがちですが、一般的にはオーディオショップで販売されているのがコンシューマ向けモデルで、楽器店で販売されるのがプロ用モデルです。
AKGは「Akustische und Kino-Geräte社」の略称で、つまり日本語では「音と映像機器の会社」という意味の単純明快な社名です。日本の音響メーカー「オンキヨー」みたいなものでしょうかね。
AKGはヘッドホンのラインナップ以外では録音用マイクのメーカーとして有名で、とくにヨーロッパの音楽録音やライブでは、ドイツのノイマン社やショップス社などと競い合う大手メーカーです。
我々が聴いている音楽の多くも、実はAKGのマイクによって録音されているかもしれません。アメリカではシュアー社(SHURE)が同じくマイクとヘッドホンで有名ですね。そういった意味では自社のマイクに自信や定評があるメーカーは、それだけヘッドホンにも熱意を注いでいると想像できます。AKGのマイクで録音したアーティストをAKGのヘッドホンで聴くなんて、なんとなくロマンがあると思いませんか。
ヘッドホンマニアでも録音用マイクに興味がある方は少ないかもしれませんが、Youtubeなどに面白い比較試聴がいくつもありますので、ぜひご観覧になってみてください。AKGやシュアーなど名門ヘッドホンブランドのまた新たな一面が見えるかもしれません。
Youtube: AKGなどの低価格から高級マイクへの比較
Youtube: AKGとシュアーの比較(ヘッドホンがK271なのもカッコいいです)
上記動画のように、シュアーなど他社製のマイクと比較するとAKGは全体的に高域の響きが特徴的で、ソロで聴いていると若干刺激的でキツめの音色ですが、多くの楽器が混在しているようなミックスでは各パートごとの音の粒立ちや主張が明瞭で、美しい響きが際立っています。そしてその傾向はAKGのヘッドホンにもあてはまります。
これまでのAKGヘッドホンの特徴は「高域の響きが美しい」「開放的」「端正」といったイメージがあり、とくに高音質なオーケストラ録音やハイレゾ・アコースティックなどに適した、まさに音楽の都ウィーン発祥のメーカーといった印象がありました。
また、低価格帯ではDJ用の密閉型ヘッドホンなども展開していますが、これらも国産メーカーのソニーやパイオニアなどと比較して響きが美しく、俗に「ヨーロッパ的な音色」などと言われたりします。
最近ではBeatsなどの若者向けヘッドホンメーカーに対抗するため、大物プロデューサ「クインシー・ジョーンズ」をイメージキャラに起用したAKG「Q」シリーズも展開しています。ヒップホップの大物プロデューサDr. Dreが牽引しているBeatsと対照的に、モータウンやマイケル・ジャクソンで有名なクインシー・ジョーンズを選ぶところがAKGっぽくて面白いです。(そもそも若者向けで、クインシーの知名度はあるのでしょうか・・・)。
かなり古い話ですが、クインシー・ジョーンズ・プロデュースの1985年マイケル・ジャクソン「We are the World」が世界中で大ヒットした際に、テレビのPVで大物アーティストたちがピカピカと黄金に輝くAKG K240モニターヘッドホンを装着していたことから、一般ユーザーの認知度が上がったと言われています。そう考えるとクインシーとAKGは縁が深いですね。
N90Q |
2015年度末にはN90Qという「Q」シリーズ新フラッグシップモデルも登場するらしいので目が離せません。こちらは「密閉型+DSPノイズキャンセリング」なのでK812とは全くジャンルが異なる高級ヘッドホンになる予定です。
K812
話が逸れましたが、ようするにAKGには高域の美音を重視するK701、K702、K712といったKシリーズと、中低域の量感を増して若者にアピールするQ702などのQシリーズの二系統があるため、今回のK812は新規開発ということでどのような音作りになるのか興味津々でした。蓋を開けてみれば異次元に素晴らしいヘッドホンだったため、余計な心配は一切不要でした。K812の中核となるドライバは、K701シリーズで使用されていた40mm 「Varimotion」 ドライバから一新され、53mmの新設計ユニットに変更されました。
AKG公式サイトによるVarimotion技術の解説 |
AKGが特許を保持しているVarimotion技術とは、一般的な一枚の同じ厚さをもった振動板ではなく、中心と外周で厚さを変えることにより振動時の歪みや捻じれを抑えこむデザインのことです。一般的なドーム型振動板では大口径になるほど空気を押し出す量が増えるため、性能が向上しますが、逆に大きくなりすぎると振動で歪んでしまいます。これを克服するためAKGが考案した技術がVarimotionであり、AKG K141からK240、K271など、ほぼ全価格帯のAKGスタジオモニターヘッドホンで採用されています。
ゼンハイザー公式サイトによるリング・ラジエータの解説 |
一方ゼンハイザーの場合は、HD800にて同じくドーム型振動板の捻じれを抑制するために、新開発のリング・ラジエータを採用しました。つまりドームの中心が柔らかいとねじれるので、ドーナツ状の振動板にすれば、ドーム中心が存在しないから大丈夫、というアイデアです。
AKG公式サイトによるK812のドライバ技術 |
今回AKGはK812を開発するにあたって、従来の40mm Varimotionドライバを基礎としながら、色々な新技術を投入したようです。実際の振動板については「Compound Diaphragm」と書いてあるだけで、材質などについては不明ですが、Varimotionという名称を使っていないので、材質の厚さを変えるのではなく材料そのものを複合材にすることで捻じれを制御しているのかもしれません。53mmというのはかなり大きいですが、一見普通の振動板に見えます。ただし従来の40mmドライバと比較すると、上記の図面では振動板の面積に対してボイスコイル部分が非常に小さいように見えます。
図面をよく見てみると、マグネットの後ろに「エアフロー・ドーム」といったパーツが表示されています。わざわざ解説をつけるくらいですから重要なパーツらしいですが、解説によると、このパーツのおかげで、通常なら歪んでしまう環境でも振動板を制御することができる、とのことです。つまり振動板の歪み問題を、振動板の構造だけでなく、ドーム中心付近の空気の流れを調整することで抑制するといった考えではないでしょうか。
この53mm振動板を動かすコイルはCCAWの二重構造で、軽量ながら強力な駆動力が得られます。そしてその駆動力の中核となるのが1.5テスラという強力なマグネットです。1.5テスラというとK812以外ではFostex TH900が採用していますが、どちらも超高磁束密度で大型ドライバを軽快に駆動しています。
この新設計ドライバのおかげで5Hzから54kHzまでの広大な帯域を低歪みで駆動できるということです。
K812はK712に替わるフラッグシップ・ヘッドホンということで、AKGの母国オーストリア・ウィーンで製造されています。生産コストはかかりますが、お膝元での工場というのは品質管理が行き届いた環境だと思いますので、やはり嬉しいです。(日本人がMade in Japanにこだわるのと同じ感覚ですかね)。
とは言ったものの、このような少量生産の製品では初回ロットでの不具合などが怖いため、私自身はすこし時間を置いてシリアル番号4,000番台のものを購入しました。最初期のロットはネジの締め付けやAKGロゴの接着など結構製造ミスがあったようですが、最近のK812ではそのような話は耳にしません。
実は、実機でまだ確認していないので詳しいことはわかりませんが、2015年中期からのロット(多分シリアル番号10,000以降くらい)はオーストリアからスロバキア製造に変更されたと言われています。(K712でも同じことが昨年起こりました)。
スロバキアだから品質が悪いということは無いと思いますし、実際「オーストリア製」といってもヘッドホンを構成するパーツの全てがウィーンの工場で生産されているわけではないので、どこまで違いがあるかは不明ですが、オーストリアのメーカーなら、なんとなくオーストリア製のほうが気分が良いです。
ちなみに、工場でのK812組み立て風景の公式動画がYoutubeにあります。部品のかなり詳細なディテールが見えるので、非常に参考になります。(とても手作り感があって笑ってしまいます)。
↓ Youtubeの公式動画
化粧箱に製造国が書いてあります |
ボックスの隅に製造国が書いてあるので確認できます。
化粧箱 |
重厚な内箱 |
ヘッドホンと、スタンドが付属しています |
K812の梱包はこれまでのAKGよりも上質で、帯状の化粧箱と内部の厚紙ボックスの二重構造です。内箱のAKGプロフェッショナルのロゴがかっこいいですね。
なんと木製の高級そうなヘッドホンスタンドが同梱されています。よくオーディオショウなどで見かけるスタンドですが、個人的に手に入れるのは初めてのため非常に嬉しいです。このスタンドの正式名称は「Ω(オメガ)スタンド」でSievekingというメーカーのものが元祖です(K812付属のはノーブランドですが、それっぽいです)。単品で10,000円くらいするスタンドなのでありがたいボーナスです。ちなみに中国製のパチモノがeBayで3,000円程度で売っていますが、それなりに質感は悪いようです。
http://www.sieveking-sound.de/equipment/detail/id/16
昔K701に付属していた簡易スタンド |
このように使います |
そういえばK701にもスポンジの簡易スタンドが付属しており、ユーザーのあいだではとても重宝されているのですが、K702からケーブル形状が変わり(着脱式になったため)スタンドが使えず付属されなくなってしまったのが非常に残念です。あのスタンドの改良型を2,000円くらいで販売してくれればK702・K712ユーザーに結構売れると思います。
小冊子に歴史解説があり、K1000が・・ |
開発者のコメントなどが満載です |
付属品は3mケーブルのみで、保証書とパンフレットがついています。パンフレットにはAKGの簡単な歴史や、K812の技術的な解説が記載されています。歴史的機銘器「K1000」の写真があり、懐かしい気持ちになりました。残念ながらK1000は所有していませんが、現在のヘッドホンと比較したらどんな感じなんでしょうかね。
K812開発者のコメントで「AKGは業界一の超スゴイ磁石を開発したんだ(マイケル談)」みたいなことが随所に書いてあるので、若干胡散臭いです。
デザインについて
付属のヘッドホンスタンドは撮影に重宝しますので、今後も使いたいと思います。K812のデザイン |
K812のデザインはK712の直系というわけではなく、それより前の往年のAKGヘッドホンに先祖返りしたようなクラシカルな印象です。とくに黒いグリルや外周の銀のリングは、1980年台の銘器K340やK240 Sextett、そしてスタジオ密閉型の定番K271sを彷彿させます。
正面から見るとAKGらしいプロ用ヘッドホンの風格です |
AKG K712 Proとの比較 |
K712と並べて比べてみると、たしかにAKGらしい面影は残しておきながら、完全新設計という意気込みが感じられる、伝統とイノベーションを融合させた優秀なデザインだと思います。
ハウジングはK712と同様に全周グリルメッシュになっており、密閉されている部分はほぼ存在しません。ソリッドなデザインでありながら、実際手にとってみると反射音などを除外する「完全開放型」を徹底していると納得できます。
メタリックブルーのドライバがうっすらと見えます |
右側にMade in Austriaと書いてあります |
写真ではよく見えませんが、ハウジング内を観察すると内部にメタリックブルーのドライバがあり、隠れたアクセントになっています。また、右側のハンガーにMade in Austriaと書いてあります。写真で「Austria」の上にちょっと見える透明のゴムは、ハンガーの回転機構がぶつかるのを防止するゴムで、良い気配りです。
ヘッドバンドを最長に設定した状態 |
ヘッドバンドを最短にした状態 |
ヘッドバンドは従来のAKGとは一味違うユニークな構造です。K701シリーズのヘッドバンドは悪名高い「コブ」のせいで非常に不快でしたが(Googleで「K701 コブ」を検索して、オーナーの涙ぐましい努力を見てください・・)、年々着々と進化を遂げようやくK712で快適になりましたが、K812ははじめから素晴らしい装着感を達成しています。
二本のプラスチックのアーチの間にレザー+メッシュのクッションが設けてあります。クッション素材はなんとなくフィリップスのFidelio X1・X2と似ています。上下調整はAKG伝統のゴムヒモ方式ではなくクリック式になっており、普段はロックがかかっているため動かないのですが、ヘッドバンドのAKGロゴを押しこむことによりロックが解除されカチカチと上下できるようになる構造です。一旦位置を決めたら勝手に動かないのは嬉しいですが、試聴機などで他人に手渡すときは調整方法を事前に教えないと無理に動かして壊してしまうかもしれません。
調整幅はそこそこありますが、私自身はゼンハイザーなどでは中間ポジションで合わせているのですが、K812では中間より広めに合わせています。つまり頭の大きな人ではギリギリかもしれません。
イヤーパッド内部は非常に広いです。その上にヘッドバンド調整機構が見えます |
素材は非常に柔らかいレザー調のものです |
イヤーパッドはK240のような硬い合皮ではなく、ソニーMDR-Z7などと同様の柔らかく肌触りの良い素材で、とてもユニークな構造になっています。一見普通のレザーパッドに見えるのですが、立体縫製で内部が非常に広く開いています。この開口形状はソニーの高級機Qualia 010とどことなく似ています。
一般的なAKGやベイヤーダイナミックなどのドーナツ型パッドと比較すると、K812は耳の周辺に一切の障害物が無い状態なので開放感は格段に優れていますし、そこそこ側圧はあるにもかかわらず、接触面が広いため全く不快感がありません。5時間装着しつづけても問題ありませんでした。どちらかというとHD800の装着感と似ていますが、K812はレザーのためピタッとした密着感がありズレにくいです。
また、ハウジングの回転機構のおかげで耳の外周に完璧なフィットが得られたので、一旦装着するとヘッドホンが不用意に動きまわらず安定した定位感が得られます。実は個人的にゼンハイザーHD800やベイヤーダイナミックT1ではイヤーパッドの安定感が悪かったため、K812の装着感の良さは大変喜ばしいです。
もともとK712なども大変快適な装着感なのですが、K812ではさらにぴったりと自分の頭と一体化するようなフィットを得られました。
スリムなダイキャストのハンガー |
個人的にK812のデザインで一番気に入っているポイントは、ハウジングのブラックと対照的なグレーのハンガーです。ハンガー部分はダイキャストでできており、ネジ止め箇所やケーブル端子部分の機械的フォルムに感心します。
実際手にとってみるとわかるのですが、このパーツは非常に薄く、もしプラスチックであれば壊れてしまいそうなのですが、金属のしっかりとした剛性を感じます。なんとなく超合金ロボや高級文房具のようなかっこよさがあります。
ハウジングの回転部分はネジとめされた二重のジンバル構造になっており、グレーのハンガーパーツと、シルバーの円形パーツが組み合わさった、精巧な仕上がりです。接触部分にゴムのストッパが付いているのも気が効いています。
見えにくいですが、薄いフラットケーブルがあります |
ケーブルは片出しなのですが、左右のドライバへのケーブルはこのジンバル構造の間に薄いフラットケーブルのようなもので配線されているので、その構造に感心すると同時に、音質や強度について非常に心配になります。
高価な高音質ケーブルなどを主張しているマニアに見せたら悲鳴を上げそうなほど質素で心もとない設計なのですが、これのせいで音質が悪くなっているわけではなさそうです。
ケーブル端子はLEMO規格になりました |
純正ケーブルも業務用っぽいです |
AKG定番の純正ケーブル |
ケーブル自体も、これまでのK240やK712などに採用されていたミニXLR端子は廃止され、新たにLEMO規格という小型端子になりました。ミニXLRと同じく3ピンの共通グランドなのでリケーブルによるバランス化などは無理です。スタジオ用途を考慮して、あえて両出しバランス配線などにしなかったことは、最近のヘッドホンのトレンドから逆行しているようで、プロとして信念の強さを感じます。
LEMO端子はミニXLRの小型版といった感じで、感触的にはゼンハイザーHD800の端子と似ています。HD800の端子はケーブルを引っ張ればそのまま抜けますが、K812のLEMO端子はロックされているためスリーブ部分を引くことでロックが解除されます。
ケーブル自体はあいかわらずAKG定番の細いタイプのもので、以前からK240などで使われていたミニXLR端子ケーブルを単純にLEMO端子に変更しただけのようです。これ自体は悪いものではないので実用上十分ですが、3mは結構長いのでケーブルを自作したい人も多いと思います。LEMO端子は安価で手に入るのですが、それに適合する細いケーブルが必要になります。たとえばIEMのMMCX用ケーブルなんかが良いかもしれません。
音質について
K812の音質についての感想は、ゼンハイザーHD800、ベイヤーダイナミックT1を交えて後続する記事にまとめようと思います。↓ 音質の感想はこちらです
http://sandalaudio.blogspot.com/2015/08/hd800t1akg-k812.html