Hi-X55 |
欧州では2020年3月発売、プロ用アラウンドイヤー密閉型スタジオモニターヘッドホンで、価格は300ユーロだったので、約35,000円くらいでしょうか。
オーストリア製で、旧AKGの流れをくみ、この価格帯では意外と選択肢の少ないスタイルなので、気になって買ってみました。
Austrian Audio
Austrian Audioは2017年末に元AKG社員22人が集まって設立した新しい会社です。日本での代理店はMI7という会社だそうです。今作が初のヘッドホンになるのですが、本社オフィスはオーストリアの旧AKGウィーン本社工場から徒歩10分のところにあります。
AKGはオーストリアで1947年に設立された、高性能マイクロフォンやモニターヘッドホンを製造する業務用機器メーカーですが、1994年にはJBLやマークレビンソンで有名なハーマン・インターナショナル社の傘下に入り、2017年にはサムスン電子の子会社になりました。
こういうのもまだ持ってます |
K712 |
ハーマン傘下に入って、ポータブルオーディオブームと重なったこともあり、コンシューマー向けハイエンドヘッドホンの大手としても急成長しました。代表的なモデルK701シリーズなどは今でもファンが多く、音楽の本場ウィーンというブランドイメージと、その肩書に恥じない繊細な美音が印象的です。私は昔からAKGが好きだったので、ヘッドホンは20台くらい所蔵していますが、K240やK601などの名機は四半世紀経った今聴いても素晴らしいです。
ハーマン時代も製品開発とサポートはウィーンのAKG本社で行い、一部ハイエンドモデルは本社工場で製造、そして成長とともに多くの製造を国外へ移していったのですが、2017年にハーマン・インターナショナル全体がサムスンに買収され、合理化のためウィーンの本社は閉鎖、社員は解雇という事態になってしまいました。
Tuned by AKG |
この時点でほぼ全てのモデルが中国製造に移行し、同じくハーマン傘下だったJBLのコンシューマーヘッドホン事業と統合整理されました。あくまでコンシューマー向けのブランドネームが欲しかったサムスンとしては、わざわざウィーンでのプロフェッショナル向けの新規開発は不要という判断だったのでしょう。直後にSamsungイヤホンやGalaxyタブレットに「Tuned by AKG」ロゴが入るようになったのが象徴的です。
プロフェッショナル機器というのは市場規模が小さく、あまり大きな成長が望めないため、買収の末に名前だけの存在になるというのは、オーディオのみでなくカメラなどでもよくあるパターンです。現在店頭に並んでいるAKGヘッドホンの品質が落ちたというわけではなく、往年の名機を安く買える事はむしろ喜ばしいのですが、新製品はAKGウィーンとは無関係というのがファンとしては残念です。
そんなわけで、数多くの名機を作ってきたAKGウィーン本社工場の敷地は、Google Mapsで見ると更地になって再開発が進んでおり、その現場を窓から見渡せるような距離にAustrian Audioの小さな本社工場があります。
マイクロフォン
ここで一つ忘れてはいけないのは、Austrian Audioの中核となる商品はマイクロフォンであって、ヘッドホンではない、という点です。販売量はヘッドホンの方が多かったかもしれませんが、ライバルも多く、別にAKGでなくともそこまで困る事は無いのですが、マイクロフォンは話が違います。マイクロフォンとヘッドホンは表裏一体、原理や製造に共通点が多いため、AKG、Shure、オーテク、ゼンハイザーなど、マイクを作る会社がヘッドホンもついでに作るケースは多いですし「マイクメーカーが作るヘッドホンは本格派だ」というイメージもなんとなくあります。
ビンテージと現行C12・C414 |
AKGにはC12とC414という伝説的なマイクがあり「過去70年の音楽の歴史における最も重要なマイクは」と聞かれたら、このC12/C414かノイマンU47/67/87かで白熱した議論が繰り広げられるくらい有名です。フレディー・マーキュリーからブルーノ・マーズまで、AKGマイクの愛用者は多いです。
Shure SM58などのようなライブ用マイクではないので、あまり生で見る機会はありませんが、ボーカルやアコースティックギター、グランドピアノなど、生音を美しく録音するためには欠かせない魔法のようなマイクで、数年に一度のペースで細かな改良が施され進化していきました。廉価版のC214・C314などもあり、どれもサムスンの子会社になった現在でも製造販売されています。
マイクロフォンというのは不思議なもので、必ずしも最新モデルが最高というわけでなく、とくにカプセルと呼ばれる振動膜部品が非常に繊細で歩留まりが悪いため、熟練工が組み立て調整したモデルの方が優れているという風潮もあります。そのため一流レコーディングスタジオともなると、ミュージシャンごとに相性の良いマイクを見つけるため複数個揃えたり、ある歌手は絶対このマイクでないと録音しない、というような密接な関係性もあったりします。
現行C414はハンガリーにあるサムスンの最先端ハイテク工場で作られており、コストは大幅に下がり、品質も良好なのですが、ヘッドホンのような受動的な用途と違い、マイクは一旦録音に使ったらその音が後世まで記録されてしまうので、とくに音に敏感なアーティストやエンジニアがオーストリア製ビンテージC12・C414マイクを求めるようになり、中古品の価格が高騰する事になったのは不思議ではありません。
また、往年のAKGは規模が小さく、プロフェッショナルユーザーの問い合わせに対して本社の開発エンジニアや製造工場スタッフが直接対応するといった事も多く、要望がカスタムバリエーション品やマイナーアップデートとして反映されたり、知識を持った現職が不具合対応や原因究明を直接行ったりなど、プロ用らしい柔軟な対応が歓迎されていました。いわゆるコールセンターとは大きな違いです。
このような流れから、ビンテージ品の高騰、出処不明のコピー部品、不良中古品や盗難騒ぎなども問題になったことで、最近は新たにCampbellやLewittなど小規模な手作りマイクメーカーがちらほらと現れるようになり、AKGやノイマン純正から離れるスタジオも増えてきました。それらの新興メーカーは独創的なデザインもありますが、往年の名機の完全手作りレプリカや互換部品といった売り方も多いです。
これはギターアンプに興味がある人は共通点を感じると思います。最新ハイテクデザインよりも、往年の名機の方が「黄金時代の音」に近づき、大手メーカーが合理化でコストを下げるほどユーザーから「音が悪い」と敬遠され、むしろ町工場で手作業で組まれたレプリカモデルの方が求められる、という逆転現象です。
肝心のAustrian Audioですが、設立以来イベントでのインタビューやネット書き込みなどで思惑を語っているところによると、現在のサムスンAKGに関しては一切関与しないし、製造を続けているのは良いことだけれど、製品がビンテージ復刻として扱われたり、プロ業界が価格が高騰している中古やコピー品に依存する状況に対して不満があったようです。
本来であれば、業界最高峰のシリーズとして自分達が開発を進めていくはずが、経営方針によってそれが実現不可能となったので、以前から蓄積していたアイデアを捨てるのはもったいない、という意気込みがあったのだろうと思います。また、往年の大手スタジオの時代とは違い、現在では多くのミュージシャンが自身で録音からプロデュースまで行うことが当たり前になったので、それだけ販売台数も見込めるという期待もあるのでしょう。
OC818・OC18とカプセル |
そしてAustrian Audioから2019年にようやく登場したのがOC818とOC18という、明らかにC414の後継を意識したマイクでした。今後レコーディングに広く採用されるまで真価は不明ですが、価格は本家C414や他社製品よりも割安で、サウンドもドライすぎずボーカルに適した温厚さがあるということで注目を集めています。ただし同時期に他社からも「AKGのエッセンスを継承した」と称するマイクが色々と出ているので、面白い時代になってきました。
Hi-X55
Austrian AudioはまずOC818・OC18というマイクロフォンから店頭に並びはじめましたが、その後2020年1月に世界最大の楽器イベントNAMM Showにてヘッドホンの試作機が並び、3月に販売が始まりました。冒頭で述べたように本命はマイクですが、過去にAKGでヘッドホンに携わってきたスタッフも大勢いるので、内外から復活を望む声も多かったのでしょう。
Hi-X55 |
まず第一号機のHi-X55はダイナミックドライバー搭載のアラウンドイヤー密閉型で、主に楽器店で取り扱うプロフェッショナルスタジオモニターヘッドホンだということです。さらに今後Hi-X50というオンイヤー型も出すそうです。
言ってはなんですが、見ればわかるとおり、デザイン自体は何の変哲もない、ごく一般的なモニターヘッドホンといった感じで、これといって奇抜な点はありません。
たとえば、旧AKG K1000の開発に関わっていたエンジニアが別に独立して立ち上げたLB AcousticsのMySphereとかみたいな破天荒なインパクトはありませんし、あちらの70万円に対して、こちらは5万円以下と常識的で、極めて実用的で真面目そうな商品です。
Made in Austria |
ヘッドバンド内部に書いてあるとおり、Made in Austriaということです。
オーストリア製だから音が良いというわけではありませんが、開発と生産が密接した関係にあるのは品質管理の面でも良いことだと思います。コンシューマー向けの大量生産には向いていませんが、このようなプロ用機器の場合は多くても数千台程度規模でしょうから、それが可能です。
とくにAKGの後期モデルは突然オーストリアから東欧や中国に移行しましたが、音が変わったかは別として、中古市場では結構な価格差があるので、やはりオーストリア製であることに付加価値はあるのでしょう。
Hi-Xドライバー |
ではなぜ今あえてヘッドホンを出す事になったのかというと、やはり最新技術と経験を元に、旧デザインの進化を行いたい、という願いが強いのだと思います。
ドライバーはAKG時代のVarimotionと似ている44mmダイナミック型ですが、素材から構造まで一から作り直したそうで、見た目も結構違います。名前のHi-Xというのも、大振幅という意味のHigh-Excursionから取っているそうです。つまり、従来のドライバーと比べて可聴帯域内でのダイナミックレンジとレスポンスを向上させるという明確な目的があり、そのためのノウハウや実験設備があるからこそ実現できたのでしょう。
Austrian Audioの公式ページを見ると、マイクロフォンとヘッドホンの製造販売のみでなく、サービス事業としてOEM開発と実験測定の代行も行っています。つまり優れた技術力を生かして、開発の経験が浅いメーカーのサポートも行い、さらに音響測定用の高性能無響室もレンタルできるという事で、そこまでできるメーカーは少ないです。
パッケージ
楽器店でよく見るような厚紙パッケージです。海外のプロ楽器店で買ったものなので、日本で流通する場合はデザインが変わるかもしれません。パッケージ |
ベルクロ |
ワンポイントとして、箱のフタは赤いベルクロの紐で固定されています。バリバリと剥がすと裏側にはAustrian Audioと印刷されており、説明書によると、これをハサミで適当な長さに切って、ケーブルをまとめるために使えと書いてあります。安上がりで面白い演出ですね。
中身 |
中身は本体とケーブル、マイクロファイバー収納バッグ、説明書と、ブランドロゴのステッカーが入っています。アップルみたいでこういうのは嬉しいですし、いい宣伝になります。ロゴはやはり伝統のカーディオイドパターンです。
デザイン
このHi-X55というヘッドホンは、一見ごく普通のデザインのようですが、ヘッドホンマニアであるほど興味深い点がいくつか目につきます。金属とプラスチック |
グレーのヒンジ部分が金属で、ヘッドバンドは鉄板、ハウジングはプラスチックです。
写真を見るとわかるように、回転ヒンジなど壊れやすい部分は強固な金属で作られており、「これなら大丈夫そうだな」と思える安心感があります。安価なヘッドホンにありがちなギシギシと軋む感じもなく、動きもなめらかで、組付け精度はとても高いです。
その一方で、ロゴマークなどは非常に質素ですし、一番目につくハウジングは単なる未塗装のプラスチックなので、かなり安っぽく見えます。せめてゴム塗装にするとか、ラメ入りプラスチックとか、色々手段はある中で、なぜこんなチープに仕上げたのが不思議です。
ヘッドホンマニアから見て異質なのは、たとえばHifimanやDan Clark Audio(Mr Speakers)など少量生産ベンチャーで始まった企業は、量産設備が無いため、製品単価を上げようとカーボンや木材などプレミアム素材感を強調しますし、手作業の板金、削り出し、既製部品を集めて組み上げる手法が多いです。それ自体は悪いことではありません。それらと比べてHi-X55は設計から製造まで一貫してクオリティが高く統一感があり、それでいて、一切高級素材を使っているように見せていません。
近頃のコンシューマー向けのカッコいいブランドを見れば、一番目立つハウジングやロゴ部分にクロームやCNC削り出しなどの派手なデザインをあしらい、見えないヒンジ可動部分などには安いプラスチックを使うのが一般的なのですが(だからギシギシ、グラグラで安定せず壊れやすいのですが)Hi-X55は真逆です。
ようするに、第二のBeatsとして一般コンシューマーへ売るような気配は一切無く、媚びるのを諦めたかのようなデザインです。業務用としては素晴らしいですが、実際これで数が売れるのか?と心配になってしまいます。
折り畳み |
フラットにもできます |
回転ヒンジ部分で折り畳みやフラットにすることが可能なので、携帯性が良いです。各部品もしっかり堅牢に作られているようなので、丸く畳んでそのままバッグに放り込んでも大丈夫っぽいです。
出先に密閉型ヘッドホンを持っていく場合はやはりオーテクATH-M50xが人気ですが、ヘッドホンマニアとしてはもうちょっと上級モデルを持っていきたいです。しかし、ある程度の価格帯になると、折り畳みできないか、もしくは扱いに困るモデルが増えてきます。
私の場合、Shure SRH1540くらいがギリギリ悩む候補で、ベイヤーT5p 2ndやフォステクスTH610になると持ち出すには大きすぎます。
一方、コンシューマー向けの高級ポータブル密閉型では、最近だとオーテクATH-WP900が素晴らしいと思うのですが、綺麗な木材ハウジングを傷つけたくないので、持ち出すのは気が引けますし、フィットが緩いので遮音性もあまりありません。
そんなわけで、このHi-X55の無骨なデザインは持ち出す用途に最適です。メーカーには申し訳ないですが、どんなに傷がついてもそこまで気になりませんし、多目的に乱暴に扱っても大丈夫そうなところが好きです。
ATH-M50x |
ATH-M50x |
全体のフォルムはオーテクATH-M50xに近いと思ったので、並べて比べてみました。本体サイズはそれほど変わらず、重量はATH-M50xが285g、Hi-X55が305gということで、こちらもあまり大きな差はありません。
ただし、イヤーパッドはHi-X55が明らかに有利です。ATH-M50xはオンイヤー型ですが、Hi-X55はアラウンドイヤー型で、しかもちょっと特殊な形状です。それについては後述します。
AKG K550 |
このあたりはよく似てます |
AKGと縁があるということで、一番関係性がありそうだと思ったのはK550です。
ハウジング形状は全然違いますが、全体的なスタイルとか、とくに幅広い鉄板ヘッドバンドや、調整部分の形状なんかは面影がありますね。
この調整部品は使い勝手が良く、装着した状態でも手軽にカチカチと上下に合わせることができます。しかもHi-X55の場合、日本人の頭でも十分な余裕があります(私の頭でちょうど中間点くらいです)。
ちなみにAKG K550は名機としてMK2、MK3と進化していきましたが(チューニング変更、ケーブル着脱可など)、私が持っているのは初代です。ずっと死蔵していましたが、今回久々に取り出してみたらイヤーパッドやヘッドクッションの合皮が脆くなっていて、ちょっと触っただけで裂けてしまいました。やはり合皮は10年持たないようです。
プロっぽくてカッコいいです |
もう一つ、Hi-X55がK550と似て優秀な点として、装着時の外観がそこまで大きくありません。ヘッドバンドが薄い鉄板であることと、左右ハンガー部品やハウジング自体が外に飛び出さないため、シルエットがスッキリしています。
ケーブルが3mと長いこともあり、これで街を歩けるかは難しいところですが、ATH-M50xよりもヘッドバンドが薄いため、コンパクトにまとまり、装着時も目立ちません。
Ultrasone Signature Pro |
個人的に大好きなUltrasone Signature Proもヘッドバンドが非常に厚くてゴツいため、装着するとそれがかなり目立ってしまうのが難点です。しかもオンイヤー型なのでHi-X55ほど装着感は良くありません。
ケーブル
付属ケーブルは左側片出しで、着脱可能な3mのものが付属しています。付属ケーブル |
片出しなので、ヘッドバンドに配線があります |
一般的な黒いゴムタイプですが、ベタベタしておらずクセも付きにくいので、写真で見てわかるように、束ねてもバラバラにならず扱いやすいです。
上からUltrasone・AKG C120・Hi-X55付属 |
着脱コネクターについてはちょっと不満があります。オーテクM50xやUltrasone Signature Proなどと同じようなツイストロック式2.5mmコネクターなのですが、写真で見てわかるとおり、Hi-X55のやつは黒いプラスチック部分がかなり長いです。
他社のケーブルと互換性があるか試してみたところ、まずUltrasoneとAKG C120ケーブルはこの黒い部分が浅すぎてヘッドホン側の穴に取っ手がぶつかってしまい装着できません。
太くて入りません |
オーテク用なら長さも似ているので大丈夫かと思いきや、黒い部分の直径がオーテクの方が若干太いです。一応無理に押し込めば入りそうなのですが、本体を壊してしまいそうで諦めました。このタイプの社外品アップグレードケーブルは色々手に入りますが、装着できるかはギャンブルです。
もちろん純正ケーブルを使う分には、しっかりロックしてくれて、ヘッドホン本体側の円筒サポートのおかげでグラグラしないので、かなり安心できる構造です。
イヤーパッドと装着感
このヘッドホンの最大の魅力は、装着感と遮音性が非常に良い事です。よく新興メーカーのデビューモデルというと、何らかの不具合で痛くなったり不快になることが多いのですが、さすがベテラン設計チームだけあって心配は無用でした。
とくにパッドに関しては結構独特なので、それだけでも試してみる価値があります。
イヤーパッドが凄いです |
一見ごく一般的なアラウンドイヤー型に見えるのですが、実は内部の空洞がかなり広くなっています。ティッシュケースみたいな感じですね。
K812PROとの共通点も |
このアイデアは、AKG最後期の名機K812PROで採用されたデザインと似ており、K812PROはこの優れたパッドデザインのおかげで耳周りが非常に快適でした。私にとっては現在でも最高の開放型ヘッドホンとして愛蔵しています。
Aeon並に厚く快適なパッドです |
つまりHi-X55も、見た目とは裏腹に、実際に装着してみると耳がすっぽり収まる広い空間があります。感覚的にはBose QC35よりもちょっと厚く、Dan Clark Audio Aeonシリーズくらいのフカフカした余裕があります。
パッド分離 |
パッドは着脱交換可能で、本体側にあるプラスチックの爪にパッド側面の板をパチパチはめていく感じです。交換自体は容易ですが、全ての爪が引っかかっているか目視で確認が必要です。
ドライバー保護メッシュは冒頭ドライバーの写真でも見たように両面テープで貼り付けてあります。そう頻繁に外すものでもありませんが、交換できるのは嬉しいですね。交換品については不明ですが、両面テープもついてくるのだろうと想像します。
着脱可能 |
ヘッドバンドのクッションはベルクロで手軽に着脱できるようになっており、プロ用モデルとしてしっかり考えられています。厚い低反発スポンジのおかげで頭頂部が痛くなる事はありませんでした。似たようなデザインのCampfire Audio Cascadeはこの頭頂部が痛くなってギブアップしたのですが、こちらは心配無用です。
全体の装着感についてですが、側圧はプロ用モニターとしては普通の部類で、MDR-1AやATH-MSR7bほどユルユルではなく、そこそこホールド感があります。太い鉄板ヘッドバンドのおかげで捩れる感じが無いのが良いです。
パッド表面が柔らかくピタッと吸い付き、しかもハウジングが完全密閉デザインなので、まるで吸盤のような密閉感があります。本体を前後に押し込むとポンプのような空気圧を感じるので、慣れるまではちょっと圧迫感が気になります。
ただし、イヤーパッド内部空間が広いので蒸れる感じは無く、クッション性も良好、優秀なフレーム設計のおかげで重心や側圧もしっかり安定しており、どこも痛くなる事が無かったため、新品で6時間くらい通して装着しても問題ありませんでした。
デザインが悪いヘッドホンの場合、一度でも痛いところが出てくると一旦外して休憩しても再度装着したら同じ箇所がすぐ痛くなってしまうのですが(とくにオンイヤー型にありがちですが)、Hi-X55の場合はそれが無く、ずっと快適な状態が続きました。装着時は「こんなにしっかり密閉していて大丈夫かな・・・」と心配でしたが、気がつくと何時間も装着出来ている、という感じです。
とくにデザインの優秀さを実感できたのは、屋外で装着してみた時です。遮音性が非常に高く騒音下でも満足に音楽が聴けましたし、さらにハウジングやパッドがガッシリとホールドしていて、左右に張り出さないため、歩行中も音楽はピタッと同じ定位で安定して、ヘッドホンが揺れる感覚がありません。密閉型なのでメガネや帽子などであまり隙間が開くと低音が出なくなり、高音にも変なクセがつくので、できるだけしっかり密着できるよう心がけましょう。
インピーダンス
公式スペックによると25Ω・118dB/Vと書いてあります。つまり102dB/mWくらいですかね。ポータブルDAPでもそこそこ満足に鳴らせそうな、ヘッドホンとしては一般的な部類です。実測も中域以下は約27Ωくらいなのでだいたい合ってます。1.2kHzくらいにちょっとした山がありますが、そこまで大きくないので駆動への支障は無いでしょう。ただし急激なので位相変動は気になります。何かしらドライバーかハウジングの設計に由来するものであることは確かです。可聴帯域外のインピーダンス上昇はダイナミック型ドライバーらしい特徴です。
AKG K550(初代)とオーテクATH-M50xを重ねてみました。確かにHi-X55だけ1.2kHzの山が特徴的です。可聴帯域外の処理がやはりオーテクよりK550と似ているのが面白いですね。
音質とか
今回の試聴では、普段使い慣れているHiby R6 PRO DAPを使いましたが、せっかくスタジオモニターヘッドホンということで、RME ADI-2 DAC FSでも鳴らしてみました。どちらも十分な音量が得られ、R6 PROでもボリューム35%くらいで十分でした。密閉型で遮音性が高いことも貢献しているのでしょう。
RME ADI-2 DAC FS |
せっかくオーストリアということで、試聴にはなにか象徴的なアルバムはと考えてみて、デッカ1955年ベーム指揮ウィーンフィルの「影のない女」が思い浮かびました。
戦後ようやくウィーン国立歌劇場の再建が完了し、音楽監督としてベームを招待、初シーズン公演キャストをもとにセッション録音したのが「魔笛」と「影のない女」でした。デッカは魔笛のみで終わるつもりだったところ、ベーム以下オケ団員の強い要望で「影のない女」も録音する事になったのですが、その時のプロデューサーが機転を利かせて、オケ頭上に二本のマイクを配置(当時はAKGではなくノイマンM50だったと思いますが・・・)、密かに実験的なステレオ録音を行っており、それが1964年になって発売されたのが今作です。デッカのステレオ実験というとバイロイトが有名ですが、その直後で、音響が遥かに優れている楽友協会でセッション録音という事で、大変意義がある作品です。ベームは他にも55年Orfeoライブ、77年DGG新版もありますが、ぜひこの55年デッカ版を聴いてみてください。当時のウィーンフィルの圧倒的な気迫とドライブ力は凄まじいです。
まずHi-X55の第一印象ですが、密閉型らしく一音一音が太くメリハリがあります。サラッと聴き流すような軽快なサウンドではありません。
このオペラはオーディテスト盤のお手本みたいなもので、第一音の「ズドン」という金管とティンパニの重低音から、ギラギラのヴァイオリン、ハープ、パーカッション、女性歌手、男性歌手と、最初の30秒で怒涛の展開が起こります。その後も派手なテノールとソプラノ独唱やシュトラウス特有のうねるような弦セクション、そして異界から大地に降りる間奏曲と、オーディオ機器の限界まで推し進めますが、Hi-X55は全て余裕でこなします。
ヘッドホン本体の剛性が高く、低音の振動などでビビらないため、とてもクッキリした安定した鳴り方です。
周波数特性はいわゆる大昔のAKG(初期K550・K601)っぽさは無く、ハーマンカーブ採用後の、高音はおとなしめで、中低域がしっかり出る感じです。最近のAudezeやFocalなんかに慣れている人でも大丈夫だと思います。
とくに特徴的なのは中低域の空間の広さで、オーケストラの展開に余裕を持たせてくれます。ドライバーが耳から1cmくらい離れた場所から音が鳴っているように聴こえます。イヤーパッドが厚く広く、耳たぶが潰されないことも貢献しているのでしょう。
高音は楽器音が綺麗に出るものの、プレゼンス帯は控えめなので、ノイズや刺さりは目立ちません。こういうところが現代っぽいです。最低音も意外とおとなしく、コントラバスやティンパニなど生楽器が力強く鳴る一方で、それよりも低い揺れや振動はあまり目立ちません。
つまり限界をわきまえて上手に調整されているので、ボリュームを上げても刺さりや響きが暴れず、聴こえ方が変わりません。こういうところがプロ用らしいです。
ATH-M70x |
たとえばオンイヤーのATH-M50xや、アラウンドイヤーでもパッドが非常に薄いATH-M70xなど(あとAKGだとK550とか)は、ドライバーが耳元にベタッと張り付いているように聴こえる事が、Hi-X55と比べることで改めて実感できます。
これらは耳穴との間に余計なスペースが無いので、出音が耳に直接入る、いわゆるイヤホンっぽい聴こえ方です。チューニング面ではこれは不利なようで、どれも高音がシャリシャリと鳴る、いわゆる密閉モニターらしい特徴があります。スピード感やダイレクト感においてはそれが有利なこともあります。
一方Hi-X55の場合は周波数特性はバランスがとれていますが、出音から耳穴までワンクッション置いているので、その空間が常に意識され、なんとなく狭い部屋でスピーカーを鳴らしているような、密閉型特有の空気があります。
開放型のように音が無限に遠くに広がっていくというよりは、ある一定の距離からこちらに向かって鳴っているようです。とくに高域はスカッと爽快といった感じではありません。試聴に使ったデッカくらい明確で派手な作品なら良いですが、DSDライブ録音のような響きが多めなアルバムだと、楽器音よりも手前に響きの層があるような感覚が顕著になります。
密閉型は、この音と響きのバランスが難しいところです。実際Hi-X55のハウジングをグッと押してパッドを完全に潰してしまうと、一般的な密閉型みたいな間近なサウンドになりますので、経年劣化で若干変わってくるのでしょうか。
ATH-MSR7b |
オーテク繋がりでATH-MSR7bと比べてみると、コンシューマーとプロフェッショナルの違いがよくわかります。どちらが良いという意味ではありません。
コンシューマー向けヘッドホンの多くは、密閉型といっても側圧は緩めで、ダクトやポートを設けるなど、ハウジング内で複雑な空気の流れを生み出すことで、出音自体は間近でも、空気の抜けの良さや、高音や低音の豊かな響きを作り込んでいます。(装着時に本体を手で押しても空気圧が圧迫しないのでわかります)。
とくに低音はATH-MSR7bの方が非常に低いところまで体感でき、ティンパニやホルンの迫力がズンズンと体を揺らしてくれます。しかしその響きが後を引くため、鳴った後も余韻が常に耳周りを埋め尽くしている感じです。良く言えば臨場感です。
一方Hi-X55の場合、低音は立ち上がりが力強く、引きが速いので、ハウジングの存在が感じられません。ティンパニの音程までしっかり聴き取れるのが優秀ですが、断続的に鳴っており、そこから重い響きが広がっていきません。
低音がスッキリしすぎて体に響かないということは、音程のある生楽器なら良いですが、ダンスミュージックやR&Bなど体感リズムが重要な音楽では退屈で面白くありません。それらのキックドラムとかだと、自然の倍音がほぼ無いので「ポコポコ」と軽く聴こえてしまいます。
カジュアルな音楽鑑賞ではATH-MSR7bなどの方が緩く空気が混じり合う感じがして良いですが、いざ特定の音を追い込みたい場合は余計な響きのせいで他の帯域が隠れてしまい不明瞭になります。つまり聴きやすいというのは、不具合を隠してくれるという事です。
Hi-X55はコントラバスやバスバリトン歌手などでも他の帯域を邪魔しないため、音程や構成が明確にわかる反面、一音一音の主張が強いため、常にハイテンションで気が置けません。
とくにHi-X55のデザインは、一見もっと低音をハウジング内で響かせる感じだと思っていたので、そうでないのはちょっと意外でした。そのあたりがちゃんとプロ用モニターとして考えられているという事でしょう。
ヘッドホンで低音を盛るのはダメだというのではなく、現在の技術では、コンパクト密閉型ヘッドホンでスピーカーや生楽器と同じくらい豊かな重低音を鳴らすことは実現不可能で、もし無理に鳴らそうとすれば、内部で共振して他の音が濁ってしまうから、という意味です。そのため、濁ってもいいから低音を増強したいというのはコンシューマーヘッドホン的な考えで、そうでないのがプロモニターだと思います。
ヘッドホンの低音が控えめだと、それを使って音楽を作ったら低音を余計にブーストしてしまうのでは、という心配があるかもしれませんが、プロであれば最終的な音決めのバランス調整はヘッドホンのみでなく、PAやモニタースピーカー、スペアナなど様々な要素を元に判断するものなので、ヘッドホンだけで判断するというのは通常はありえません。ベッドルームの自主制作でヘッドホンだけしか持っていないというのなら注意が必要です。
ウィントン・マルサリスが監督を務めるJazz at Lincoln Center Orchestraから「Rock Chalk Suite」を聴いてみました。
アメリカが誇る伝統芸能としてのビッグバンドで、幅広い企画やコラボレーションを行っているJazz at Lincoln Centerですが、自主制作レーベル「Blue Engine Records」を設立してから勢いがついてきたのが嬉しいです。今作はカンザス大学からの委嘱によって生まれた組曲だそうで、同大学の名門バスケットボールチームJayhawksにインスパイアされたという事です(タイトルのRock Chalkとは同チームの応援歌に由来します)。全15曲それぞれが異なるメンバーによって作曲されたので、バリエーションに富んだ楽しいビッグバンド・ジャズです。
SRH1540 |
Hi-X55をもうちょっと高価なスタジオモニターヘッドホンと比較するなら、個人的に有力候補として挙げたいのはShure SRH1540とベイヤーダイナミックDT1770PROです。
どちらも5万円程度なのでHi-X55よりはちょっと上の価格帯です。SRH1540とDT1770PROのサウンドには共通点が多く、私ならどちらを使っても満足できます。私はDT1770PROをかれこれ4年間以上ずっと愛用しているので、ここからはそれに絞りますが、SRH1540もほぼ同意義だと思ってください。
余談になりますが、上の写真のSRH1540を見てわかるとおり、使っているとヘッドクッションがボロボロになるので、Hi-X55のように手軽に交換できるのは重要です。
DT1770PRO |
モニターヘッドホンといっても色々あり、Hi-X55はしっかり遮音してアクティブに使えることを優先しているのに対して、DT1770PROは静かな環境でじっくり作業をするのに適しているので、遮音性は弱く、側圧も緩いです。
サウンド面では、Hi-X55は明らかに密閉型らしい音ですが、DT1770PROは密閉型でありながら、できるだけ開放的っぽいサウンドを目指しています。
低音に関してはどちらも過度に盛らないという点で共通していますが、中高域から上に決定的な差があります。
先ほどの古いオペラ録音くらいなら、そもそも高音にあまり情報が入っておらず、ノイズが目立たないように上手にリマスターしてあるので、そこまで気になりませんが、このビッグバンドジャズは最新96kHzハイレゾ録音で大編成の激しい演奏なので、違いが明らかに現れます。
簡単に言うと、DT1770PROはスッキリと可聴帯域外まで一直線に伸びていく感じで、クセが無く、全体のバランス調整や空間の相対関係を把握するのに適しています。地味で味気ないですが、カジュアルなリスニングでもそこそこ不満無く使えるのはこっちの方です。
一方、Hi-X55は中高域がぎゅっとフォーカスされ、クセや飽和が目立つので、マイクセッティングの不備、部屋やミキシングの問題がすぐにわかります。つまりカジュアルに使うには、録音の品質に左右されすぎて、良い悪いの差が激しすぎます。
変な言い方ですが、たとえばゲームや動画などで使うなら、どのみち正解が無い音ですから結構満足に使えます。ところが生楽器の高音質録音をじっくり聴こうとすると、ちょっとした事が本来の楽器音ではない違和感として強調されすぎます。この追い込みすぎる感じが密閉型モニターらしいです。(スピーカーでも密閉モニターはこういう傾向があります)。
Hi-X55が密閉型らしく感じる理由は、1~2kHzくらいから上がギュッと詰まるような、空間が絞られる感覚です。耳を手のひらで覆うとシューッとフィルターがかかる、あの感じに近いです。先ほどのインピーダンスグラフの山と関係があるのでしょうか。
オーテクやソニーのような3kHz付近の滑舌やパーカッションが刺さるのとはちょっと違い、空間の話で、本来中低域と同じくらい広がっているべきなのに、1kHzくらいを境界線としてだんだんと空気が狭くなり、目前に晒されるようです。
とくに、このあたりの帯域を前後に基調音と倍音成分がある歌手やトランペットなど高音楽器は、基調音は余裕があるのに、倍音が前面に迫ってきて息苦しく感じる事もあります。
この特徴的なサウンドにはメリットもあります。中高域、つまり人間の声などの一番重要な帯域がグッとフォーカスされているので、音程や倍音構成がわかりやすく、変な音があればすぐに気が付きます。たとえばマイクに近づきすぎて飽和しているとか、部屋が共振しているなど、録音中の不必要な響きが、まるでレベルメーターのレッドゾーンのように即座に判定できます。
このジャズアルバムでは、曲ごとにトランペットやアルトサックスが綺麗に聴こえる時もあれば、ソロなどで前に出すぎて急に不自然さが目立つ事もあります。一方で、優れたプロダクションのおかげで全編通して安定して不満が出ないアルバムもあります。
現場で使うなら不具合が瞬時にわかるメリットがありますが、リスニングで使うと、まるで綱渡りのように、開始から終了まで変な歪みや響きが出ないかドキドキして気が置けません。音楽よりも、そっちを意識してしまう感じです。
シンプルなソロピアノアルバムでも、一見同じような二枚を聴き比べると、一枚はエンジニアの手腕のおかげで自然で美しく鳴るのに、もう一枚はちょっと華やかさを誇張しすぎたせいで、単音だと美しく良好でも、速弾きだと演奏者の周りに中高域の響きがまとわりついて不快になったりします。ノイズリダクションで背景の環境音が真っ黒にカットされていても出音の詰まり具合ですぐにバレます。
つまりHi-X55は不手際や過剰演出やを許さず、ちょっとでも崩れると目立つので、音が鳴るべき場所で、控えめに、正しいバランスで仕上げる事を強制するかのようなヘッドホンです。
おわりに
元AKG社員が結成したAustrian Audioですが、技術力の高いベンチャー企業には頑張ってもらいたいということで、お布施のつもりで購入してみたところ、実際かなり上手に作られていて満足しています。用途や目的が絞られているので万人受けするモデルではありませんが、価格を問わず、こういった堅牢な多目的プロモニターを真面目に作ってくれるメーカーは希少です。
密閉型らしい閉鎖感はありますが、特殊なイヤーパッドのおかげで耳周りに余裕があるため、長時間でも快適に使えるメリットは大きいです。サウンドも勢いの良さと空間の広さが優秀ですが、あくまでプロフェッショナル用途の力強く気が置けないチューニングなので、リスニング向けとして考えているなら、もうちょっと緩めのカジュアルなモデルの方が良いかもしれません。
とくに明確なライバルが思い浮かばないのが、このヘッドホンの強みです。静かな環境でじっくり使うならDT1770PROやSRH1540とか、密閉にこだわらなければT60RPやATH-R70xなんかも優秀ですが、やはり主な用途としては、ライブモニターや放送業務など、騒音下のリアルタイムな作業で、的確にバランスを見極める必要がある現場では非常に役に立つと思います。
アーティストなら、出先のノートパソコンのDAWで作曲するとか、マイクとオーディオインターフェースでちょっとした演奏を収録する、なんて場合でも真っ先に選べるヘッドホンです。
作業に集中でき、再生音にちょっとでも不備があれば、すぐにそれを強調してくれるようなシビアなサウンドなので、そういった意味では、マイクロフォンとレコーディングセッションにおける理想的なパートナーと言えます。
堅牢で遮音性が高く、ホールドがしっかりしているので、映像関係のフィールドワークやロケーションにも最適です。CD900STやHD25などでは長時間は痛くて辛いという人は、ぜひ試してみてください。そういった用途のために1.2mくらいの短いケーブルも付属してくれればなお良かったと思います。
個人的な要望としては、まず今後もAustrian Audioが存続してくれる事が最重要ですが、ヘッドホンについては、Hi-X55の鳴り方は上位クラスと比べると密閉型設計が足かせになっているように聴こえるので、将来的には静かな環境で使える開放型のレファレンスモデルを開発してくれたら、なんて願っています。AKGからはK701シリーズが安く買えるので、それを超えるのは容易ではないでしょう。気長に待っています。
Hi-X55にて基礎設計とコストパフォーマンスの高さは実感できたので、今後さらなる成長のためにも、たくさん売れてくれることを願っています。