2019年1月23日水曜日

2018年、よく聴いた高音質アルバムとか(ジャズ編)

今回は、2018年に買った新譜アルバムを振り返ってみて、良かった作品をいくつか紹介します。

こういうときデジタルだと便利です

私の趣味がほぼジャズとクラシックのみなので、興味のない人は無視してください。話が長いですし、ヘッドホンやオーディオ機器の話題もありません。

まず前編にちょっとした近況考察と、ジャズのニューアルバム、それからリマスター復刻盤などで、クラシックのアルバムについては後日まとめます。


2018年のアルバム

自宅のパソコンを確認してみたところ、2018年はジャズとクラシックだけでCD・ダウンロードを合わせて500枚以上買ってしまったようです。感覚的には、多くても週5枚程度だったつもりなのですが、まあボックスセットとかもたまに買うので、それも含めての合計がこれくらいです。一応全部聴いているはずなので、こうやって数字で見ると、結構な寿命を削られたような気分です。

もちろんその中には2018年のリリースではないものも多く含まれているので、今回それらは除外して、2018年発売で気に入ったアルバムをいくつか紹介することにします。

近頃はますますダウンロード購入がメインになってきましたが、クレジットカードがすでに登録済みで、ワンクリックで買えてしまうようなショップだと、本当についつい衝動買いしてしまいますね。

その一方で、まだCDでしか手に入らない作品も多く、毎週CDショップに行く事が欠かせません。廃盤を中古店で見つけるのも、宝探しみたいでワクワクしますし、海外に行った時なども現地のCD専門店でローカルのマイナーレーベルなんかを探すのが楽しみです。

世の中にはそんな趣味で楽しんでいる人がいるという事で、納得していただけると幸いです。

廃盤

近頃ジャズやクラシックファンを悩ませているのが、CDなどの「限定版」「廃盤」問題でしょう。ストリーミングサービスやハイレゾショップなどでも、版権元が変わって、ある日突然いきなりカタログから削除された、なんてアルバムが結構多いです。いつか買おう、なんて思ってカートに放置していたら、もう「入荷できません」なんて事は多々あります。

相当数(5000枚とか)が売れる見込みがないからCDを増産しないのだろう、と勘違いしている人が多いのですが、メーカーに尋ねると、そうでない場合も多いようです。

たとえば洋楽の場合、日本国内でのリマスター再販などは、数量・期間限定で、海外の親会社から一時的に販売権を借りて売っているケースが多いです。そのため、「1000枚限定、SACDのみ」なんて売り方が多く、完売しても、独断で増産するわけにはいけません。

たとえハイレゾリマスターしたとしても、CDのみ販売可で、ダウンロード販売が一切できない、なんてもどかしい現状があります。海外でも同様の理由からSACDのみのリマスターレーベルが多いです。

その一方で、ネット販売の利点を活かして、コピーマスターや、インディーズ音源、オープンリールテープなどから、独自のハイレゾリマスターを行って販売しているサイトも続々増えてきました。この場合、国ごとに著作権やパブリックドメインの定義がややこしいですし、版権元と直接競合していないため(たとえばCDで長年再販されていない、その国にレーベル支部が無い、版権元がほぼ休止していて法務部が機能していない、など)、「買いたくても、公式が売ってないから」という理由から、グレーゾーンで活動しているショップも多いです。アーティストに売上の一部が還元されるかどうか、という話は別として(そもそも正規版でもJASRACの問題などが話題になっていますし)、手に入らなかった音源が購入出来るようになるというのは、音楽ファンとしては素直に嬉しいです。

肝心の音質面ではギャンブル性が強いのも、あえて「聴き比べ」とかで楽しめるのが趣味人の末路です。

パブリックドメイン

2018年末にさりげなくTPPが発行されたため、日本も書籍の著作権が50年から70年に引き伸ばされると言われており、ややこしい状態になりました。青空文庫は今後20年間追加が見込めないとニュースで読んで、なるほどと思いました。

著作権の話はジャズにとって重要なトピックですが、国ごとに解釈が異なるのが面倒です。普通の人は、店舗でCDを買ったり、ネットで音楽を聴く時、販売元がどの国の法律に基づいているのかなんて気にしないものです。(Youtubeのように国ごとにブロックをかける場合もありますが)。

ヨーロッパの場合、以前は「メディア発売から50年」というのが一般的なルールだったので、ちょうどジャズの黄金期とかぶり、数年前までは、LPレコードをYoutubeで堂々と流したり、古い名盤の非公式廉価版BOXとかが続々登場しましたが、2013年からはEUの法改正で70年に引き伸ばされました。いわゆるビートルズ法なんて言われて、ビートルズやストーンズなどのメンバーが存命中は名曲をパブリックドメイン化させないためギリギリ滑り込ませたと揶揄されています。

ただしEUの場合は、発売された媒体に対しての法律なので、レコードやCDなどはそれぞれ発売から70年ですが、未公開音源・放送音源は50年で切れます。そのため、最近は「発掘音源のハイレゾリマスター」が続々登場していますし、大手レーベルも先を越されないよう「未公開テイク集」などを焦ってリリースしています。

また、作詞作曲に関しては死後から計算する方式などややこしいので、クラシックやジャズのスタンダードなどは、アルバムはパブリックドメインなのに、その中の曲に対して著作権が発生するといったケースもあります。

ジャズマニアにとってパブリックドメインが重要なのは、「無料で聴けて嬉しい」という貧乏精神ではなく、「いままでレーベルが無視し続けていたマイナーアルバムが、有志の力でようやく聴くことができる」というメリットの方が強いです。現状でも、ラジオ放送録音などでその恩恵を大きく享受しています。そうなると、50年から70年に延長されたことは、単に「あと20年待てば良い」という話ではなくなり、すでにマスターテープの劣化が問題視されているところで、あと20年経ったらレコーディングの黄金時代のテープが磁力も消えて救済不可能という事も起こりうるというのが最大の問題です。実際に、1990年に作ったCDよりも、2010年のリマスター盤では明らかにテープが劣化していて(磁気転写や歪みなど)どうしようもないという事が多々あります。

MQAとかについて

話は変わりますが、ハイレゾPCMファイルをCDくらいのデータサイズに圧縮する「MQA」フォーマットは、2018年も話題に乗ることが多かったです。

雑誌などで「有名ミュージシャンがMQA聴き比べにチャレンジ」とか「MQAに合うワインセレクション」みたいな、PR圧力を感じる記事が多かった印象です。(ハイレゾオーディオ初期にもそういった傾向がありました)。

MQAそのものの開発意図と技術は説得力がありますし、圧縮が悪いわけではありません。動画におけるMP4のような位置づけだと思っています。しかし、売る側、支持者が話を広げすぎているという点、なにか魔法の最強フォーマットのごとく謎の音質メリットを主張している点は、むしろ見当違いで、印象が悪いと思います。

ハイレゾFLACと比べてジッター数値が減ると言ってソースサンプルレートが異なるファイルを比較していたり、オリジナルマスターFLACではなく旧盤CDと聴き比べて、やっぱりMQAの音質は凄いと言わせたり、気づいた人はあれっと思う記事が多いです。オーディオ雑誌でも、それを黙認するかしないかで、各紙の扱いが大きく分かれています。

現状、録音スタジオ機器がMQAでマスターを作っているわけではありませんし、既存のPCM 96kHz・24bitやDXDマスターファイルを販売時にMQA圧縮しているという点についてはあまり言及されません。

私としては、フォーマットがなんであれ、エンジニアが意図した最終マスターを聴きたいです。それが48kHz・24bit FLACでも、5.6MHz DSFでも構いません。ハードディスクやDAPの容量がそこまで足りないわけでもないので、わざわざ非可逆圧縮したMQAでなくても、オリジナルマスターを買って聴ければいい、というのが私のスタンスです。もしそれが今後好きなエンジニアの完成マスターがMQAになるのなら、それで聴くのも良いです。ただしアンチMQA声明を出しているオーディオメーカーが結構多いので、私が音を気に入っているDACでは再生できないかもしれません。

MQAについて賛否両論が繰り広げられている最大の原因は、そこにはレーベル企業寄りのメリットと、開発元へのライセンス利益が発生するからだと思います。そのため、制作現場やオーディオファン側からすると、FLACの現状にそこそこ満足していて、なにか待ち望んでいたわけではないのに、業界が勝手に流れを進めている事に違和感があります。

MP3はフリーだと思っている人は多いですが、業務用エンコードライセンスやWindows用ライセンスなどで、MP3開発元ドイツ・フラウンホーファー研究所が莫大な財産を築き上げた事は有名です。そんなMP3に対抗してLAMEが生まれたように、将来的にMQAも有志によるオープンソースの互換コードが公開されて、法廷バトルが繰り広げられるのかもしれません。


私がMQAに求めているのは、定額ストリーミングサービスなどが、旧式圧縮技術からMQAに切り替わって、すべての音楽ファンの音質向上に貢献することです。(いまだにApple MusicはAAC、SpotifyはOgg Vorvisを使っています)。逆に、私が懸念しているのは、ハイレゾマスター販売サイトなどがFLACを廃止して全てMQAエンコードファイルに一本化することです。

レーベル側からすると、ハイレゾダウンロードショップがこれ以上普及したところで、メジャーアーティストになるほど違法コピーに悩まされるわけですから、もうFLACファイル販売はやめて、定額ストリーミングに一本化したいでしょう。そのためオーディオマニアにもストリーミング移行を促すには、MQAのような次世代圧縮技術に期待をかけていると思います。

FLACの違法コピー問題といっても、ネットの闇に潜む悪の組織とかよりも、むしろ、新しいDAPを買ったからと、罪悪感無しで友人からハイレゾファイルをUSBでコピーしてもらうのが当たり前だと思っている人が意外と多いのが一番の問題であって、それが簡単にできてしまうのがなお問題なのでしょう。

逆に、毎回コツコツとハイレゾFLACをレーベルサイトから買って音楽を聴いている人としては、MQA論争は「お門違い」です。わざわざFLACの現状を非難するほどの正当性があるのか、このまま静かに続けさせてもらえないのか、という話です。

ダウンロードショップも、これ以上爆発的な売上を見込めないから、ストリーミングサービスを推進したいでしょう(2018年はソニーのMoraもストリーミングに参入しました)。

これまでのダウンロードショップであれば、我々も複数のサイトを巡回して色々吟味して購入する事ができますが、定額ストリーミングサービスとなると、契約は一つで十分、つまり現状でAppleやSpotifyと対抗したところでシェアを獲得出来るのか、気張って開設したところで、短期で利益が出せずに、すぐにサービス終了になったりしないか、レーベル取り扱いの圧力合戦で消耗戦にならないか、このまま進むと最後に残る勝者は一人勝ちで、多様性の共存は不可能ではないか、という心配があります。

一方、ジャズやクラシックなどのレーベルやアーティストにとっては、定額ストリーミングサービスは還元率が低すぎて存続できないので(一部のメジャーアーティストが莫大な還元を得る仕組みなので)、CDショップが無くなり、大手ダウンロードサイトが無くなれば、自社サイトでほそぼそとFLACを販売するしか生きる道がありません。

結局DRMを廃止した事が、良い面と悪い面があったわけで、それの成り行きが今まさに模索されているのだと思います。

ジャズ

雑談はほどほどにして、ジャズの新録作品ですが、2018年もジャズは死んでおらず、ずいぶん楽しませてもらいました。アルバム絶対数は少なくなったかもしれませんが、懐の深さは増したようで、一つとして似たような作風のアルバムは無かったと思います。

2000年ごろ、どのバンドのアルバムを買ってもだいたい同じような演奏だった時代が長かったように個人的に感じていたので、(勝手に「マルサリス兄弟の申し子時代」とか「新古典派主義」なんて呼んでますが)、その頃と比べると、ジャズも個人主義とかエンターテインメント性が増したな、なんて思います。アーティストがジャズ雑誌や新聞欄の批評を気にしなくなった、もしくは口うるさい評論家が少なくなったせいでしょうか。

オーソドックスなモダンジャズ、ハードバップ・スタイルを貫いているレーベルといえばSmoke Sessionsをおすすめしたいです。いわゆる「カッコいいジャズ」だと思います。

ジャケットはリーダーのスナップ写真が多いので、同じ人の二作目とかだと「あれ?これ持ってなかったっけ」と混乱しがちですが、録音・演奏ともに、どのアルバムもレベルが高いです。











このレーベルは、ほとんどのアルバムがニューヨークSear Soundでのスタジオセッションですが、いくつかSmoke Jazz & Supper Clubでのライブ録音もあります。(このレーベル自体が、Smokeクラブで演奏したバンドをフィーチャーするという企画なので)。

つまり現在ニューヨークの第一線で活躍している現役ジャズミュージシャン達がそのまま起用されているので、今まさに最前線で行われているジャズが産地直送で楽しめるのが、このレーベルの魅力です。

ジャンル的には、60年代っぽいハードバップがメインですが、たまにボーカルやビッグバンドっぽいのも入れてくるので飽きが来ません。個人的に2018年でとくに良かったのが、ハロルド・メイバーンの「The Iron Man: Live at Smoke」でした。他のアルバムも安心して聴ける優秀盤ばかりです。

近頃メジャーなジャズアルバムといえば、このSear SoundかSystems Twoスタジオを使っている事が大半なので、音作り・音質面でも現在のジャズを象徴するようなレーベルです。






Criss Cross Jazzは、私がとくに贔屓にしているレーベルで、新譜CDは欠かさず買っているのですが、2018年は例年より少なく、5枚のリリースでした。

その中でもとくにピアニストMisha Tsiganovの「Playing with the Wind」は良かったです。暗殺者みたいな強面ジャケットのTsiganovらしく、超トリッキーなアレンジに目が回るような作風で、Sipiagin、BlakeといつものCriss Crossメンバーですが、久々に彼らの近況報告としても楽しめました。

このレーベルはいつもニューヨーク・ブルックリンにあるSystems Twoスタジオをベースに活動しており、録音は最近Michael Marcianoが担当しています。作品数・品質ともに、近年ジャズにおいては最高峰のエンジニアではないでしょうか。往年のヴァン・ゲルダースタジオのように、スタジオと密接な関係を築く事でレーベル独自の「音」を築きあげています。






もうちょっと多方面で独創的なジャズを聴きたければ、Jazz Depot系列のHighNote・SAVANTレーベルが充実していた一年だったと思います。

こちらはアルバムごとに国やスタジオが違うので、まさに西から東へ、ジャズ界隈のワールドツアーです。レーベル主導というよりは、アーティストのセルフプロデュース録音をサポートして、持ち込みでリリースする形式なのだと思います。

Black Art Jazz Collectiveの「Armor of Pride」はJeremy PeltやJonathan Blakeなど第一線プレイヤーによる大型ユニットですが、単体ソロアルバムよりもメロウで厚みのあるアンサンブルで、60年代中盤のハンコックやモーガン、ショーター作品を彷彿させるような良いアルバムです。

相変わらず多忙なピアニストCyrus Chestnutは、ドビュッシー、サティなど印象派っぽいアレンジの「Kaleidoscope」で、これまでのグルーヴィな感じとは違う、遊び心満載の一面を見せてくれました。

サックスJD Allen「Lovestone」はギターを交えたシンプルなバンド構成で、ロリンズのようにメロディをストレートに朗々と吹くオーソドックスなスタイルが好印象です。

このレーベルの良いところは、オーソドックスの境界線をギリギリ超えるか超えないくらいの「さじ加減」の絶妙さだと思います。普通のジャズが聴きたければブルーノート旧盤とかを聴けば済むわけですし、逆にあまりに突拍子もない前衛音楽でも嫌ですが、ちょうどその中間の「ジャズだけど、一味違う」というポイントを上手く狙っています。






ECMは2018年も続々とアルバムを出しており、今一番活気のあるジャズレーベルのひとつです。相変わらずリバーブが強めで、夢見心地というか眠くなるサウンドですが、演奏がストイックな作品が多いので、むしろこういうサウンドの方が相性が良いのかもしれません。(同じ演奏が例えばユニバーサルから出ていたら、ちょっと刺激的すぎると思います)。

ECMの良いところは、アーティストごとに自主性が強く、しかもリリース間隔が長いことで、同じような音楽の焼き増しではなく、ニューアルバムごとに成長や変化が感じられます。

ポーランドのMarcin Wasilewski Trioからの新作「Live」も2014年以来、久々の新譜でした。2016年ベルギーでのライブですが、彼ららしいキラキラ輝く美しいピアニズムが楽しめます。ライブということで、普段の夜想曲みたいなムーディーな雰囲気よりも、観客を盛り上げるドライブ感もあるのが良いです。

イギリスのサックス奏者John Surmanは80年代からECMの看板アーティストでしたが、もう70歳を超えて、最近はめっきりアルバムリリースが少なくなったので、2018年の新譜「Invisible Threads」は嬉しいサプライズでした。全曲オリジナルで、ピアノ&ヴィブラフォンとのトリオという珍しい構成ですが、優しく漂うハーモニーの中から、相変わらず彼らしい切れ味鋭いサックスが堪能できました。

個人的に2018年は、サックスMark TurnerとピアノEthan Iversonのデュオ「Temporary Kings」が一番気に入りました。IversonはCriss Crossでの2016年リーダーアルバムも良かったので、名前を見れば買いたくなるアーティストの一人です。オーソドックスなピアノバッキングではなく、ハーモニーの脱構築がとても上手いので、色彩が非常に豊かです。


ハーモニーの脱構築といえば、とくに圧倒されたアルバムが、Martial Solal「My One and Only Love」です。European Jazz Legends Vol.15という副題で、ドイツのジャズ誌とラジオ局WDRとの企画ライブシリーズの一枚です。

コンサートホールでのライブ収録なので、クラシックリサイタルのような広い音響空間が楽しめます。

ソラールは1927年生まれの91歳で、ジャズ全盛期にフランスで活躍した名手ですが、この最新アルバムは本当に凄いです。ジャズピアノを永年極めるとここまで辿り着くのかと水を得た魚のように自由自在にスタンダードを解体していき、色彩と明暗で刻一刻と曲を組み立てていく仕草が驚異的です。音楽というものが、文章や絵では表現できない、全く別の感覚を生み出すという好例だと思います。




DSD256の超ハイレゾ録音を聴いてみたい、でもクラシックは嫌だ、という人は、Native DSDショップでいろいろと探してみると面白いと思います。

中でも2015年に生まれたJust Listenというレーベルは、一聴の価値があります。ジャズと言うよりはポピュラー、ワールド系ですが、2018年のAngelo Verploegen「The Sweetest Sound」は典型的なリラックス・ジャズで良かったです。

フリューゲルホルンのリーダーAngelo Verploegenは最近稀に見るスゥイング感のある素晴らしい奏者だと思います。シンプルなワンホーン・ドラムレスでのスタンダード集ですが、フレーズを吹くごとに上手いなあカッコいいなあと関心してしまいます。私にとって、こういう聴き方ができる音楽こそが、ジャズの真髄です。バンドのギターリストがイマイチ乗り切れていない点だけ気に入りませんが、そこさえ無視すれば良いアルバムです。

他にも、Rembrandt Frerichs Trioで「The Contemporary Fortepiano」というアルバムは、ECMやワールドミュージックっぽいバンドの中に、ピアノの代わりにフォルテピアノ(モーツァルトとかの時代の楽器)を入れるという面白い作品で、風変わりですがコンセプトがしっかり活きているアルバムです。

このJust Listenというレーベルは、高音質DSD録音で有名なChannel Classicsのサブレーベルです。社長兼プロデユーサー兼エンジニアJared Sacksが、通常業務のクラシックのしがらみ抜きで、息子と一緒に気楽に録音芸術を極めるというマニア向けレーベルだそうです。

ポリシーとしては、マイクや室音調整に全力を賭けて、DSD256直録の編集無し一発録り、というリスキーな手法なので、大手レーベルでは味わえないような直禄ならではの雰囲気を引き出せています。音質も、一般大衆向けの派手なマスタリングはしていないので、下手な装置で聴くとフォーカスが合わずフワフワしていますが、オーディオシステムの性能とセッティングが良くなるにつれて、どんどん録音内に隠された魅力が引き出せるような、奥の深いレーベルです。


2018年でとりわけ奇抜というか、(物理的に)扱いが困ったアルバムは、ブルーノートからウェイン・ショーターの「EMANON」でした。

85歳のショーターがまだ現役で活動しているというのも凄いですが、とくに近年は彼のバンドのPerez、Patitucci、Bladeが凄いという事でも一目置かれています。

CD三枚組で、ロンドンでのライブ・アルバムと、オルフェウス室内管弦楽団とのスタジオ・アルバムという構成です。それだけなら別になんてことないのですが、今回は豪華B5判のパッケージで、そこそこ読み応えのあるアメコミみたいな漫画とのセットになっています。むしろアメコミがメインで、BGMのCDが付属しているような感じです。

ショーターといえば、あっち系で思想豊かな人ですが、コミックスも、作画はプロの手によるものですが、原案はショーターで、かなりトリッピーな世界観です。そういえば以前ショーターの自伝を読んだ時も、彼は幼少期から漫画家になりたくてアメコミやヒーローに憧れていた夢見がちな青年だったようなので、85歳になってようやく夢が叶って感無量でしょう。抱き合わせで変なものを買わされたと憤慨している人もいるみたいですが、私としては、思想はどうであれ、ここまで長年凄い音楽で楽しませたくれたのだから、これくらいの自由はむしろショーターらしさという意味で歓迎したいです。

2019年になってハイレゾダウンロード版も販売するそうなので、アメコミに興味が無い人は、それを買うのも良いと思います。


マイナーなインディーズレーベルからも良いアルバムが多かった一年ですが、Rare Noise RecordsのJamie Saft 「Blue Dream」は結構面白かったです。

リーターのSaftがピアノで、サックスのBill McHenryを迎えてのカルテットです。演奏は真面目なオーソドックススタイルですが、リーダーのホームスタジオで録音したという事で、音作りがずいぶん特殊です。かなりギンギンで高圧的に仕上がっており、まるでドラム&ベースか映画サントラかと思うくらいドンシャリです。現在ジャズの基準であるSystems TwoやSear Soundスタジオとかと全く違うので、こういうのがインディーズの面白いところです。

Bandcampを中心に活動しているので、そっちで買うとハイレゾFLACアルバムが安いです。Bandcampは演奏メンバー同士のソーシャルな「横のつながり」で試聴して、自分好みのバンドやアルバムが開拓できるので、興味がある人にとっては実り多い世界だと思います。




Bandcamp関連であと二枚、Maisha 「There is a Place」と、Moses Boyd 「Displaced Diaspora」が良かったです。サイトで試聴するのも良いですが、こういうのは、ジャケットで音楽内容が全く予測できないので、ジャケ買いのギャンブルも楽しいです。

MaishaはドラマーJake Longがリーダーの6人バンドで、このアルバムではヴァイオリン、チェロなども入れています。ジャンル的には明るい70年代ファンク・フュージョンで、ちょっと2000年代エレクトロっぽさも入れて新鮮に仕上げています。しかも生ぬるいニュージャズとは違い、奏者がみんな上手くてソロを頑張っているのが良いです。(DTMでジャズっぽいのを作っているプロデユーサーは多いですが、雰囲気は出せてもソロが下手でがっかりするので、こういうアルバムは希少です)。

Moses Boydの方は、もっとアフロ・ルーツっぽい感じです。一曲目がトリップホップ風エレクトロなのですが、次は真面目なファンクジャズだったり、ラップ入りR&Bだったり、アルバム全体でジャンルの統一感が無く支離滅裂なのに、イメージというかアイデンティティーは統一されているのが、かえって面白いです。こちらも生楽器演奏が上手いのが、アマチュアDTMとの違いでしょうか。


アフロっぽいといえば、ImpulseレーベルからSons of Kemet 「Your Queen is a Reptile」は面白いアルバムでした。

シャバカ・ハッチングスというロンドンのサックス奏者がリーダーの大編成バンドですが、ダブやサンバ、ヒップホップやレゲェなど、大衆に浸透している音楽を意欲的に取り込んでいます。とくにこのアルバムは、一曲ごとにリズムジャンルを明確に変えているので、わざと曲を飛ばし飛ばし聴くと、意外とその多彩さに驚かされます。

70年代にジャズは、当時流行っていたロックやディスコの要素を取り入れることで、白人層や欧州で新たなファンを獲得したわけですが、2018年の大衆向け音楽の流行として(アイドルやアーティスト目当てではなく、大衆イベントで使われているBGM音楽という意味では)メロディックなテクノロック、アフロビート、ヒップホップが三強状態なので、若手ジャズミュージシャンとしては、普段から接している身近な音楽ジャンルと、自分の音楽教育で培ってきた技術を融合させることは自然な流れだと思います。

2018年はこのアルバムのように、アフロ・ルーツがキーワードだったように思います。メジャー・インディーズともに、そういうバンドが一気に増えました。色々と聴いていると、ではなにかジャズで、なにかジャズではないのか、という境界線を決めるのが難しくなります。

私の勝手な解釈としては、どんなテーマでもハーモニー方向でソロ回しを頑張るのがジャズだと思います。極限まで単純化すれば、メロディとサビ(ブリッジ)を同じハーモニーで3回繰り返すポップスになり、逆にあまり頑張りすぎると意味不明な自己満足パズルになってしまいます。つまりメロディとリズムの素材は歌謡曲でもアフロファンクでもなんでもいいですし、速弾きとかの技巧も無意味で、演奏者がそこから機能和声で面白い展開を見せてくれればジャズになるという考えです。古くから、ジャズのスタンダードといえばヒットミュージカルのシングル曲が多かったわけですが、現在のアーティストにとってミュージカル以上に身近なのがEDM・ヒップホップなどなのでしょう。

では逆に、今回紹介してきたアルバムの中で、オーソドックスなモダンジャズスタイルと、それ以外のジャズでは何が違うのかというのも、線引きが難しいです。

これも私の勝手な解釈としては、奏者の目指す曲の流れやリズム感覚が、スウィングを重視しているのが前者で、グルーヴを重視しているのが後者だと思います。知ったかぶりですが、歌舞伎と能楽の違いみたいなものでしょうか。

なんでも勝手にジャンル分けするのは良くないと思いますが、こういった核心的な部分を自分なりに把握することで、自分が気に入りそうな音楽を見つけやすくなり、逆に気に入らない音楽の理由も理解出来るようになり、それらを楽しむ方法もわかってくると思います。

ジャズ復刻盤

やはりジャズ全盛期の名盤というと1950~70年代までが多いので、2018年もあいかわらず古いアナログ録音のハイレゾリマスターが続々登場した一年でした。


高音質SACDリマスター最大手のMobile Fidelityからは、年末ギリギリで、マイルス・デイヴィスの「Miles Smiles」が出ました。

これまでマイルスのコロンビア時代を精力的にリリースしてきたMobile Fidelityですが、このMiles Smilesだけは何故か一向に発売されず、もうダメかと諦めていたところにようやく登場です。ショーター在籍時代のアルバムE.S.P.、ソーサラー、ネフェルティティなど、これで一通り出揃った事になります。

このMiles Smilesというアルバムは1999年(つまりSACD最初期)にソニー公式SACDで出て、それ以降何度か再販されていますが、音がシャリシャリしていてあまり良くなかったので、それよりも2011年版のCDリマスターの方を好んで聴いていました。

今回Mobile Fidelity版は旧盤よりも温厚で柔らかい感じなので、じっくり音色を堪能するにはこれがベストだと思います。(エソテリックからも以前SACDが出ていましたが、高くて買っていません)。


マイルスのリマスターといえば、コロンビアレーベル公式からも、なぜか単発で「Sorcerer」がハイレゾPCMで発売されました。

2009年版CDに使われたデジタルマスターかと思いきや、サウンドはかなり違います。どちらかというとMobile Fidelity SACDに近い、柔らかく分離の良い音作りです。CD版の方が刺激的で迫力があるので、どちらが良いかは好みが分かれますが、このハイレゾ版の方がオリジナルマスターテープに近いのかもしれません。

高価なSACDを買わなくても良いと考えれば悪くないリリースです。このまま残りのアルバムも続けてくれると嬉しいのですが。


もう一枚、レーベル公式のPCMハイレゾリマスターでは、RCA Victorのデューク・エリントン「... and his mother called him Bill」が登場しました。これは既存CD、オリジナルLPともにあまりパッとしなかったので、ハイレゾPCMで音質がシャキッとしたのはとても嬉しいです。

1967年、エリントンバンドを影で支えてきたビリー・ストレイホーン急逝のため、追悼盤として彼の作品を演奏したアルバムです。この頃のエリントンバンドらしく、様式美を極めた細やかな演奏で、ハイレゾリマスターの恩恵がとくに感じられる一枚でした。明るい中にも空騒ぎのような哀愁が漂うストレイホーン作品は本当に素晴らしいです。最後にバンドが雑談(片付け?)している中で、エリントンのソロピアノLotus Blossomでしめるのも、ストレイホーンへの愛が感じられて良いです。








Analogue ProductionsもあいかわらずSACDリマスターを頑張っており、ジャズはPrestigeレーベルの作品が数枚出ました。社長の趣味なのか、ソウルフルなアルバムが多く、とくにオリバー・ネルソン「Screamin' the Blues」は良かったです。

ドルフィーの名盤「Out There」や、ブッカー・リトルとの有名な「At Five Spot Vol.1」が出たので、ドルフィーマニアは喜んでいると思います。

音質もこれまでのOJCやRVGと比べて良くなっていますが、このレーベルの音作りは全体的に丸くガッツのある仕上がりなので、オリジナル盤LPの鮮烈な迫力を期待していると、ちょっと肩透かしをくらうかもしれません。リラックスしてサックスのブロウを堪能するには良いです。

ジャズ以外では、ヘンドリックスの「Axis: Bold as Love」もSACDリマスターで出してくれて、これもCD旧盤と比べて音質向上に驚きました。ステレオとモノラルを両方収録してくれているのも嬉しいです。(ステレオ版は変なステレオエフェクト効果が多用されていて古臭く聴こえるので、モノラルの方が良かったりします)。


ステレオ&モノラルといえば、ジャズからは若干離れますが、キャピトルのフランク・シナトラ1958年盤「Only the Lonely」がハイレゾリマスターで登場し、こちらもステレオとモノラルの二つのバージョンが収録されて聴き比べできます。オーケストラをバックに堂々と歌う、シナトラの定番アルバムです。

モノラルなんて、ステレオの左右チャンネルを合成すれば簡単に作れるのだから、わざわざ別バージョンなんていらない、と思う人もいるかもしれません。ところが、この頃はステレオとモノで全く異なるスタジオミックスを行っていた事例が多く、そもそもエンジニアが異なる場合も結構あります。

このシナトラのアルバムも、ステレオだとゴージャスなオーケストラに包み込まれるような雄大なサウンドですが、モノラルの方がシナトラ本人の音像がクッキリと浮き上がり、オケはあくまでバックバンドに徹するので、どちらが良いというよりも、音楽体験そのものがまるで違います。



Solid Stateレーベルのサド・ジョーンズ&メル・ルイス ビッグバンド初期アルバムがハイレゾPCMで復刻されました。66年の「Presenting...」と、68年の「Monday Night at the Village Vanguard」の二作です。

エリントンやベイシー以降の新世代ビッグバンド代表格だった、通称「サド・メル」バンドですが、この頃はまだファンキーなテレビミュージックっぽくなく、生楽器中心で、ベイシーっぽい伝統的なビッグバンド形式です。緻密で精巧なテーマアレンジに、フィーチャリング・ソロ回しという典型的なスタイルの、かなりホットなアルバムです。

今回復刻された二枚で、当時のスタジオとライブ演奏のそれぞれ異なる側面が味わえるのは嬉しいです。


古いラジオ局テープなどをDSD128・256超ハイレゾで復刻している2xHDレーベルですが、2018年もズート・シムズ、ビリー・ホリデイなどの大物揃いで続々リリースが続きました。

ただし、そもそもの音源が音が悪いものが多いので、わざわざ高価な超ハイレゾフォーマットで買うのも馬鹿らしいと思う事が多いです。とくに個人的にレスター・ヤングが大好きなので、「Lester Leaps In」という1951~56年のコンピが登場したのは嬉しかったですが、音質面では既出のCDとあまり変わらないので、もうちょっと凄いものを期待していました。

この2xHDレーベルというのは、他社レーベルのためのリマスターを行うコンサルタント業務がメインなので、音質面で出来る限りの努力を尽くしているようですが、アタリハズレがあるようです。


そんな2xHDの中でも、音質が圧倒的に優れていて驚かされたのが、ウェス・モンゴメリー1965年フランス・パリ・コンサートでした。

マニア具合に定評のあるResonanceレーベルからの企画で、CDでも発売されて話題になりました。国内盤は2017年末に発売したので、去年も紹介したかもしれません。

フランスの国営テレビ局ORTFによる録音(日本でいうNHKのようなもの)なので、音質は素晴らしく、ウェスはかなりオンマイクでホットに録りながら、広大なコンサートステージの音響もしっかり再現できており、まるでクラシックの協奏曲録音のような録音です。演奏も、ウェスがイージーリスニングに移行する前で、ジャズをバリバリ弾いていた頃なので、「Full House」とか「Half Note」など有名ライブ盤が好きな人なら是非聴くべきです。


続いて2018年末に登場したエリック・ドルフィー「Musical Prophet」のDSDリマスターも、とても良かったです。CD3枚組、2時間半に渡る長尺リリースで、値段もその分高価なので、購入に躊躇しますが、買ってよかったと思いました。

ドルフィーのPrestigeからBlue Noteへの転換期(つまりOut to Lunchの直前)にUnited Artistsのプロデユーサーと録ったセッションで、すでにIron Man・Conversationsという二つのアルバムでリリースされていますが、今回はこれら二枚と別テイク集で三枚組になっています。

既にFresh Soundsから出ているCDはステレオなのですが、今回はモノラルマスターテープからの復刻だそうです。この新盤のブックレットによると、ステレオマスターは紛失して行方不明と書いてありますが、実際はどうなのでしょう。ともかくFresh Soundsのやつは左右に分離しすぎていて違和感があり、かなり聴きづらいステレオなので(レーベルサイトで試聴できます)、案外こっちのモノラルの方が良いと思います。

2xHDレーベルを買うなら、このウェスやドルフィー、他にはゲッツやビル・エヴァンスなど、まずResonanceレーベルとの共作から聴いてみるべきだと思います。


Fondamentaも、ヨーロッパの古いラジオテープを発掘・デジタル変換して販売しているレーベルです。

ほとんど趣味の道楽みたいな会社なので、リリースは少ないですが、2018年はジャズではブロッサム・ディアリーのオランダでのリサイタルコンピレーションと、アート・ブレイキー1958年オランダ公演が出ました。

とくにブレイキーは、メッセンジャーズで代表作Moanin'をリリースした時点での興行ライブなので、同じメンバー構成の「モーガン、ゴルソン、ティモンズ、メリット」という最高のラインナップで、Moanin'もちゃんと演奏します。当時まだ空前の大ヒットになるとは思ってもいなかったでしょうし、ブレイキーが観客に「ブルーノートレーベルでよろしく」「新作買ってくれ」みたいなアナウンスしているのが、今となっては可笑しいです。


メジャーレーベルからの発掘音源リリースでは、コルトレーンの「Both Directions at Once」が大きな話題を呼びました。ジャケットに「The Lost Album」とあるように、1963年ヴァン・ゲルダースタジオで録音された正規アルバムセッションですが、なぜか当時発売されず、そのまま埃を被っていたそうです。

63年というと、ちょうどインパルスレーベルで「Ballads」と「A Love Supreme」の中間にあたる絶頂期(実際これは「John Coltrane and Johnny Hartman」の前日セッション)で、マッコイ・タイナー、ジミー・ギャリソン、エルヴィン・ジョーンズという代表的バンドメンバーでの作品、しかも没テイク集とかではなく、アルバム一本分の新録ということで、歴史的価値が大きいです。

個人的な感想としては、たしかに当時アルバムとしてリリースされていたとしても遜色ないような上出来の作品で、録音・リマスターともに優れていると思います。しかしコルトレーンはこの前後に本当に神がかっている公式アルバムを連発しているので(とくにこの直後、ヴィレッジ・ヴァンガードで二枚のライブ盤を経て、「Crescent」「A Love Supreme」と続くので)、にわかファンとしては、今作にそこまで熱狂的になるほどでもありませんでした。

メジャーレーベルからのリリースだけあって、雑誌やネットニュースなどで「世紀の大発見」などと過剰なほどに持ち上げていたので、ちょっとシラケてしまったというか、本気のコルトレーンファン以外は、もっと別のアルバムを聴いたほうが良いのでは、と思いました。


マニアックな発掘音源なら、コルトレーンよりもこちらのミンガス「Jazz in Detroit - Strata Concert Gallery」が注目を浴びるべきです。BBE Recordsという、超マイナーなアシッド、グルーヴ系レーベルから出たアルバムで、1973年デトロイトでのライブです。

デトロイト出身で、このライブでドラマーも努めたロイ・ブルックスの奥さんが、当時のラジオ放送テープを持っていて、それを現地のヒップホップDJ兼ジャズマニアが偶然発掘したというエピソードがブックレットに書いてありました。

直立猿人から始まり、Celia、C-Jam Bluesなどの定番で、ミンガスらしくどの曲も20分くらいの長尺で怒涛のソロ回しです。ラジオ生放送らしく、中間にロイ・ブルックスのインタビューが入っているのも面白いです(40分くらいあるので、一度聞いたら飛ばしますが・・)。

録音品質もライブにしては良好で、バンドはビッグバンドではなく、Joe Gardner、John Stubblefield、Don Pullenと、次世代を牽引するメンバー揃いの二管クインテットなのが良いです。ミンガスといっても初期のブイブイ鳴らすノイジーな荒々しさではなく、まさにエリントンの後継者ともいうべき美しいアレンジメントとスウィングの天才を見せてくれます。


クラシックのニューアルバムは次回に続きます