2016年1月26日火曜日

Beyerdynamic DT1770 PRO ヘッドホンのレビュー

ベイヤーダイナミックの2015年新作ヘッドホン「DT1770 PRO」を紹介します。

密閉型スタジオモニターヘッドホンのロングセラー「DT770」の上位モデルという位置づけで、価格帯もDT770の2万円台から一気にランクアップして、現在7万円前後で販売されています。

ベイヤーダイナミック DT1770 PRO

上質なルックスや、着脱可能なケーブルなど、DT770とくらべて、色々と値段相応のアップグレード感がありますが、一番の見どころは、フラッグシップ機「T1」ゆずりの「テスラテクノロジー」ドライバを搭載していることです。さらに今回DT1770では、新開発の「テスラテクノロジー 2.0」という技術が使われているそうです。

年末年始の新製品ラッシュの中、色々なヘッドホン関連商品を試聴する機会がありましたが、唯一気に入って購入したのは、このDT1770でした。開封してからそろそろ100時間以上鳴らしているので、音質についての感想も大体まとまってきたところです。

個人的にDT770、T70、T5pなど、これまでの密閉型ベイヤーダイナミックは好みではなかったのですが、今回のDT1770はかなり違う路線を攻めてきた印象です。

2016年1月24日日曜日

Astell & Kern AK240の分解と、ボリュームノブの修理

先日、ひょんなことからAstell & Kernの高級DAP「AK240」を手に入れました。

中古で買ってしまったAK240・・・

知り合いのマニアな方から、「AK380を買ったから、AK240はもういらない。処分したい。」と声をかけられて、次の瞬間にはすでに私の手元にありました。

とはいっても、実際の商談はそこまで簡単ではなく、まず保証期間が切れていること、そしてボリュームノブに不具合があることを理解した上で、ということが条件でした。とはいっても定価の三割程度の値段というオファーをスルーすることも出来ず、これまであまり興味が無かったものの、この機会に買い取ることを決断しました。

本当は、Fiio X7を買うために貯金していたお金だったのですが、やはりAK240は「腐っても鯛」ということで、音質云々よりも、カッコいいデザイン、バランス出力、そして内蔵256GBのメモリが魅力的です。

AK240についてはもう各所ブログや掲示板などで語り尽くされている感じですし、今更記事にしても面白くないとは思いました。でも最近は、中古市場がかなり手頃な価格になっており、「この値段だったら買ってみようかな」と思っている人も多いと思います。そのため、AKシリーズで多く見るボリュームノブの不具合をまず対処しようと思います。


2016年1月19日火曜日

2015年 最近のDSDブームとか、DSD256 高音質アルバムとか(後半)

前回、DSDの高音質アルバムを紹介するはずが、初期の1bit DSDデータの歴史についてダラダラと書いていたら長くなってしまったので、二分割しました。今回は、その後半です。

高音質DSD録音といっても、規模や手法はスタジオごとに千差万別です

クラシックの高音質レーベルというとたくさんありますが、最近オーディオマニアが興味を持っているDSD録音や、さらには高レートのDSD128、DSD256、またはPCM 352.8kHz (いわゆるDXD)で録音しているレーベルが増えてきています。しかし、これらをダウンコンバートせずに直接販売しているレーベルというと限定されるので、いくつか気に入ったレーベルなどを紹介したいです。

2016年には、このような超ハイレゾ直販サイトが増えてくれるといいですね(特にアメリカのレーベルにはもっと参入してほしいです)。

2015年 最近のDSDブームとか、DSD256 高音質アルバムとか(前半)

前回、2015年に発売されたクラシックのCDやハイレゾPCMの高音質盤などについて紹介しました。今回は、DSD256などを含めて、最近流行りのDSDについて振り返ってみようと思います。

商業的DSD録音ももうすぐ二十周年。DSDデータからLPレコードを作っているレーベルだってあります

2015年になって、多くのUSB DACやポータブルDAPなどが「DSD対応」および「ネイティブDSD再生」を掲げており、セールス的に重要なキーワードとされています。

また、DSDにおいても、いわゆる従来のスーパーオーディオCD(SACD)から使われているDSD64(2.8MHz)よりもサンプルレートが高い、二倍速のDSD128(5.6MHz)や、四倍速のDSD256(11.2MHz)といった、とんでもないフォーマットに対応する機器が増えてきました。

家庭用USB DACがこういった高速サンプルレートに対応することは、メーカーの技術力の高さを披露できるため有用ですが(逆に言うと、そうでもしないかぎり目立つ手段が少ない、とも言えます)、来年以降は、どのメーカーもこのような現実離れした高レートにすべて対応できることが当たり前になってくるのでは、と思います。

しかし、それと同時に、「DSDが流行ってても、誰もDSD録音のアルバムを持ってないよ」なんて、笑い話のように扱われています。事実、日本国内ではソニーのMoraを筆頭にDSD音源を販売しているサイトはチラホラとありますが、価格設定がPCMよりも割高ですし、アルバムの絶対数が少ないです。

というわけで今回は、実際に購入して音質が良かったDSDアルバムや、販売サイトについて紹介しようと思います。

2016年1月12日火曜日

2015年 クラシックの高音質CDとか、ハイレゾダウンロードとか

今回は、2015年に試聴で使った音楽をいくつか紹介しようと思います。

正月休み中に、自分用メモも兼ねて、2015年にどんな音楽を聴いたか、色々と振り返ってみました。

私自身はジャズとクラシックをメインで聴いているので、「そういうジャンルに興味はあるけど、何を買っていいか分からない」という人にぜひ聴いてもらいたい、最新の高音質アルバムを何枚か取り上げてみましたので、もしどれか一枚でも気に入ってもらえたら嬉しいです。


2015年はCDとハイレゾダウンロードの両方とも豊作な一年でした。いつも週にアルバム5枚くらいのペースで買っているのですが、例年と比べてダウンロードで購入できる楽曲はかなり増えてきたようで、最近では全体の3割くらいはダウンロードで購入しています。しかし、いまだにCDオンリーのアルバムもたくさんありますので、まだまだCDは死んだと言うには早いようです。

ハイレゾダウンロード販売の動向を見ると、最新録音のニューリリースと、往年のアナログ名盤をリマスター化したものに二分化されているようです。もちろん古い録音でも名演は多いですし、最新リマスター技術で驚くほど高音質になって蘇るのは嬉しいので、新譜、旧盤ともにハイレゾ化の波に乗って、どんどんリリースして欲しいです。

2016年1月10日日曜日

HIFIMAN Edition X の試聴レビュー

年末年始、気になったけど値段が高くて買えなかったシリーズ、これまでに「Fiio X7」と「Shure KSE1500」を紹介しましたが、今回は「HIFIMAN Edition X」を紹介します。

HIFIMAN Edition X

大型の平面駆動型ドライバを搭載する高音質ヘッドホンとして、Audez'e LCDシリーズと双璧をなすHIFIMANですが、2015年5月には$3,000USD(約35万円)のフラッグシップヘッドホン「HE1000」を発売して話題になりました。(HE1000の試聴レビュー)。

平面駆動型ヘッドホンというのは総じて高価なものですし(2万円のFostex T50RPは例外ですが)、ライバルのAudez'e LCD-4は50万円ということで、HE1000の35万円は格別に高いというわけでもありません。とは言ったものの、HE1000のデザインは無駄にゴージャスに仕上がっており、ステンレス削りだしや木材、レザーなど、贅の極みを尽くしたような嗜好品といった印象も強かったです。

今回発売された「Edition X」は、このHE1000の外観と音質を継承した上で、材料面でのコストダウンを図り、価格を$1,800USD(約21万円)に下げたモデルです。21万円というのはそれでも非常に高価ですが、たとえば一般的なダイナミック型ヘッドホンのフラッグシップ機(HD800やT1など)と勝負できる価格帯なので、そういった意味では魅力的な製品です。

また、ポータブル機でも利用できるように能率も若干上がったようです。

Shure KSE1500 コンデンサ型IEMの試聴レビュー

年末年始、気になったけど値段が高くて買えなかったシリーズ、前回はFiio X7を紹介しましたが、今回はShureの高級IEMイヤホン「KSE1500」です。

KSE1500は単なる「イヤホン」と言うには恐れ多い超高級品で、その価格は36万円という、とんでもない商品です。

Shure KSE1500

実際、30万円を超えるイヤホンというのは海外のカスタム品などを中心にいくつかすでに存在しているので、今回のShure KSE1500は飛び抜けて高価というわけではなく、たとえば常に色々なモデルを買い換え続ける「ヘッドホンスパイラル」から抜け出したい人であれば、これくらいの値段を検討しているだろうと思います。

ではなぜKSE1500が注目を浴びているかというと、まず、これまでShure社の最上位イヤホンは10万円のマルチBA型IEM「SE846」で、その高音質が大好評を得ているため、上位モデルへのユーザーの期待が高いということ。そして、今回のKSE1500はBA型ではなく、「コンデンサ型」という方式のドライバを搭載している、イヤホンとしては革新的な製品だからです。

2016年1月9日土曜日

Fiio X7 DAPの試聴レビュー

2015年クリスマス商戦から年末年始にかけて、いろいろな新製品が出ました。個人的に気になるものは一通り試聴してみたのですが、さすがに全ては買えませんし、今すぐ欲しいというものでもありません。

年明け後も色々な新製品を試聴してみた結果、唯一ベイヤーダイナミックDT1770を購入したのですが(また後日レビューします)、それ以外にも魅力的な製品がいくつかあったので、それらを簡単に紹介してみようと思います。

具体的には、
  1. Fiio X7 DAP
  2. Shure KSE1500 静電駆動型IEM
  3. HiFiMAN Edition X 開放型平面駆動ヘッドホン
の3つです。

Fiio X7

というわけで、今回はまずFiio X7について、試聴してみた際の個人的な感想などをメモしておきます。購入したわけではないので、実際に長期間使ってみれば色々なアラが出てくると思いますが、第一印象はとても良かったです。