2019年7月22日月曜日

Astell&Kern KANN CUBE の試聴レビュー

Astell&Kernの新作DAP「KANN CUBE」を聴いてみたので感想を書いておきます。

Astell&Kern KANN CUBE

2019年6月発売のポータブルDAPで、価格は約18万円です。ポータブルとは呼べないほとの巨大なボディサイズに、大型ヘッドホンも駆動できる強力なヘッドホンアンプを搭載するユニークな商品です。


AK KANN

2019年現在、Astell&Kern(AK)のポータブルDAPラインナップは「第四世代」シリーズの「SR15・SE100・SP1000」という三機種が主力商品になっています。追って発生モデルのSP1000M・SP2000も登場しました。

2017年にこれら第四世代シリーズが出るまでは、第三世代DAPシリーズのAK300・AK320・AK380という三機種が展開されていたのですが、その当時、新たに独立した企画として登場したのがAK KANNでした。

AK KANN

初代AK KANNのコンセプトは、第三世代AK DAPをベースに、専用の大型ハウジングに強力なヘッドホンアンプを内蔵するというアイデアです。

当時のポータブルDAPというと、小型化が進み、あくまで高能率イヤホンを駆動する程度の非力なデバイス、というのが常識だった中で、あえて大型化して据え置きヘッドホンアンプ並の高出力を発揮できるKANNは意外性がありました。ニッチな需要を埋める事に成功して、ずいぶん好評を得たようです。(私自身も購入して結構使っていました)。

DAPでヘッドホンを使いたいとなると、いわゆる「ポータブル用」というような高能率で音量が取りやすいタイプが必須であり、据え置きアンプで鳴らすような最高級ヘッドホンよりはワンランク落ちる、というイメージが強かったのですが、KANNが登場したくらいから多くのDAPメーカーが高出力を目指すようになり、家庭用大型ヘッドホンでも難なく駆動できるという事が次世代ポータブルDAPの一種のセールスポイントになりました。

ヘッドホンオーディオ市場は「ポータブル」と「据え置き」で二分化しているような状態なので、その間を埋めるような存在としてKANNは先進的なアイデアでした。

KANN CUBE

初代KANNでさえ巨大だと言われていたのに、新作KANN CUBEはさらに巨大化しています。画面が4インチから5インチに拡大されたことも理由の一つです。

KANNと比較

KANNと厚さ比較

厚みはKANNと同じくらいですが、平行ではなく左側が若干厚くなっています。

さらに、493gという重量も凄いです。他のAK DAPと比べてみると:
  • SP1000M 203g
  • SE100 241g
  • KANN 279g
  • SP1000 388g
  • SP2000 432g
  • KANN CUBE 493g
ということで、KANN CUBEが飛び抜けて重い事がわかります。

この巨大なサイズ感だけが話題として独り歩きしていますが、一旦冷静になってDAPとしてのスペックを見てみると、実はそこそこ王道なAK DAPデザインだという事に気がつきます。上から見るだけなら、SE100やSP1000と並べてもそこまで違和感がありません。

SE100と比較

SE100と厚さ比較

KANN CUBEの公式スペックによると、アンバランス・バランス出力がそれぞれ6Vrms・12Vrmsと書いてあります(どちらも無負荷時)。初代KANNが4Vrms・7Vrmsだったので、飛躍的にパワーアップしています。ちなみにSE100は2Vrms・4.1Vrmsで、SP1000もそれくらいです。

D/AチップはESS ES9038PROをデュアルで搭載しています。初代KANNは旭化成AKM AK4490をシングルで搭載していたので、音質面でも大きな変化があると思います。

現行AK DAPを見ると、SE100はESS ES9038PROをシングル搭載、上位モデルSP1000・SP1000M・SP2000は旭化成チップを採用しているので、つまりKANN CUBEはSE100基板にアンプモジュールを付け足しただけというわけではなく、専用の独自設計だというのは意外でした。価格もSE100とほぼ同じ(約18万円)なので、買うとなると悩ましいです。


上の写真でSE100と並べてみるとわかるように、画面は5インチ720 × 1280ピクセルで、第四世代AK DAPインターフェースOSを搭載しています。つまり使い勝手はSE100やSP1000などとほぼ同じです。

再生フォーマットはPCM 384kHz・DSD256など、最近の主要なフォーマットは全部網羅しているので、現行AK DAPとして遜色ないスペックです。

初代KANNは4インチ480 × 800ピクセルに第三世代インターフェースだったので、買い替えを検討している人にとってはこのあたりの変化が一番大きいかもしれません。

側面

本体側面にはシンプルにボリュームノブとトランスポートボタンがあります。

初代KANNはスクリーンの下に大きな物理トランスポートボタンがあって、そのせいで画面上で曲送りアイコンが無いのがちょっと戸惑ったのですが、KANN CUBEはそういった変な独自設計は無しに、現行AK DAPをそのまま移植したような使い勝手です。

背面

USB C端子

背面、底面も至ってシンプルで、これといったギミックはありません。側面の四角い切り欠きがデザイン上ずいぶんインパクトがあります。手で握りやすいようにというコンセプトでしょうか。90年代のパソコン周辺機器とか、SF映画の小道具みたいなレトロ感が、好き嫌いが分かれそうです。

サイズを生かして大容量7400mAhバッテリーを搭載していますが、高出力のためなのか、再生時間スペックは9時間となっています。実際フルパワーで使うのでなければ、もっと持ちそうです。

初代KANNでは充電用とデータ用で二つあったUSB端子が、KANN CUBEでは一つだけになりました。充電しながらOTGトランスポートとして使うといった特殊な使い方ならば分けてある方が有利ですが、そうでない一般的な用途には、ケーブル一本で充電とデータ(ストレージ読み書きやUSB DACモード)がまかなえる方が便利です。

電源ボタンとヘッドホン端子

肝心のオーディオ出力は3.5mmアンバランスと、AK DAPらしく2.5mmバランス端子を搭載しています。となりの四角いパネルみたいな部分は無線アンテナでしょうか。

バランス端子といえば、近頃は多くのメーカーが4.4mm端子を搭載するようになったので、2.5mmを推奨しているAKはちょっと分が悪いです。

私自身は4.4mmの方が良いと思うのですが、2.5mmタイプのケーブルやイヤホンは豊富な種類が手に入るので、いきなり廃止というのも難しいのでしょう。

3.5mmアンバランス出力は、ソフト上で固定ライン出力レベルにも設定できます。(単純にボリュームが2Vrmsなどに固定されるだけです)。

5pin Mini XLR

2.5mm端子は固定レベルライン出力には設定できません。そのかわり、側面には新たにバランスライン出力専用の5pin Mini XLR端子が搭載されています。

つまり内部のヘッドホンアンプ回路に送られる前のライン信号をそのまま取り出すための端子です。

Mini XLRというとAKGやベイヤーのヘッドホンケーブルなどでよく使われている形状ですが、それらは3pinで、こちらは5pinですので互換性はありません。ちなみにケーブルは付属していません。

この出力はボリューム固定・可変が選べるので、据え置き型ヘッドホンアンプに送ったり、DACプリとして、パワーアンプやアクティブスピーカーに接続することができます。

AKの2.5mmバランス端子は4極なのでシャーシGNDが取れないため、他の機器につなげると基準電位が不安定でノイズが発生したり悩まされたので(その弱点を克服するためGNDがとれる4.4mm 5極バランスが生まれたのですが)、これまでAKは2.5mm&3.5mmの両方を使う変なPEF21バランスラインケーブルとかを作っていました(3.5mmでグラウンド電位を取るため)。

今回その「5極でグラウンド基準のとれるバランス端子」の回答が5pin Mini XLRという形になったわけです。素直に4.4mmにすれば良いのにと思うのですが、AKの心の内はよくわかりません。

メリットとしては、ヘッドホン端子と兼用ではないので、間違えてボリュームを上げすぎて送り先のオーディオ機器を壊してしまう心配が無いのは良いです。

ケーブルは付属していません

ライン出力DACとして

せっかくなのでXLRラインケーブルを作ってみました。

ちなみに5pin Mini XLRコネクター自体は容易に入手できるのですが、4.4mmと同様に、コネクター径が細く、接点もかなり小さいため、あまり太いケーブルが使えないのが残念です。とくにラインケーブルとなるとヘッドホンケーブルやスピーカーケーブルと違ってシールドや絶縁素材が肝心なので、それらをどうやって端子に収めるかが難点です。無理に詰め込んで絶縁不足でクロストークが発生したら元も子もありません。

余談になりますが、ケーブルを作ってみて困ったのが、いくつかのショップサイトなどに書いてあるピン番号が一般的なXLR番号と真逆になっています。つまり現在ネットに上がっている情報だと1番ピンがGND(番号順でGND L+ L- R+ R-)と書いてあるのですが、NeutrikやSwitchcraft基準(端子に書いてある番号)では4番ピンがGNDに該当します。これはたぶんオスメスを間違えてイラストに書いてしまっているようです。

つまり実際にケーブルを作る場合は鏡対称に作る必要があります。心配なら、とりあえずテスターでどのピンがシャーシGNDに落ちているかを確認してから作業してください。

インターフェース

KANN CUBEは第四世代AKインターフェースをそのまま搭載しているので、Bluetooth、無線LANサーバー、Androidアプリインストール対応などの機能が充実していますし、音楽再生に特化した用途には最適です。

最近のアップデートで横置き画面にも対応するようになったりなど、常に進化しており、完成度が高く直感的に使いやすい、良いインターフェースだと思います。

近頃は多くのDAPメーカーがフルAndroid OSなど多機能に走っており、初心者があれこれいじって遊ぶには良いのですが、最終的に最高音質で音楽を聴くための装置としては、AKのように、それに特化したスマートなインターフェースOSが最適だと思います。一見同じに見えても、レスポンスの速さや安定性は群を抜いています。

優れたタッチスクリーンインターフェース

ストレージ

内蔵ストレージ128GB+マイクロSDスロット×1です。

初代KANNではさらにフルサイズSDカードスロットもあって、個人的に結構重宝していたのですが、世間ではあまり需要が無かったのでしょうか、KANN CUBEでは廃止されてマイクロSD1枚のみになりました。(AK第四世代インターフェースOSにわざわざ二枚挿し対応させるのが面倒だったのでしょうか)。

私の場合、400GBや512GBのマイクロSDカードが手に入るようになってから、もはやスペースに困ることはほぼ無くなったので、カードスロット1枚というのは致命的な問題ではありません。

しかもカードスロットがバネ式になったのが嬉しいです。SP1000のような細い棒を押してトレイを出すタイプは嫌いです。

ショートカット

画面上端からのスワイプで、頻繁に使う機能のショートカットボタンが現れます。さらに、たとえばLine Outを長押しすれば設定画面のLine Outに飛ぶなど、慣れると重宝する機能が多いです。

ファームウェア

ファームウェアは無線LAN経由で更新チェックできますが、今回使った試聴機はVer. 1.01が搭載されていました。今後バージョンアップで新たな機能が追加される可能性もあります。

Settings

設定画面は他のAK DAPとほぼ同じですが、KANN CUBEのみ「XLR」というボタンが追加されました。これをONにすることで側面の5pin Mini XLR端子が有効になります。

ゲイン設定

ライン出力設定

ヘッドホン出力のゲイン設定はLow・Mid・Highの三段階あります。さらにライン出力も独自にゲイン設定が選べるのが嬉しいです。

Unbalanced (3.5mm)とXLRそれぞれに出力電圧(RMS)が表示されているのは気が利いています。最近のオーディオ機器に送るには2V/4Vrmsで大丈夫だと思いますが、低めの設定も選べるのは約に立ちます。

ちなみにSE100などのAK DAPは出力ゲインがあまり高くなかったので、ボリュームノブを最大にすればちょうど2Vrmsでライン出力相当になったのですが、KANN CUBEは高ゲインすぎて、従来のようにヘッドホンモードでボリュームノブ最大で繋げると送り先機器を壊してしまう可能性があるので注意が必要です。

出力

いつもどおり出力電圧を測ってみました。

公式サイトによると、アンバランス・バランスがそれぞれ6Vrms・12Vrmsと書いてありますが、AK DAPの公式スペックは必ず「無負荷時」での電圧なので、実際に負荷を与えた時(つまりヘッドホンを接続した時)の出力については、測定してみないとわかりません。他のDAPメーカーの場合、何Ωで何ワット出せると明記してある事が多いので、その点AKは不明瞭です。

0dBFSの1kHzサイン波信号ファイルを再生しながら、ヘッドホン端子に負荷を与えてボリュームを上げていって、歪みはじめる(THD < 1%)時点での最大電圧振幅(Vpp)です。

KANN CUBE

アプリ設定でのHIGH・MID・LOWゲインを変えてみたグラフです。バランスが実線で、アンバランスが破線です。5pin Mini XLR出力も測ってみました。

無負荷時はバランスで33.5Vpp (11.9Vrms)、アンバランス17.6Vpp (6.2Vrms)になったので、スペック数値とぴったり合います。

ただし、グラフを見るとわかるように、200Ωではすでに25Vpp・16Vppに落ち込んでいます。ようするに高ゲインではあるものの、パワーはそこまで高くないようです。

比較

他のDAP・ヘッドホンアンプと比較してみました。KANN CUBEは負荷インピーダンスが下がるにつれてSP1000と同じようなカーブに収束しているのがわかります。初代KANNと設計がずいぶん違うのが面白いですね。

やはりヘッドホンのインピーダンスを問わず定電圧駆動するには、CMA400iのようにコンセント電源の据え置き型アンプにメリットがあるようです。バッテリー式アンプではiFi Audio micro iDSD BLが相変わらず健闘しており、AKの据え置きアンプL1000も似たような出力です。

ここで肝心なのは、実際の高パワーというのは、上のグラフの波形テストのように継続的な信号だけでなく、ドラムの打撃など、必要な時にどれだけ瞬間的な電力供給ができるかという事も重要ですので、簡単なテストだけでは計り知れません。

実際私自身はiFi Audio micro iDSDを毎日使っていますが、ターボモードは大音量すぎて、一度も使ったことがありません。そのあたりのバランスを見据えてのアンプ設計という意味ではKANN CUBEは妥当なラインだと思います。



上のグラフは、同じ0dBFSサイン波信号で、無負荷時1Vppになるようにボリュームノブを合わせてから負荷を与えた状態での出力です。

公式スペックでは出力インピーダンスがアンバランス1.2Ω・バランス1.6Ωとなっており、グラフを見てもアンバランス(破線)の方が若干優れていますが、どちらも優秀なので、あえてアンバランスを選ぶほどのメリットは薄いようです。

注目したいのは5pin Mini XLR端子です。ヘッドホンアンプ回路を通さない純粋なライン出力端子だという事ですが、グラフでもそれが確認できます。

つまりライン受け渡しのための専用出力なので、これでヘッドホンを駆動することはできません。一応音は出ますが、出力インピーダンスが高いためリニアな周波数特性は得られません。その代わり、オーディオ機器にライン接続すれば、余計な回路を通さない純粋なDACからの信号が得られます。

音質とか

せっかく高出力DAPということなので、試聴にはまずFostex TH610を使ってみました。

Fostex TH610

TH610のスペックは25Ω・98dB/mWなので、「インピーダンスが低いのに鳴らしにくい」ヘッドホンの良い例です。音量は十分出せても、弱いアンプだと音が悪いです。

単純計算で、このヘッドホンで120dBSPLを得るためには5.6Vpp(2Vrms)必要になるので、先程のグラフで見る限りでは若干厳しいです。(もちろん実際はそこまで大振幅が必要かは別問題です)。

かといって、単純に600Ωのヘッドホンを選んで「大音量が出せるぞ」と確認するのでは芸がありません。

音量が大きいことと音質が良いことは別問題なので、25Ωのヘッドホンを駆動してみて、それでSE100やSP1000などと比べて音質はどうなのかテストすることで、KANN CUBEの真価が測れると思いました。


BISからAlexandre Kantorowのサン=サーンス・ピアノ協奏曲集を聴いてみました。

先日チャイコフスキーコンクールを優勝して一躍有名になったカントロフですが、たしかにカッコいい演奏です。オーバー気味の解釈に、タッチが明るく、小気味よい鈴の音のように鳴らすので爽快感があります。前作リスト・ピアノ協奏曲のアルバムと同様に、父親が指揮者として参加する親子共演なのも良いです。


KANN CUBEで聴くTH610は、これまでのAK DAPらしいサウンドを継承しながら、新たな力強さが体感できました。コンサートホールの空間表現が上手く、低域に立体的な迫力があり、リアルな臨場感が得られるのと、高音がよく伸び、スムーズで透明感があり、刺々しくない、といった感じで、全体的なサウンドの完成度が高いです。

外観のイメージとは裏腹に、無闇にパワー感を強調するような太く歪みっぽいサウンドではなく、高音も低音も余すことなく鳴らしている感覚があり、ヘッドホンで聴く音楽の帯域がグッと広がるような充実感があります。

他のAK DAPはもっと繊細なレファレンスモニターっぽいサウンドという印象があるのですが、KANN CUBEはそこからさらに演奏を拡大するような、いい意味での演出というか、ドライブ感があるようです。パワフルといっても、どちらかというと据え置きアンプよりは高性能アナログポタアンに近い感じです。

アンバランス・バランスを交互に聴き比べてみましたが、ケーブルの違いを考慮しても、サウンドにそこまで大きな違いは感じられません。バランスの方が中低域にもっと抑揚があり空気をしっかり動かしているといった感覚、つまりホール音響の音抜け、風通しの良さみたいなものがありますが、ピアノや弦楽器の音色などの質感は一緒です。アンバランス3.5mmでも十分パワフルなので、TH610ではバランス必須というほどではありません。

初代KANNと聴き比べてみたところ、世代の違いを実感させるくらい進化しています。私の個人的な感想としては、買い替えを検討するに十分なアップグレード感が得られると思います。

初代KANNは私も半年くらい使っていたのですが、そのうち真面目すぎて退屈になってきて他のDAP(QP2R)に買い替えました。KANNは音楽鑑賞の支障になるほどの弱点は無かったのですが、当時の上位DAP勢と比べると、とくに音の伸びやかさや派手さが足りず不満が出てきました。自分の性能限界を理解して、枠組みの中で、あえて無理な事には挑戦しない真面目なサウンドとでも言うのでしょうか。上位モデルがトータル性能で圧倒的に優れているとは言えませんが、それぞれに特色や魅力があることは確かです。そのためKANNに慣れてくると、つい目移りしてしまいがちです。

KANN CUBEは若干の価格アップと技術進歩のおかげで、とくに高音の伸びやかさがKANNからずいぶん改善されています。とはいってもAK DAPらしい高音です。他社のDAPであるような倍音豊かに輝く高音ではなく、何事も無かったかのようにスーッと上の方まで伸びていきます。アタックやプレゼンスを強調するわけではないので、高音の空間がシュワシュワ派手に広がりません。録音されている音が忠実に上まで破綻せずスッキリ再現できているといった感じで、特定の帯域だけ空間がズレる感覚が無いので、こういうのはデュアルDACと広帯域アンプの為せる技なのかもしれません。かなり良くできていると思います。

この高音の伸びやかさのおかげで、ピアノ協奏曲ではソリストのピアノが無理に自己主張せずとも自然に存在感があって楽しめます。演奏者の周囲が濁っていないので、勝手にソロのスペース余裕を確保してくれる感じです。これはハイエンドなアンプに共通する利点なので、KANN CUBEは十分それに相当する魅力を引き出せているということでしょう。

よくハイエンドオーディオは高価なくせに無味無臭というなら、安いのと変わらないのでは、なんて思う人がいるのですが、実際はベーシックなアンプではそれを実現するのが難しいです。高音の帯域ごとの整合性が悪く濁ってしまい、楽器が埋もれるので、それを強調するため尖らせ響かせ、もしくはカットする、という悪循環に仕上がってしまうのが、よくあるパターンです。KANN CUBEはそのあたりがしっかり作られています。


高音と比べて、低音の鳴り方はユニークで、こっちは好き嫌いが分かれると思います。初代KANNや他のAK DAPと比べて、かなり立体的に弾む感じです。

ポタアンや据え置きアンプと比べて量が多いわけではありませんが、カッチリと実直に制動をコントロールしているというよりは、自由に余裕を持って動いているといったイメージです。まず第一印象として「迫力がある」サウンドだと思えました。

コンサート空間全体を見渡すと、高音はスッと引き締まっていて、逆に、低音に向かうにつれて前後左右に立体的に広くなる、三角形というかピラミッドのイメージです。そのため音場空間が広いといっても、フワッと頭上に展開するというよりは、土台の部分で力強い迫力のある空気の動きが感じられるという感じです。

とくにティンパニやホルンのような低音楽器がグッと目前に迫ってくるのがAK DAPっぽくないところです。常に目前に貼り付いているのではなく、ここぞという時に後方から目の前に飛び出してくるようなので、それが迫力があり、立体的に感じられ、演奏のスケールを普段以上に広く感じさせます。これを「レファレンスっぽくないからダメだ」と思うか、それとも「いいぞ、もっとやれ」と思うのかで、意見が分かれるところです。

どちらにせよ、初代KANNの低音はあくまで質実剛健というか、空間を感じさせない真面目な鳴らし方だったので、それと比べると表現の魅力が増したように思います。このあたりがDAPよりもアナログポタアンの魅力に近いと感じるところかもしれません。


カラヤンのブルックナー交響曲集がハイレゾリマスターで出たので買ってみました。

クラシック界屈指のドル箱なので、何度も懲りずにリマスターされてますが、かけがえのない演奏なのでついつい買ってしまいます。とくにこの70年代ブルックナーは2008年のカラヤン生誕100周年記念リマスターCD以来だと思うので、今回のハイレゾPCMリリースは嬉しいです。ミックスのバランスは旧盤CDとほぼ同じですが、ちょっとこもっていて重苦しかったCDと比べて、こちらのほうが高音の抜けが良く派手な感じなので、買い換える価値はあると思います。


KANN CUBEと他のDAPを聴き比べてみました。

同価格帯のAK DAPというとSE100になり、同じD/Aチップ(ESS ES9038PRO)を搭載していますが、サウンドのプレゼンテーションはけっこう違うので、これはかなり意外でした。

「SE100はやっぱりESSチップらしいサウンドだな」なんて想像して知ったかぶりをしていたところ、見事に否定されたので、やはりDAPのサウンドはD/Aチップだけで決めつけるのはダメだという事です。シングルとデュアルという差はありますが、それ以上にアンプ回路や電源などの差が大きく効いてくるようです。どちらが優れているかは簡単には決められませんが、私はKANN CUBEの方が好みです。

両者の共通点は、過度な膨らみや艶っぽさを出さない、スッキリした鳴り方です。美音系と言われるようなタイプとは真逆で、しっかりしたラインが根底にあるように感じ取れます。

イヤホンで聴いた時にも感じたのですが、SE100は全体的に線が細く、研ぎ澄まされたナイフのようにカチッとしているので、下手な録音にはかなり厳しいDAPだと思います。余計な膨らみが無いので、最新高音質録音とかを聴くと解像感が出しやすいのですが、そうでないと余裕が無くキツいDAPです。たとえば、上記のカラヤン・ベルリンフィル録音は、ハイレゾリマスターとはいえ70年代のアナログテープ多重録音なので、SE100だとスタジオミックス処理の違和感や、特定の楽器のレンジの狭さが気になってしまいます。

AK120IIやAK320でも同様の印象だったので、なんだかAK DAPのミドルクラスというのは毎回必ずそういった傾向があるように思えます。

そんなSE100でTH610のような大型ヘッドホンを鳴らすと、バランス接続であっても駆動に余裕がなくなってくるようで、中低域がフカフカ、高音もシュワシュワとフォーカスが濁ってきます。複数の楽器が複雑に混じり合う交響曲などではかなり致命的です。これはSE100特有というより、典型的なパワー不足のサウンドで、特にSE100の場合は低音の方から音痩せしてくるので、音量を上げても高音がシビアになるだけで耳障りになってきます。

KANN CUBEでは、ボリュームノブをどんどん上げていってもそういった苦しさが感じられず、十分なリスニング音量に到達できます。個人差や楽曲の音量差はありますが、私の場合ボリューム数値はクラシック音楽でTH610・ハイゲイン・バランス出力でKANN CUBEは70~80/150、SE100は100~120/150くらいでした。SE100はある時点からボリュームを上げても素直に音量が上がらないので、適当なボリュームを見極めづらいです。

AK SP1000も同様です。アンプのパワーカーブはSE100とほぼ共通しているので、ある程度ボリュームを上げきってしまうと、あとは音痩せして歪み始めるだけです。SP1000用ブースターアンプが発売するらしいので、それでどうなるか期待大です。

だいたいの目安としてはSE100・SP1000のボリューム位置が100/150を超える必要があるなら、KANN CUBEを選ぶメリットは大きいようです。

それ以下のボリュームで鳴らせるイヤホンなら、私はSP1000の方が好きです。KANN CUBEと比べると明らかにバックグラウンドノイズが少なく、細かいディテールから大きなダイナミクスまで忠実に描いてくれます。映像で言うところの「黒が黒い」という印象です。しかもSE100のようなシビアさは無く、70年代の録音であっても演奏をリアルに再現してくれます。

KANN CUBEがピラミッド型の音場展開ならば、SP1000は逆に、高音の空間が圧倒的に広く、録音の新旧を問わず、コンサートホールの空気感が素晴らしいです。低音はKANN CUBEのような前に飛び出す迫力を体感するというよりは、音源がホール奥の正しい位置で鳴っているのを遠くから観察するといった感覚です。

SP1000は音色の厚みやパワフルさといったものからちょっと離れたユニークなDAPです。SP1000を持っている友人は身の回りに3人いますが、その全員がソニーWM1Zなど「こってり系」DAPを併用しています。(贅沢ですね)。そういった意味ではKANN CUBEの方が汎用性が高いDAPなのかもしれません。


Hot Club de Norvége「String Swing」を聴いてみました。

ハイレゾダウンロードショップのニューリリースで見て、なにげなく買ってみたのですが、とても良い感じです。1981年のアルバムのリマスターだそうですが、音質は最新盤と言われても違和感がありません。こういうジプシー・ジャズみたいなのは有名なジャンゴ・ラインハルトくらいしか知らないのですが、このバンドも定番スタンダードを活き活きと演奏して、ヴァイオリンも入って気持ちが良いです。


いくつか気になるイヤホン・ヘッドホンをKANN CUBEで鳴らしてみました。

Dita Dream

まずDita Dreamはケーブルの3.5mmと2.5mm端子を簡単に付け替えられるので、音質差を比べるのに都合が良いです。

イヤホンの中ではパワー要求が高い部類ですが、KANN CUBEでは難なく駆動できます。Fostexの時と同様に、バランス・アンバランスの音質差がそこまで大きくなく、どちらでも良いと思えました。Dreamはアンプに敏感で、据え置き型アンプで鳴らしたくなるイヤホンなのですが、KANN CUBEでも十分良いです。

ジャズのピックギターやヴァイオリンのように高音が派手な演奏では、とくにDreamで聴くとアンプの高音のクセが強調されるのですが、KANN CUBEの素直でよく伸びる高音の良さが伝わってきます。さらに、低音が出しにくいイヤホンなので、ここもKANN CUBEの立体的で迫力のある低音が効いてきます。つまり総合的に相性が良い組み合わせでした。

ヴァイオリンはもうちょっとうっとりするような瑞々しい美音で聴きたいので、そういう音色重視の時はChord Hugo 2とかの方が好みです。一方パーカッシブなリズムに乗りたい(けれど刺さりたくない)時はKANN CUBEが一枚上手です。

他にもイヤホンはWestone UM-PRO50やCampfire Audio Andromedaなどを試してみましたが、どれも良好です。WestoneはこもりがちなのでKANN CUBEの広帯域な鳴り方が効果的です。Andromedaは感度が非常に高いので初代KANNではアンプのバックグランドノイズが多いと指摘する人が多かったようですが、KANN CUBEでも同じくらいだと思ったので、気になる人は避けるべきです。私は試聴時にはそこまで気になりませんでしたが、Andromedaをメインで使うなら他のDAPを選ぶと思います。

KANN CUBEはローゲインモードがあり、ボリュームノブの上がり具合も上手に作られているので、そのあたりはイヤホンでも使いやすいです。ボリュームノブをちょっと上げるだけで大音量になるようなアンプの方が人気が出ますが、あえてそうしなかったのは良いと思います。大音量すぎて抵抗アッテネーターでボリュームを下げるようでは音質が悪くなるので本末転倒です。

Audeze LCD2 Closed Back

平面駆動型Audeze LCDシリーズの中で、個人的に好きなLCD2 Closed Backですが、KANN CUBEとの組み合わせは良好です。

バランス出力・ハイゲインモードでボリューム100/150くらいが適当でした。まさに、これくらいのヘッドホンをターゲットに設計したDAPなのかもしれません。

平面駆動型ヘッドホンはインピーダンスが安定しているので、アンプの良し悪しにあまり(ダイナミック型ほどは)こだわらないのがメリットなのですが、総じて能率が悪いので、非力なアンプを過信してボリュームを上げていくと、突然歪みはじめて驚かされます。KANN CUBEでは心配無用です。

最近は平面駆動ヘッドホンも手頃な値段のモデルが増えてきましたし、買ったはいいものの鳴らすのに苦労している人も多いと思うので、KANN CUBEを試してみる価値はあります。下手なエントリークラスの卓上DACアンプとかよりもまともに駆動できると思います。

HIFIMAN HE-6SE

Hiby R6 PROと

最後に極めつけの「鳴らしにくい王者」HIFIMAN HE-6SEを試してみました。手持ちで2.5mmバランス用ケーブルが無かったので、XLR→4.4mm→2.5mmと回りくどいアダプターを介する事になってしまいました。

クラシック音楽だと、バランス接続・ハイゲインモードで120/150くらいで満足に聴ける感じでした。それ以上ボリュームを上げても音量が上がる以上に音がどんどん歪みっぽくなるので、ギリギリOKといったところです。ポピュラー楽曲ならうるさいくらいの音量です。

私が最近使っているHiby R6 PRO DAPと比べてみたところ、だいたい同じくらいの音量が得られましたが、サウンドの好みではKANN CUBEを選びたいです。

とくにKANN CUBEが魅力的に思えたのは、ここまで音量を上げていっても(歪みはじめるまでは)まだサウンドに十分な余裕が感じられる事です。両者を比較するまで気がつかなかったのですが、Hiby R6 PROはここまでアンプの限界が近づいてくると、サウンドがかなり軽く浮足立ってきます。

前方の音像展開を観察してみると、KANN CUBEなら自分の目の前の、頭の上から首の下まで広範囲にわたって展開しているのですが、R6 PROだと目線より上半分だけ広がっているようで、下半分がスカスカで、不十分に思えてきます。

HE-6SEは極端な例ですが(これを買うような人は相当凄い据え置きアンプを持っているはずです)、それでもそこそこ鳴らせるというのは、KANN CUBEのポテンシャルの高さを見せつけてくれます。

おわりに

サイズのことさえ忘れれば、KANN CUBEは正統派で真面目なDAPだと思いました。デザインや使用感は現行AK DAPラインナップの中でも飛び抜けて異色というわけでもなく、安心して使えます。サウンドもAK DAPの本質から離れずになお「パワフルというのはこういう音」としっかり提示できています。

あくまでイヤホンをメインに使うなら、私はあいかわらずSP1000のサウンドが一番好きです。もしSP1000とKANN CUBEが同価格帯なら、イヤホンとヘッドホンのどちらを優先するかでDAP選びに悩むと思います。ところがSP1000はワンランク上の価格(30万円超)ですので、現実的に同価格帯に位置するSE100と比べるとなると、私はKANN CUBEの方が好みです。

当然のことながら、この巨大なサイズを無視できるわけではありませんので、実際にポータブルとして外出時に使えるかというと難しいです(SE100ですら大きいです)。たとえば普段からソニーPHAみたいなポタアンとスマホをドッキングして使っている人なら、そこまで違和感は無いかもしれません。パワーやサイズ感だけでなく、サウンドの傾向も高級アナログポタアンを彷彿させる仕上がりです。

単純に「ヘッドホンが大音量で鳴らせる」というだけの高出力アンプなら誰でも作れますが、KANN CUBEはパワーだけに専念するのではなく、ちゃんと音作りが優秀なのがAK DAPらしいところです。見た目は無骨なオフロード車なのに、街乗りがスポーツカー並に快適といった感じでしょうか。

私が感じたKANN CUBEの魅力は、これまでIEMイヤホンで体験してきたAK DAPのサウンドを、そのままヘッドホンの領域にまで音量を上げていっても同じように引き出せる、というところです。

ものすごく感度の高いイヤホンや、感度の低いヘッドホンは、それ相応に専用のアンプを用意するなどの準備が必要だと思いますが、それ以外の9割のイヤホン・ヘッドホンでは、相性を気にせずにKANN CUBEという一台のDAPで対処できるという事です。


そんなKANN CUBEとは対照的な話ですが、実は先日、全く別のメーカーの最新ハイエンドポータブルヘッドホンアンプというのを試聴してみたのですが(営業妨害と言われると嫌なので、名前は伏せますが)、なんだか音が鈍くヌルいのでダメだなと思って、いざ測定してみたら散々な結果でした。まず実際はそこまでパワフルではない「ハッタリボリュームノブ」で、ちょっと負荷を与えただけで歪みはじめました。飽和する以前に0Vクロスオーバー歪みがとんでもない事になり、しかもバランス出力はデカップリングができておらず平常時からDCオフセットがあり(つまり振動板が常に片側に押されています)、さらに無理に出力インピーダンスを下げたらしく、リスニング中にヘッドホンジャックを抜くとショート安全回路で電源が落ちてしまいます。あまりにもNGの連発だったので、結局レビューを書いたのがお蔵入りになってしまいました。怖いのは、こういうアンプほど「アナログらしい温かみ」とか、「バランス接続でさらなる高みへ」とかで筋が通ってしまう事です。

格安品ならまだしも、ファンの多い高級ブティックメーカーとかでそういうのを頻繁に経験しているので、それらと比べると、やっぱりKANN CUBEは大手らしくしっかり真面目に作られているなとしみじみ伝わってきます。逆説的ですが、高価になるほど怪しいオーディオメーカーが増えてくるので、AKの値段がむしろリーズナブルにさえ思えてしまうのが怖いです。


ここからは無い物ねだりになってしまうのですが、個人的にKANN CUBEにもいくつか不満点はあります。一番わかりやすい不満は、サイズのわりに出力端子の使い勝手が悪い事です。とくに5pin Mini XLR端子というのは、2.5mmではライン接続に必要なグラウンドが取れないので、しかも4.4mmは嫌だから、という事で選ばれたのだと思いますが、またケーブルやアダプターが増えるだけなので困ります。

一般的なDAPであれば、ハウジングサイズのため妥協もやむを得ませんが、KANN CUBEはそうも言っていられない巨体です。

このサイズであれば、ソニーPCM-D100やTASCAM DR-44といったポータブルフィールドレコーダーとさほど変わりません。それらはフルサイズのステレオXLR端子を搭載しています。

KANN CUBEから直接4pin XLRバランスヘッドホン・3pin XLRバランスラインが出せたら、自前の据え置きオーディオ用ケーブルがそのまま使えて、どれだけ便利だっただろうと思います。アンバランスも同様に、3.5mmのみでなく6.35mm端子を設ける余裕はあったでしょう。(多くの大型ヘッドホンは6.35mmなので、Hugo 2やmicro iDSD BLは直挿しできるのが便利です)。

AKは据え置きでL1000というヘッドホンアンプがありますが、あれくらい豊富な出力であれば(さらにXLRライン出力があれば)、私にとっての魅力は100倍アップしていました。


以前から思っているのですが、もはやDAPがポケットに収まらないサイズになるのであれば、究極としては、プロ用ポータブル・マルチトラック・レコーダーのようなサイズのものがあれば良いと思っています。たとえばZOOM F4、Fostex FR-2、KORG MR-1000のようなハーフラック、B4サイズで、中身はAK DAP+L1000アンプで、豊富な入出力、フラッシュ・SSD対応、大容量バッテリーでタブレット並の大画面、なんて夢が膨らみます。そもそも高級DAPを使っている多くの人が家屋内ポータブルがメインで、徒歩や通勤で使っているわけではありません。

AurenderなどのオーディオNASがそれに近いかもしれませんが、ポータブルではありませんし、ヘッドホンアンプでもありません。最近の家庭オーディオマニアは、スピーカーとアンプはすでに良い物を持っており、CDプレイヤーの代わりにNASやストリーミング、PC・DACセットアップなどで試行錯誤しているので、そこにドンと一台、大型卓上DAPがあれば、万事解決します。スピーカーリスニング時はライン出力でパワーアンプにつなげてスマホ・リモコンから操作、別室でヘッドホンで聴きたいなら、そのままDAPとして持ち出して、バッテリー搭載なので電源品質やマイ電柱の心配もありません。

古くから中国香港では「プロ機」信仰が強いので、特に年配富裕層のかたで、フィールドレコーダーが最強のDAPだと信じてやまない人が多いです。需要はあると思います。モジュラーカスタム可、ショルダーストラップ付きなら、絶滅危惧種のポタアンタワーおじさんにも人気が出そうです。


空想はさておき、KANN CUBEに話を戻すと、音質とパワーを踏まえれば、第四世代AK DAPの中では実はお買い得感すらあります。もちろんこの巨体を許容できれば、ですが。

私もさすがにここまで大きいと購入をためらってしまいましたが、「この音質とパワーのまま、せめてSE100くらいのボディサイズに収まってくれれば・・」なんて思ってしまった時点で、マニアとしての覚悟が足りないのかもしれません。ヘッドホンオーディオファンの心意気が試されるユニークな商品です。