2024年8月26日月曜日

Fostex T50RPmk4 ヘッドホンの試聴レビュー

Fostexの定番ヘッドホンT50RPに新型の「mk4」が登場したので試聴してみました。

Fostex T50RPmk4

平面振動板ヘッドホンの代名詞でありながら3万円台という低価格が魅力的で、長年ファンの多いシリーズです。

T50RP

フォステクスから前作「T50RPmk3」が登場したのが2016年頃だったので、今回の「mk4」は実に8年ぶりの更新ということになります。

欧米や中国の新興ブランドが毎月のように新作を出しているのに慣れてしまうと、ずいぶん長いブランクのように感じられますが、優れた製品を作っていれば、そうそう頻繁に更新する必要はありませんから、むしろこれくらいの周期が普通であるべきです。話題性に依存せずとも長期的に売れ続けるという自信の現れでもありますし、買う側としても、すぐにモデルチェンジで陳腐化しないという安心感があります。

公式サイトによると、初代T50は1974年発売ということなので、日本を代表する定番モニターヘッドホンといっても過言ではありません。

RP Technologyのロゴがあります

T50RPはフォステクス独自のRP(Regular Phase)平面振動板を採用するヘッドホンで、カテゴリーとしてはプロモニター向けのセミオープン型になります。

ちなみに前作mk3では開放型T20RPと密閉型T40RPというバリエーションがありましたが、今回は今のところセミオープンのT50RPmk4のみになります。初代から続く本流はセミオープン型なので、原点回帰という事でしょうか。個人的にはバリエーションが無い方が悩まずに済むので買いやすくなると思います。

今回mk4の発売と同時期に、フォステクスはRP平面振動板の超高級機TH1000RP(密閉型)とTH1100RP(開放型)の二機種も発表したので、満を持してRPドライバーの全面更新という意気込みを感じます。

これら高級機は3万円台のT50RPmk4に対して30万円超という大きな差があるので、搭載ドライバーの大型化などの違いがあるものの、公式サイトの情報を見るかぎりでは新開発ドライバー技術に共通点も多いようなので、T50RPmk4の進化にも期待が持てます。

mk4・mk3

mk4・mk3

T50mk3とmk4を並べて比べてみると、基本的なフォルムは共通していても、細部に様々な変更点が伺えます。

まず一番目立つ点として、これまでのテーマカラーのオレンジが廃止されて、全体がマットブラックに統一されました。この方がプロっぽくて良いと思う人もいれば、オレンジの派手さが気に入っていた人もいると思います。

ヘッドバンドは同じような形状ですが、イヤーパッドはだいぶ厚みが増しています。

ドライバーの違い

肝心のRPドライバーを見ると、まず外周のスポンジが違う事に気が付きます。ハウジング周辺で反射した音を整える効果があるので、新型ではチューニングの一環としてスポンジの量を減らしているのは面白いです。

さらにドライバー自体も新型に変更されているのが確認できます。どちらも四角い平面振動板ですが、mk4の方が前面のグリルの開口が広くなっています。

公式サイトのイラストを見るかぎりでは、新型ドライバーでは振動板電流経路の最適化と、マグネットを細分化・分散させることで、より均一かつ正確に振動板を駆動させることが可能になったようです。

さらに高効率化も達成したことで、アンプへの要求も低減されたようです。たしかに従来のRPシリーズというと、低価格なのにパワフルなアンプが必須というギャップがあり、カジュアルなユーザーでは真価を発揮できないという難点がありました。逆に言うと、優れたアンプさえあれば価格以上の凄い高音質が得られるため、MOD改造コミュニティの立役者となったモデルでもあります。T50RPが無ければAudeze、Hifiman、Dan Clark Audioなど近年の高級平面型ヘッドホンという一大ジャンルも生まれなかっただろうと思います。

新型パッド

イヤーパッドをあらためて確認すると、前後非対称で傾斜がついた、かなり厚手のタイプになっています。mk3では潰れた座布団のような薄いパッドだったので、今回新たなパッド形状で装着時のフィット感がだいぶ良くなりました。さらに前方傾斜がついたので空間表現も変化が期待できます。

ケーブル接続

mk3のケーブル

mk4のケーブル

ケーブル周りも大きく変わりました。mk3では左側ハウジング側面に差し込んでロックするユニークな機構だったのですが、今回mk4ではハウジング下部にストレートプラグを挿す一般的なタイプです。

しかも今回ケーブルは片側出しなのに左右両方にジャックがあり、好みでどちらにも挿せるというのがありがたいです。パソコンDTMなら左側、ミキシングコンソールなら右側と、業種で使い分ける場面も出てきます。

ヘッドホン側ジャックは3.5mm TRRS四極でバランス接続にも対応しています。公式でバランスケーブルを別売していますし、TRRSの順番にL+、R+、R-、L-なので、自作ができる人なら片側出しと両側出しのどちらでもケーブルを作れる理想的な設計です。(配線ミスでアンプ側を短絡させないよう注意してください)。

Audeze MM100

バランスケーブル

せっかくなので、自作のバランスケーブルを接続してみたところ問題なく使えました。

ちなみに、この片側・両側出し両対応の配線は最近だとAudeze MM100も採用しており、配線も同じようなのでケーブルが流用できて嬉しいです。配線さえ間違えなければ理想的なアイデアだと思うので、もっと多くのメーカーに採用してもらいたいです。

定番デザイン

ヘッドバンド

クッション

あらためてT50RPmk4のデザインを眺めてみると、クラシックなフォルムを維持しながら着々と進化を遂げている事が伺えます。ハウジングの調整スライダー機構など、わかりやすく堅牢に作られており、プロ業務で手荒に扱っても大丈夫そうな安心感があります。

実は前作T50RPmk3はケーブル端子部分の接触不良に悩まされて購入を断念した記憶があるので(後日修正されたようですが)、そのあたりも新たなデザインに変更されているあたりが好印象です。

T60RP

今回T50RPmk4のデザインは、実はT60RPという上位モデルから受け継いている要素が多いです。

業務用モニターのT50RPに対して、2017年に登場したT60RPは一万円増でウッドハウジングや本革ヘッドバンドを採用した音楽鑑賞用ヘッドホンです。傾斜のついた厚手のイヤーパッドや、TRRS 3.5mmバランス対応ケーブルなどはT60RPから導入されました。ただしT60RPはケーブルが左片側出しのみなので、その点ではT50RPmk4に進化が伺えます。

しかし一つ気になる点として、T60RPではケーブル端子がハウジング前側寄りにあったのに対して、今回T50RPmk4では中央にあるので肩にぶつかりやすくなっています。T60RPのようにできなかった理由でもあるのでしょうか。

T60RP 50th、T60RP、T50RPmk4、T50RPmk3

私自身T60RPの方は発売時からずっと愛用しており、最近になってフォステクス50周年記念の特殊木材を使った限定版も購入しました。こちらはベロアパッドも付属している豪華版です。

50周年限定版は木材がかなり重いのが難点ですが、明確に判別できるくらい音が違うので、現在はこちらを使っています。どちらにせよ5万円以下という価格からは想像できないくらい素晴らしいヘッドホンです。

50周年版はアフリカンパドックという木材だそうです

こちらもスポンジを使い分けています

余談になりますが、このT60RPでも通常版と50周年限定版でドライバー周辺のスポンジ形状が違ったので、音作りのエッセンスとして使い分けているのでしょうか。ドライバーはどちらもmk3相当です。

話がそれてしまいましたが、ようするにT50RPmk4はT50RPシリーズの業務用設計に忠実でありながら、T60RPで導入されたアイデアも継承し、肝心の新設計RPドライバーを搭載するモデルというわけです。

インピーダンス

いつもどおり、再生周波数に対するインピーダンスの変動を測ってみました。

インピーダンス

位相

同じフォステクスのダイナミック型ヘッドホンTH909と比べてみると、RPドライバー搭載モデルはどれも可聴周波数のインピーダンスがピッタリ横一直線です。つまりアンプ側から見ると純抵抗のように振舞い、電気的な位相(Phase)の乱れが発生しないため、RP(Regular Phase)という名称にも説得力があります。平面型のライバルAudeze MM100も同様にインピーダンスが一直線です。

T50RPmk4ではインピーダンスが公式スペック通り28Ωに下がっているので、新型ドライバーを搭載している事が実感できます。(ちなみにT50RPmk3やT60RPは公式スペックは50Ωなのですが、モデルごとに若干の差があるのが謎です)。

T50RPはプロ用ということでUSBオーディオインターフェースに接続する人も多いと思います。その場合インターフェース側の出力インピーダンスをそこまで気にしなくても良い(つまりアンプ依存の音質差が少ない)というのはメリットになります。

音質

プロ用モニターヘッドホンということで、しっかりした据え置きアンプ環境で聴くのが当然ですが、今回せっかく鳴らしやすくなったということなので、ひとまずUSBドングルDACで聴いてみました。

T50RPmk3

T50RPmk4

iBasso DC07PROにて、私が普段聴くような音量だと、T50RPmk3ではボリュームが90/100なのに対してT50RPmk4では70/100で十分だったので、たしかに音量は取りやすくなっています。

これくらいなら最近のDAPやドングルDACで十分に活用できそうです。さらに音量を稼ぎたいならバランスケーブルという手段もあります。

最近はレコーディングのオーディオインターフェースもUSBバスパワー駆動でヘッドホン出力が非力なモデルを使っている人も多いので、その場合も音量が確保しやすいのはありがたいです。

RME ADI-2DAC FS

Fiio K9

実際の試聴ではアンプがボトルネックになっては駄目なので、RME ADI-2DAC FSやFiio K9など、スタジオ用途にも適したDACアンプを使ってみました。

Amazon

EuroartsとRBBベルリン・ブランデンブルク放送の「Epitaph」を聴いてみました。ミンガス未完の大作として生誕100周年記念企画のようです。

このアルバムはベルリン・ドイツオペラ直属ビッグバンドによるライブで、ゲストには1990年版でも吹いていたランディ・ブレッカーが参加しています。欧州オケのジャズというと固くてノリが悪い演奏が結構多い中で、こちらはかなり深くスウィングしており、ソロも威勢が良く、ベルリンらしい豪奢なダンスバンドの歴史を感じさせてくれます。(ちょうど今エリントンのフェスティバルをやっているので、それも今後アルバム化してほしいです)。


まず最初に、T50RPmk4のサウンドの印象ですが、平面型かつモニターヘッドホンというイメージをそのまま体現するようなドライで高解像なサウンドです。

セミオープンといっても、ハウジングを見てわかるとおり密閉型的な性格が強いので、周囲の騒音をある程度低減して静寂を作り出した上で、緻密に波形を描き出すような印象です。

試聴アルバムでは、たとえば6曲目「The Soul」を聴くと、このヘッドホンのポテンシャルが伝わってきます。3分弱の短いトラックですが、かなり深いアンサンブルを描ききっており、しかもベースのメロディまでしっかり聴き取れます。続く7曲目パーカッションのリズム感と空間に定在する感覚も素晴らしいです。

平面ドライバーというとAudezeやHifimanを筆頭に開放型が多い中で、それらとは根本的に異なる傾向で、ニアフィールド的なアイソレーションを重視した、つまり周囲の環境に左右されず正確な評価ができる、いかにも業務用的なヘッドホンです。DAWのミックス作業はもちろんのこと、楽器演奏中の着用にも適しています。RPドライバーは耐圧が高いので、レコーディングセッションでドラマーが使っているのをよく見ますね。

響きに一切の味付けを感じさせず、正確性を重視した表現なので、率直に言うと、音楽鑑賞用としては向いていないと思います。録音の不具合が露見して気軽に楽しめませんし、音色の色艶を盛って演出するような技量も持ち合わせていません。逆にそのような余計な味付けを無視しているからこそ、ここまでの高性能を低価格に抑えられたと思えてきます。

サウンド傾向はモニターヘッドホンらしくハイ上がりです。ただし高音と低音の両極端を強調するドンシャリではなく、リニアでありながら、高音に向かって傾斜している感じです。

優れた録音ではおとなしくフラットに思えるのに、いざ録音に不具合があると、それが急に飛び出してくるという特徴があります。

たとえばナレーションの滑舌が破裂するポイントとか、アコースティックギターが飽和して割れる瞬間など、まるで映像のピーキングのように明確に把握できます。適当にYoutube動画を巡回してみれば、動画チャンネルごとに音声の録音に大きな差が感じられ、制作の良し悪しが手に取るように伝わってきます。高音のみでなく、低音も遅延があると結構な違和感として悪目立ちします。

このあたりが音楽鑑賞には向いていない、油断できないヘッドホンと言えるのですが、しかし、それと同時に、常にキンキンと高音を強調しているわけではないので、音源さえ良好であれば長時間使っても疲れない音作りです。つまりクリエーターにとっては自分の腕前の見返りが大きいヘッドホンと言えます。

旧モデルT50RPmk3と交互に聴き比べてみると、共通点もあれば、大きく変わった点も思い浮かびます。

まず全体の周波数バランスに関しては似ているので、買い替えてもスムーズに移行できるようチューニングの配慮が感じられます。低音や高音といった周波数帯ごとの些細な変化はmk3からmk4への重要な変更点ではないと思います。

一番目立つのは空間展開の違いなので、これはmk4の新型イヤーパッドが貢献していると思います。T60RPでも採用されているパッドで、そちらの描写と似ています。

パッドの厚さと前方傾斜のおかげか、音響全体が一歩前に移動した感じで、頭内ではなく目視しているような聴き方になります。何メートルも離れたフロアスピーカーというほどの距離感ではありませんが、ニアフィールドモニター的な音像に近づいた事は確かです。ゼンハイザーでいうとHD600よりもHD800寄りといえば伝わるでしょうか。

この前方展開のおかげで、複雑なステレオミックスの聴き分けがだいぶスッキリする感覚があります。T50RPmk3は薄手のパッドで耳と並行に装着していたので、古典的なヘッドホンらしい、まるでイヤホンのように左右の耳穴の直線上に音が散らばっている感覚がありました。そのため、楽曲の音響効果が複雑になると翻弄されて、個々の音に狙いを定めて追うことが難しくなってしまいます。

T50RPmk3のように耳穴間近でダイレクトに鳴るタイプは、ストレートに音を届けるという意味ではモニターヘッドホンとして正しいと思いますし、シングルトラックでの波形分析とかはそれでも良いです。また、大昔の楽曲のように、単純にステレオ左右のパン調整で済ませている楽曲なら問題ありません。しかし現在はDSP空間エフェクトやハイレゾ収録技術の向上から、空間を前提とした作り込みや位相のすり合わせが無視できない要素になってきたので、mk4はそんなクリエーターの近代のトレンドに追従している進化だと思います。

新型ドライバーの影響も確かに実感できます。単純に能率が上がっただけではなく、とくに小音量のディテールが整っている感じがします。mk4のイヤーパッドをmk3に装着しただけでは、確かに音像は前方に移動しますが、高音のシュワシュワしたざわめきが気になり、細かな音に注意して拾おうと思うほど見通しが悪く感じます。mk4ではそのへんがスッキリと管理され、その相乗効果か、声や低音楽器もしっかりと輪郭が浮かび上がってきます。

T60RPと比較してみると、T50RPmk4の弱点も浮かび上がってきます。

まずT60RPは低音がかなり重くゆっくりしているので、モニターヘッドホンとして使うのは向いていないと思います。T50RPの方がRPドライバーらしいリニア感が最低音まで実現できており、とくにドラムの重低音など、ダイナミック型ヘッドホンだと位相が狂って鼓膜を圧迫する音圧に変換されてしまうところ、T50RPでは時間軸がピッタリ揃っている実感があります。ただし、T60RPのウッドハウジングを体験した後だと、T50RPは中高域全般にプラスチックっぽい響きが感じられ、これが鳴り方を安っぽくしているように思えてきます。

プラスチックっぽいというのは言葉で表現するのが難しいのですが、中高域の引き際に乾いた響きが乗るというか、どんな楽曲を聴いても特定の響きが感じ取れます。金属なら金属特有の響きが乗るようにプラスチック特有の鳴り方があります。だからこそ、多くの自作マニアが独自のハウジング改良で対策しようと試行錯誤しているのでしょう。

T50RPとT60RP、どちらもハイ上がりの傾向や、悪い音源だと刺さるのは共通しているのですが、それとは別に、T50RPを大音量で長時間使っていると中高域で耳がヒリヒリする感覚があり、T60RPではそれがありません。とくにボーカルなど声の帯域の響きが長引き、疲労感につながるようです。

余談になりますが、T60RPはマホガニー材、T60RP 50周年記念モデルはアフリカンパドック材を採用しているのですが、両者で低音の出方が全然違います。通常版に慣れていると、50周年版はもったりしすぎていると感じるかもしれません。私も最初は困惑したのですが、慣れれば楽しめるようになってきます。

ようするにハウジングの材質や設計次第で音響は結構変わってくるので、T50RPも今回mk4で新型ドライバーと新型イヤーパッドによる音質向上が目覚ましいため、古典的なハウジングがボトルネックとして目立ってくるのかもしれません。

シュアーSRH-1540やAudeze LCD-XCなど高価なモニターヘッドホンはカーボン素材を使うなどで(効果の程は不明ですが)対策する努力が伺えます。T50RPの価格が上がってしまうのは困りますが、音楽鑑賞用にウッドの響きを加えたモデルがT60RPなら、プロモニター用にもハウジングを高級化した上位モデルがあってもよいと思えてきます。

おわりに

今回T50RPmk4を買うべきか真剣に悩んだのですが、やはりT60RPをすでに持っているという点が大きく、購入には至りませんでした。

きっと私と同じような状況の人も多いと思います。カジュアルな音楽鑑賞メインならT60RPの方が良いと思うので、価格差を踏まえてもそちらをお薦めします。

mk4の新型RPドライバーには確かなメリットがあると思いますが、強力なアンプが用意できるのなら高能率化はそこまで重要ではありませんし、プラスチックハウジングのためか価格相応のボトルネックを感じるので、T60RPのウッドの効果は大きいです。

逆にプロモニター用途で長時間使うのであれば、軽量かつ安価なT50RPmk4を選ぶべきです。音質面でもウッドの響きに惑わされない方が音源の正当な評価ができると思いますし、とくに音源の分析力では新型ドライバーが効果を発揮してくれます。シビアだからこそクリエイターにとって「音声の正しいバランスを教えてくれるツール」として役に立ってくれるヘッドホンです。現時点でT50RPmk3を選ぶメリットは無いと思いますし、この機会に買い換える価値は十分にあります。

私のような音楽鑑賞の目線では、T60RPのウッドハウジングに新型mk4ドライバーを搭載したらどうなるか気になるところです。今後そういうモデルも出るのでしょうか。分解改造するという手もありますが、私はメーカーの音作りを尊重する方針でやっているので、自己流のカスタムにはそこまで興味がありません。

しかし新型mk4ドライバーの登場というのは案外計り知れない大きなポテンシャルを秘めていると思います。T50RPはこれまでに数多くの自作MODや改造ベースとして新興メーカーやコミュニティを生み出してきた歴史があり(Dan Clark Audio/Mr Speakersなんかが良い例ですし、Google画像検索で「T50RP Mods」と観覧すると、奇抜なDIYヘッドホンがたくさんあります)、その根幹にあるドライバー技術が次世代に移行したわけです。

RPKIT50(生産終了)

フォステクス自身が提供する自作ファン向けキット「RPKIT50」もきっと近いうちに新型ドライバー版に更新されるだろうと思いますし、そこから新たな自己流ヘッドホンが続々と生まれてくるでしょう。ヘッドホン価格が高騰する中で、そこそこの価格帯に抑えられているT50RPは、オーディオ設計技術の勉強や改造入門としてのポテンシャルの高さも健在です。

また、今回T50RPmk4を聴いてポテンシャルの高さを実感したことで、あらためて新型の高級機TH1000RP・TH1100RPを聴いてみたくなりました。長らくフォステクスのダイナミック型TH909を私の理想的なヘッドホンとして掲げているので、とりわけ開放型のTH1100RPがTH909を超えることができるのか、それとも私の好みとしてはダイナミック型ドライバーが勝っているのか気になるところです。


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