2021年1月10日日曜日

2020年 個人的に気に入った最新イヤホン・ヘッドホンとかのまとめ 後半

前回に続き、後半は2020年に気になったDAPやアンプなどについて、そしてこの一年間で個人的に一番よく使ったイヤホンやヘッドホンなどについてまとめたいと思います。

優れたイヤホンやヘッドホンを買っても、それに見合ったアンプが無いと最大限の音質を引き出せません。さらに最近はBluetoothやストリーミング対応などの多機能性も求められるようになり、ユーザーごとにそれぞれ自分の用途にピッタリ合う製品を見つけるのが難しくなってきたようです。

ポータブルDAP

2020年も例年のごとく豊富な数の新作DAPが登場しましたが、市場を脅かすような画期的なイノベーションは出ておらず、私自身もそこまで買い替えを強いられることもなく、2019年から続投でHiby R6 Proを使い続けました。

思い返してみると、2015年のオンキヨーDP-X1など初期のAndroid DAPのスタイルから現在に至るまで根本的な変化は無いので、その頃のモデルを使っている人からすれば、わざわざ買い換えるだけのメリットを見出すのが難しいです。スマホと同様に、3~4年も使っていればバッテリーが持たなくなってくるので、それが買い換えの口実になるくらいでしょうか。(私も今年AK240SSのバッテリーを新品に交換しました)。

Hidizs AP80 Pro

2020年に個人的に新たに購入したDAPはHidizs AP80 Proという超小型機でした。2-3万円程度で100g以下なので、ポケットに入るサブ機として活用しています。サウンドもパワーも大型機に匹敵する勢いで、デザインがカッコいいので満足しています。

他にもHiby R3 ProやFiio M5など似たような小型機がどんどん優秀になってきているので、「今日は大型DAPを持ち出さなくても、これで十分」と思える機会が増えたことは確かです。

現状では、ストリーミングアプリ対応なら5インチ大型機、手軽なファイル再生なら小型機という棲み分けが確立してきたようです。

DAPというのはそもそも画面やバッテリーなどスマホ用部品の流用に依存する部分が多いですし、使い方もサブスクリプションストリーミングのために大画面、Androidアプリインストール、モバイルデータ通信などが必須の時代になったので、もはやスマホとの境界線は曖昧です。

そうなると古典的なオーディオメーカーの出る幕はありませんし、余計なサポートやアップデート対応の手間を考えると、あまり積極的に参入したくないジャンルです。これまで多くのオーディオメーカーがDAPにチャレンジして消えていった歴史があります。

2020年、あいかわらず中国からは高価なハイエンドDAPが続々登場していますが、構成やスペックの僅かな進歩に留まっているので、新製品に沸き立つような光景も少なくなりました。高価なブランド嗜好品としては音質はもとよりデザインや質感の高さが重要視されるわけですが、そのあたりが値段と釣り合っていないモデルが増えてきたため金持ちの興味も薄れ、自然と適正価格へと落ち着いてきたようです。

Fiio M15

2020年は中国の定番ブランドからAndroidフル対応のフラッグシップ機が出揃い、Fiio M15、Cayin N6ii、Shanling M8とどれも10~15万円程度で肩を並べている事も、適正価格という意味では象徴的です。唯一iBassoのみ2021年早々にDX300というモデルが控えており、値段も同じくらいになるそうです。

iBasso DX220 MAX

iBassoは2019年にDX160という4万円くらいの中堅モデルが出ていて、音は結構気に入ったのですがノイズ混入などの不具合が多く困っていたところ、2020年にはDX160 Ver.2020が出ました。さらに限定版としてDX220 MAXというのもあり、こちらはDX220をベースに強力なアンプを追加した、いわばAK AMPやKANNのようなコンセプトのモデルです。

Cayin N3Pro

Cayinからは6万円で小型真空管を搭載したN3Proというモデルが面白かったです。インターフェースはAndroidアプリ非対応でショボいですが、サウンドは真空管らしく色彩豊かで濃厚なので、久々にこういうユニークなDAPがあっても良いと思いました。意外と軽量なのも良いです。

KANN ALPHAはついに4.4mmバランス対応です

韓国Astell&Kernからは新作DAPが三機種登場しました。約9万円のSR25、14万円のKANN ALPHA、22万円のSE200です。KANN ALPHAは最近登場したばかりなので、ちょうど今じっくり試聴しているところですが、これまで2.5mmプラグを先導してきたAKから初めての2.5mm・4.4mmバランス両対応ということで、時代の流れを感じます。

Astell&Kern SE200

二系統の出力があります

個人的には特にSE200がとても良いと思いました。旭化成とESSという二種類のDACアンプ回路を搭載して聴き比べができるという異色モデルなのですが、これが意外とどちらのモードも音が良く、しかも違いが明確に感じ取れ、気分に応じて使い分ける意義が十分あります。前作SE100はあまり好きではなかったので、このSE200もギミックっぽさも含めて懐疑的だったのですが、実際に音を聴いてみて印象が180度変わりました。

Kontinum K100

AK繋がりだと、同社から離れたスタッフが立ち上げたKontinumという新ブランドのK100というDAPも気になる存在です。残念ながらこちらは身近に無くて試聴できていません。前方から見ると普通のDAPですが、背面が大きく突出しており、交換可能な高性能21700サイズバッテリーを搭載しています。瞬間的な高出力が必要なオーディオアンプにおいて、スマホバッテリーを流用していることはボトルネックだと思うので、このような大電流を流せる電池を採用するのは理に適っています。(Chord Hugo 2とかも似たような電池を使っています)。そういった意味では2020年で唯一革新的なアイデアを導入したDAPと言えるかもしれません。

これを待ってました

日本からは新しいDAPは無かったようですが、目立ったニュースとしては、WalkmanシリーズNW-ZX507とNW-A100シリーズが2020年5月のファームウェアアップデートVer. 2.0でようやくMora QualitasやAmazon Music HDなどのハイレゾストリーミング再生に対応するようになったのは嬉しいです。

これまではストリーミングアプリから外部DACに繋げるとハイレゾ再生できても、DAP本体のイヤホン出力だと48kHzにサンプルレート変換されてしまっていたのが、ようやくそちらもハイレゾのネイティブ再生できるようになりました。発売当時は「ストリーミングウォークマン」なんて看板を掲げていたのに自社のMora Qualitasでさえネイティブ再生できないなんて笑い者になっていたのが、ようやく名誉挽回といったところです。

そもそもこれはWalkmanのみでなくAndroidの根本的な問題なので、他社DAPでもストリーミングなどの外部アプリを使う場合は同じような問題が発生するモデルが多いです。

他にDAP関連で2020年の話題としては、10月に旭化成の工場で火災があり、D/Aコンバーターチップの製造が止まっている状況が続いています。オーディオチップのみでなく自動車用の基幹ICなども製造しているため、多方面で影響が出ているそうです。

当初はすぐ復旧するだろうと軽く見ていたのですが、少なくとも2021年中旬までは安定供給は難しいだろうということで、多くのオーディオメーカーが製造停止や他社チップ搭載への設計変更を余儀なくされているようです。報告されているだけでも、オンキヨーのAVアンプが代替チップに仕様変更された事や、LINNがアップグレードを受付を停止するなどのニュースがありました。

ライバルESS社にとっては、まさに対岸の火事というか、願ってもない幸運になりましたが、iBassoは新作でシーラスロジックを採用するなど、今後の新製品開発におけるシェア争いにも大きな影響を与えそうなので、AKMにとっては大打撃の一年でした。


今後のDAPについて、個人的な考えをいくつか挙げてみます。

まずKontinuumが見せたように、スマホバッテリーから離れるというのは重要な課題だと思います。オーディオアンプにおいて電源は重要なので、むしろD/Aチップなどよりも注力すべきです。据え置き機や大型ポタアンと比べてDAPが劣る唯一のポイントと言ってもいいくらいですし、何十万円もする高価なDAPでさえスマホ充電回路を流用しているせいでUSB充電ケーブルを挿すとノイズが出るといった時代はそろそろ卒業すべきです。iBassoは新作DX300にてOS用とオーディオ用でバッテリーを二つに分ける手法を提案しているなど、各社色々と検討しているようです。

近頃は大型の電気二重層コンデンサーとかも安価になってきていますし、ロボットやドローン分野の電源設計を見てもすでに何世代も先に進んでいるので、どのみち大画面でシャーシが大きくなり、重厚な方が音が良いと思われるのなら、改めて電源回路全体の強化を検討してもらいたいです。

次に、バランス接続についてですが、高電圧を得にくいポータブルDAPだからこそ、バランスアンプで振幅を稼ぐのは理に適っています。バランスアンプのおかげでDAPでも高インピーダンスのヘッドホンも鳴らせる時代になってきたわけで、そうなると2.5mmよりも4.4mmの方が大型ヘッドホン用の太いケーブルも扱いやすいというメリットがありますから、今後徐々に2.5mmは廃止されていっても問題無いと思います。さらに4ピンXLRを淘汰するためにも、個人的な要望としては、Pentaconn公式や互換品で、Neutrik XLRのように自作でも分解修理が容易な構造の4.4mmプラグやジャックが登場してもらいたいです。高級ケーブルを作る上で、やはりNeutrik XLRの扱いやすさに勝るものはありません。

DAPインターフェースに関しては、サブスクリプションストリーミングの普及で高級DAPはもはや大画面とAndroidフル対応が必須条件になりましたが、OSについては2020年の新作DAPを見ても未だにAndroid 7・8など各社バラバラなのが気になります。

前述したソニーWalkmanのように、多くのDAPでは何らかの小細工をしないとストリーミングアプリなどからDAP内でのハイレゾ・ネイティブ再生がうまくいかず、一旦Androidシステム標準の48kHzにサンプルレート変換されてしまいます。(よく「DAPの標準プレイヤーではない別のアプリを使うと音が良くなる」なんて言う人がいるのも、実は44.1kHzが48kHzに内部変換されていたからだったりします)。

Android 10からはコアシステムが正式にハイレゾPCMに対応するフレームワークが実装されたので、開発に有利な環境がようやく整ってきました。これからAndroid 10に移行することで、こういったアプリとDAP内DACへの橋渡しが容易になって、DAPメーカー側の手間が減る事が期待できます。

今後の展望としては、DAP本体はベーシックなAndroidとゲインやフィルターなどの機種依存設定のみを残して、再生アプリに関してはメーカーを問わず用途に応じて好みのアプリをインストールする時代になるのかもしれません。そうなればSDカードからのファイル再生でもパソコンのAudirvanaやJRiverみたいな優れた有料アプリ専門メーカーが登場するきっかけになるでしょうし、DAPメーカーも推奨アプリをいくつかリストアップしておくだけで、ソフト開発やサポートに労力を割かずに高音質のみに専念することができます。

また、Androidアプリが使えない小型DAPでは、2020年も未だに初代Fiioから変わらずHiby OSを搭載しているメーカーが多いです(Cayin、Hidizs、Shanlingなど)。流石に操作性の遅さや古臭さが目立ってきましたが、今後こういった小型DAPの需要が無くなるわけではないので、そろそろ最新SoCとインターフェースOSのパッケージをどこかのメーカーが開発してくれることを願っています。

中国系に限らず、新作DAPはとにかくソフトのバグやクラッシュが多いため、新品開封しても、ひとまずアップデート修正されるまでブログで感想を書くのがはばかられる、という事が2020年も何度もありました。今後OSが標準化されることで、レビューも余計な時間を費やさずに音質性能そのものに注目できるようになることを願っています。


ヘッドホンアンプ

USB DACやヘッドホンアンプ関連も、買い替えを促進するような新たなスタンダードは生まれていないので、順当な進化の一年でした。

特にUSB DACはDSD512やMQAなどの新フォーマットが一応現れてはいるものの、実際のところ普段の音楽鑑賞を脅かすほどの必要性が無いため、ガジェットマニアとかでない限りは重要視するものでもありません。

たとえばDSD512はそもそも一流レーベルの録音機材がそこまで対応していないのでソフト上のアップスケールに限られますし、MQAはストリーミング用に通信量を減らすには有効ですが、根本的にはオリジナルマスターのハイレゾPCMを圧縮したものなので、オリジナルマスターを聴く環境があれば不要です。つまり、どちらも「レコーディングエンジニアが意図した最終マスターのフォーマットは」と考えれば結論が出る話です。

ヘッドホンのバランス出力ももはや必須項目となり、4PIN XLRがスタンダードに、もしくはヘッドホンとイヤホンで兼用できる4.4mm出力を設けるアンプメーカーが増えてきました。

むしろそのあたりの機能面が平均化してきたせいで、ようやくスペック競争が終わり、中身勝負でサウンドに磨きがかかってきた時代とも言えるかもしれません。

そうなると、特に据え置き機器の場合、機能追加のための頻繁なフルモデルチェンジをする必要がなくなり、アキュフェーズやエソテリックのようなハイエンドオーディオと同様に、外観は変わらず、内部回路のチューニングによるバージョンアップが主流になってくるようです。

P-750u LIMITED

たとえばラックスマンからは、2017年発売の最上級ヘッドホンアンプP-750uから、2020年にはアンプ回路が改良されたP-750u LIMITEDが登場しました。後継機ではなく限定スペシャルモデルという形で、価格も通常版の30万円から一気に40万円に上っています。

価格設定というのは面白いもので、もしこれが2万円程度の差なら既存P-750uユーザーは無視するかもしれませんが、さすがに10万円も違うと、そこまで違うなら買い替えてみようと検討する気になります。そもそもP-750u自体がラックスマンらしい素晴らしいヘッドホンアンプだったので、LIMITEDで一体どのへんが変わったのかと確認してみたくもなります。ラックスマンはUSB DACのDA-6が生産終了して久しいので、そろそろP-750uに見合う新型DACを期待したいです。

ADI-2 DAC FS

プロ用オーディオインターフェースの定番RMEからも、大好評ADI-2 DACがマイナーチェンジでクロックがアップグレードされたADI-2 DAC FSに更新され、同時にBabyface ProもFS仕様になりました。

RMEというと、過去作はマイクプリなど録音側の機能が豊富なせいで、音楽鑑賞用としては無駄に難解でコストパフォーマンスが悪かったのですが、ADI-2 DACはリスニング専用機として機能を削り価格も13万円に下がったおかげで、同価格帯コンシューマーブランドと比較試聴してみるとプロ機ならではの高解像ぶりに感銘を受けます。

iFi Audio Zen DAC & Zen CAN

英国iFi Audioは2020年も新作が続々と登場しました。まず2月にはhip-dacというポータブルDACアンプが発売、価格は2万円弱と同社ラインナップの中でも一番安く、それでもDAC周りは上位機種と同じ構成を踏襲しているというコストパフォーマンスの高いモデルです。

続けて据え置きヘッドホンアンプZen CANが登場、これは単体でも優秀なアナログヘッドホンアンプですが、2019年発売で好評を得ているZen DACとセットで使う事も想定しています。それぞれ約2万円という低価格ながら非常に高出力で、Zen DACとともに単なるエントリーモデルだと侮れません。この値段でこれだけの事ができるメーカーは他にいないと思います。

micro iDSD Signatureとneo iDSD

年末には、多機能な据え置き型Neo iDSDと、micro iDSDシリーズの最新型micro iDSD Signatureが発売して、私も前作micro iDSD BLからSigatureへと買い替えました。どちらも10万円前後です。

Signatureは前作から細かな変更のみで(データと充電USB端子が別になるなど)、スペック的に目立った違いは無いのですが、サウンドは明らかに進化しているのに驚きました。特にDSD再生の素晴らしさは圧巻です。初代micro iDSDから今作まで同じフォームファクターでここまで音質を高めていく事ができるのは凄いです。

Burson Conductor 3X

珍しくオーストラリアBurson Audioが日本で取り扱われるようになったのも良いニュースです。以前から高出力で力強いサウンドに定評があるブランドで、Conductor・Soloistなどの据え置きヘッドホンアンプを作っており、他にも高品質電源やオペアンプ差し替え用ディスクリートアンプなどの面白いDIY用製品も作っている典型的なガレージ系メーカーです。

2020年は新作Conductor 3シリーズが登場、高出力ヘッドホンアンプにUSB DACとBluetooth 5.0受信機を搭載したオールインワン複合機で、価格は12~14万円くらいです。私も発売当初デモ機を試聴して、出力を測ったり色々やったのですが、DSD256等の高レート再生が上手く行かず(ACアダプターのせいでグラウンドが不安定だったのが原因だったようですが)結局ブログに上げるのを断念しました。機会があればもう一度試してみたいアンプです。

オーディオテクニカAT-BHA100・AT-DAC100

日本からはオーディオテクニカが待望の据え置きヘッドホンアンプを発売しました。アナログヘッドホンアンプAT-BHA100とUSB DAC AT-DAC100のセットで、合計20万円くらいになります。

同社の大型ヘッドホンと合わせて使う事を想定したシステムで、スペックもデザインもまさに無難の極地みたいな仕上がりなのですが、これまで個性的でクセの強い海外ブランドを色々と使ってきた後では、やはり接続してすぐ音が鳴る日本メーカーらしい安心感につくづくありがたみを感じます。真空管プリを搭載していて、シンプルで手軽に高音質が得られるので、末永く使えるヘッドホン環境を組みたい人にはちょうどよいシステムだと思います。

同じヘッドホンアンプ枠で扱うべきかわかりませんが、スマホ用のドングルタイプのDACヘッドホンアンプも主に中国メーカーから多数登場しました。Shanling UA1・iBasso DC03・Lotoo PAW S1など、どれも1~3万円くらいです。

以前からAudioquest DragonflyやUltrasone Naosなどの製品が好評でしたが、特に最近は高性能な省電力ICチップが続々登場しているおかげで、それらを活用した商品が増えてきました。iPhoneの白いイヤホンアダプターよりもうちょっとマシなものが欲しいけど、かといって大きなポータブルアンプは持ちたくない、という人にはちょうど良いです。もちろん電力はスマホのバッテリーを消費してしまうので、そのへんはバッテリー内蔵型ポータブルDACアンプを使うメリットがありますが、選択肢が増えるのは良い事です。

Bricasti M3H

尋常でなく高価なヘッドホンアンプもいくつか新作を聴いてみました。

Bricasti Designというアメリカのブランドはハイエンドオーディオ雑誌を読んでいる人ならご存知だと思いますが、そこの新型DAC M3がオプションでヘッドホンアンプを搭載でき(M3Hというモデルになります)、しかもかなり気合が入っているということで、ヘッドホン界隈でも話題になりました。価格は約77万円です。私も友人のツテでちょっと聴いてみて、確かに凄い情報量なのに聴き疲れしないハイエンドらしい優雅な仕上がりに関心しましたが、じっくり聴けたわけではないのでブログでは紹介しませんでした。

Auris & EarMen

日本ではあまり耳にしないAuris Audio・EarMenというブランドのヘッドホンアンプも試聴してみて結構面白かったです。アメリカ大手ヘッドホンショップMoon Audioなどで販売しているので名前は知ってましたが、なんと本社がセルビアにあり、アンプもセルビア製という時点で興味をひきます。

Aurisブランドでは真空管ヘッドホンアンプでスマートな縦型のEuterpeや大型のHeadonia、Nirvanaなどがあり、最上位Nirvanaで約60万円くらいになります。さらにEarMenブランドとしてポータブルDACアンプTR-Amp(上の写真の赤いやつ)やドングルタイプのSparrow・Eagleなどを展開しています。これらEarMenの方は優秀で万人受けしそうですが、真空管アンプの方は個性が強く、ずいぶん手がかかったので(試聴中に色々ありました)、ブログに上げるべきか考え中です。

Niimbus US4

2020年発売のモデルではありませんが、ドイツViolectricの上級ブランドNiimbusのヘッドホンアンプが日本でも販売されるようになりました。最上位US4+というモデルはなんと86万円です。

個人的に長らくメインヘッドホンアンプとして愛用しているViolectric V281という素晴らしいモデルがあるのですが、Niimbus US4/US4+はこれをオーディオファイル向けにさらに改良した上級品です。興味を持って借りて聴いてみたところ、確かに現状で最高峰と言えるくらい凄いヘッドホンアンプです。ただしViolectricブランドとは別路線で味付けも濃くなっているので、どちらが好みか悩むところです(高すぎて買えませんが)。

SPL Phonitor x

同じくドイツから、2021年からSPL社が正式に日本で流通するようになるという嬉しい発表がありました。業務用プロオーディオ機器メーカーで、特にヘッドホンアンプに関しては昔からハイエンド機を展開していたので、私もViolectricを購入する際にSPL Phonitorとどちらを買うか悩んだものです。SPLはスタジオにおけるモニタースピーカーの代用としてのヘッドホンリスニングに注力しており、特にステレオクロスフィードを詳細に調整できる機能は他社では類を見ません。

ヘッドホンアンプはSPLにとって氷山の一角で、圧巻のマスタリング関連製品ラインナップを取り揃えているメーカーなので、必然的に音質や技術力はお墨付きです。コンシューマー向けのDAC Director Mk2は41万円、ヘッドホンアンプPhonitor Xは33万円と高価ですが、11万円くらいの据え置きヘッドホンアンプPhonitor se(DAC搭載版は17万円)もあるので、注目に値するメーカーです。


DACやヘッドホンアンプの現状を見ると、「USB DAC + ヘッドホンアンプ」という組み合わせは熟成され尽くしたので、価格による性能差はかなり狭まっています。

コストパフォーマンスの視点から言うならば、iFi Audio Zen DAC + Zen CANが現時点での指標でしょう。4万円台のセットでこれだけの性能を発揮されると他社の出る幕がありません。ヘッドホンオーディオに求められる全てのエッセンスを凝縮しているので、高級システムを検討する前に一旦冷静になって再考する良い機会になります。

金に糸目をつけない最高級システムになると、たとえばChord Dave単体で完結するのが一番ピュアーで良いという人もいれば、Holo AudioやMetrum AcousticsなどディスクリートNOS DACにWoo Audioなどの300B真空管アンプを組み合わせるのが良いという人もいます。たかがヘッドホンを鳴らすのに100万円を超える事も可能ですが、結局は音を聴いてみて判断する世界です。

DACはスピーカーオーディオと共通しているので高級機の種類も豊富ですが、ヘッドホンアンプとなると、近頃は意外と大手メーカーからの選択肢が少なくなってしまいました。ちょっと前まで、据え置き型ならマランツHD-DAC1やOPPO HA-1、ポータブルだとソニーPHA-3やJVC SU-AX01などが競い合っていた時代が懐かしいです。

単純に数が売れないからというなら仕方がありませんが、これら数年前のモデルは機能やスペック面ではあと少し改良を加えるだけでmicro iDSDやChord Hugo 2のレベルに到達するところまで迫っていたので、このまま終わるのは実に惜しいです。

私の勝手な考えですが、現在主流なハイエンドDAC・ヘッドホンアンプに求められるスペックを思い浮かべてみると:
  • ASIOでDXD・DSD256ネイティブ対応
  • DSPアップスケール処理などD/A変換の独自性
  • クロックやUSB周りなどの熟考
  • 外乱に強い設計と強力な電源
  • コピペではない独創的なアナログ回路設計
  • 限りなく低い出力インピーダンスとクロストーク
  • 10Vrms・2W以上の高出力
  • 4Ω負荷でも負けずに100mW以上維持
  • 高感度IEMイヤホンも使いやすいゲイン設定と低ノイズ性

といった点が思い浮かびます。一流メーカーからすれば「簡単じゃないか」と思うかもしれませんが、このような基本的な点が壊滅的に悪いモデルもまだまだ多いです。

実際の音質に関してはまた別問題ですが、こういった基本的な点を押さえてようやく音質の良し悪しを評価できるレベルに達していると言えます。そうでないと、ヘッドホンを十分に駆動できておらず相性問題に翻弄されてしまいます。現在これだけ多くの高級イヤホン・ヘッドホンが存在するのだから、それらを鳴らすためのヘッドホンアンプにも同じくらいの活気が見たいです。

また、今回はあえて掘り下げませんでしたが、スピーカーオーディオの方面では現在ネットワークDACが注目されており、従来のUSB DACからの買い替えやネットワーク化が話題になっています。以前からカジュアルな使い方としてはDLNA・AirPlayなどですでに広く浸透していたものが、ハイエンドオーディオでも通用するレベルに仕上がってきたという感じです。私もSPECのRMP-UB1とか買おうかなと悩んでいます。

ヘッドホンオーディオは必然的に手元の至近距離にあるのでネットワーク化の必要性は低いかもしれませんが、USBと比べてメリットも多いので、今後なにか大きな起爆剤があれば一気に市場が切り替わる可能性を秘めています。

このあたりも、たとえばサブスクリプションストリーミングを使っている人、ハイレゾPCMやDSD音源を買ってNASに溜め込んでいる人、自宅のCDコレクションをそろそろ全部リッピングしたい人、音楽はYoutubeで十分だという人など、音楽の聴き方が多様化しているため、自分にとって理想的なオーディオシステムというものを改めて考え直す節目に差し掛かっているようです。


おわりに

今回は前後に分けて2020年に個人的に気になったイヤホン・ヘッドホンやDAP・アンプなどを振り返ってみたわけですが、全体を通して考えてみると、ここ数年で各メーカーが目指してきた方向性が商品に現れはじめた一年だったと思います。

たとえ定番の大手メーカーだとしても、従来のモデルシリーズやデザイン手法などが過去のものとなり、製造拠点や経営方針が変わったり、開発エンジニアスタッフの世代交代などで、どこも新世代に生まれ変わっています。

オーテク、ベイヤー、Shureなどの代表的なブランドも、これまでのサウンドイメージや定説を一旦忘れて新鮮な目線で新作を聴いてみるべきですし、Noble AudioやJH Audioなどのイヤホンメーカーも、出世作である初代シリーズから一旦離れて新たな方向性を提示する時代になりました。

良くも悪くも時代が変わっている事が実感できるので、いつまでも古いブランドイメージに固執せず、様々なメーカーの新作を試聴してみたいです。

残念ながら、コロナの影響で、想定していたロードマップからの軌道修正を余儀なくされたメーカーも多いと思います。また、やはり日本は交通の便があるので、これまでは現物をイベントや店頭試聴会などで実際に触れてみた上で、掲示板などで感想の口コミが広まるような、つまり熱心なマニアが中心となったコミュニティ的な流れでヒット商品が生まれてきたように思います。2020年はそういった日本風の売り方の弱点が露見してしまったような一年でした。

一方、インターネット上でオーディオ新製品の話になると、このDACチップだから音が硬いとか、このコンデンサーを使っているなら音が籠もる、なんて、実際の音を聴かずに要素だけを切り取って、もっともらしい主張をしているのをよく見ます。そして、そういった感想を読んだ初心者も「なるほど、そういう理由があるなら、これはきっと音が悪いんだな」と思い込んでしまい、試聴すらしない、という悪循環が横行しています。私もよくショップなどで人に何か新しいモデルを勧めると「でもネットレビューだとESSは音楽性が無いと書いてあったから」なんて偏見で敬遠されることがあります。よく測定レビューで槍玉に上がる歪み率とかも、もちろん低ければ低いほど結構ですが、普段聴いている楽曲の実効ダイナミックレンジやヘッドホンが出せる音量とかと比べれば、そう大した問題でもありません。歪み率0.3%(-50dB)以上でも絶大な支持を受けている高級アンプなんて沢山あります。

オーディオが未だに非科学的だと言われている理由は、実際に耳で聴くための時間を費やす必要があり、写真や数値を見ただけでの判断はできないからです。ネット中心になるとそのあたりが伝わらなくなってしまう心配があります。

また逆に、日本のメーカーも、コロナを経て今後の売り方について再考するきっかけになったかもしれません。市場のグローバル化は中国メーカーとかの方が積極的で一歩先に進んでいるので(多くの場合、通関を無視しているからとも言えますが・・・)、その点日本のメーカーは商品は良くても海外ファンとの意思疎通ができていないために、非常に大きな市場を見逃しているという話です。

プロモーションにおいても、日本国内なら雑誌やネット広告などがあいかわらず影響力が強いのですが、中国市場ならWeiboとTaobaoを埋め尽くす力技や、英語圏なら「米アマゾンレビュー数+Youtubeレビュー動画数+大手ガジェット系ネットニュースのベストバイラインキング」という必勝の図式が求められます。それらを怠っていて「なぜ売れない」と悩んでいても始まりません。

個人的には以前のような試聴と手売りのコミュニティ重視の世界に戻りたいですが、コロナのせいでそうも言っていられませんし、日本国内の購買力も落ちているので、今後のイヤホン・ヘッドホン市場は水面下で大きく変わっていくような予感がします。

早速2021年1月11日から家電最大イベントCESが開催されますが、今年はオンラインのみになりました。オーディオ製品に限らず、全ての家電メーカーにおいてとても気合が入るイベントですので、ここで発表された新製品が以降どのようにしてネットニュース、レビューメディア、Youtubeなどに流れていき、プロモーション展開していくのか、そしてどれが成功してヒットにつながるのか、各メーカー広報の考え方やアプローチの違いを勉強する良いテストケースになると思います。

2020年の個人的なヘッドホン環境

最後に、余談になりますが、2020年の私の個人的なヘッドホンオーディオ環境について振り返ってみます。

V281ヘッドホンアンプ

まず自宅の中核となるヘッドホンアンプはあいかわらずViolectric V281を使いつづけています。2020年は同じメーカーのNiimbus US-4にも一瞬心が揺れましたが、今のところV281が自分にとって最高のヘッドホンアンプです。DACはChord QutestやdCS Debussyなどを使い分けています。NASに入っているファイルをPCのJRiver経由でUSBでDACに送っているので、このあたりをネットワークDACなどでもうちょっと簡略化できないかと考えています。

手近にあったiFiガジェットの究極合体

職場のデスクでは、iFi Audio micro iDSD BLから新作micro iDSD Signatureに買い替えました。このシリーズは2015年の初代モデルからずっと私の手元を離れたことが無く、その素晴らしいサウンドへの絶賛は尽きる事がありません。今回のSignatureも確かな音質向上が感じられるので、また次回作が出るまで末永く付き合っていけそうです。

ちなみに上の写真にもあるようにiFi Audioは変なフィルター系ガジェットも色々売っているので、中身が気になったりして買ってはいるのですが、効果はあったり無かったり、良かったり悪かったり、必ずしも装着していたほうが高音質というわけではありません。ただし友人宅でノイズやグリッチに悩まされているという場合はこういうのがあるとトラブルシューティングに便利なので、そういう場面では結構役に立っています。

Hiby R6PRO

DAPは2019年に買ったHiby R6PROを続投して使いつづけています。パワフルで音が良いので飽きずに満足しています。

ただし2020年はバッテリーが数時間で残量ゼロになる不具合に見舞われ修理に出す事になり、修理後はバッテリーは快調ですが、今度は稀に充電してくれない時があるなど、トラブルフリーではありません。故障中いっそAK SA700に買い換えようかと悩みましたが、修理から意外と早く戻ってきたので決断にまでは至りませんでした。

小型DAPのShanling M1の方もバッテリーがおかしくなってきたので、こちらはもう寿命と諦めて、新たにHidizs AP80 Proに買い替えました。最新作だけあって音質、パワー、操作性の全てにおいてM1を凌駕しています。

ヘッドホンは、自宅でYoutubeを見たりする時はGrado GS1000eの出番が多かったです。軽量快適でどんなジャンルにも合うので、合計時間で言えば一番長く使ったと思います。ただし新譜チェックするような場合では、どの曲もGradoっぽく聴こえてしまうのは困るので避けるようにしていました。

真面目な音楽鑑賞用としては、これまでAKG K812PRO・HIFIMAN HE560・ベイヤーT1 2nd Genなど優秀なモデルを色々使ってきましたが、なんとなくメインのヘッドホンはその時点での現行モデルを使いたい、という変なポリシーを持っているので(大した意味はありませんが、もう手に入らない古いモデルが良かったとか言いたくないので)、2020年はT1 2nd Genが終了となったことで新たなヘッドホンを模索していました。

ちょうどタイミングよくオーテクATH-ADX5000を友人が手放すということで安く手に入れる事ができ、結局それを主に使っています。HD800がもうちょっと美音系になったような、真面目なわりに美しい芸術性もある、素晴らしいヘッドホンだと思います。ちなみにその友人はHIFIMAN SUSVARAに乗り換えています。

密閉型ヘッドホンはあいかわらずベイヤーDT1770PROかフォステクスTH610のどちらかを使っており、ほぼ完璧に満足しているので、2020年はそれらを上回るような新作はありませんでした。

イヤホンは例年通りダイナミック・マルチBA・ハイブリッドの三種類でそれぞれ一台づつ気に入った物を揃えておきたいというポリシーです。

ダイナミック型ではAcoustune HS1697TIを新たに購入しました。これまで使ってきたDita Dreamの方が解像感など絶対性能は高いと思うのですが、HS1697TIはフィット感やサウンドがそこまでシビアではないので気軽に美音が味わえます。Dream XLSも検討したのですが、私の耳だとフィット感があいかわらず悪い事と、私がDreamに求めているサウンドとちょっと違ったので購入しませんでした。ちなみにもうちょっと気軽に使えるダイナミック型イヤホンではFinal E5000があいかわらず優秀なので使う機会が多いです。

マルチBAではUltimate Ears Reference Remastered To Goを買ったので、これで当分満足できそうです。古いモデルですがずっと気になっており、2018年にデザインが一新され、2020年早々にセールがあったので思い切って購入しました。新型ケーブルコネクターは快適ですし、やはりUEはサウンドチューニングの仕上げ方が一級品で、なんで他社はこれと同じ事ができないんだろう、と不思議に思えてしまいます。想像していたほど音がシャープではなく、とにかく繊細で奥深いです。

ハイブリッド型は2017年からあいかわらずUnique Melody Mavis IIというのを使いつづけています。ハイブリッドこそ新作が続々登場しているジャンルなのですが、なぜかMavis IIで満足して、未だに買い替えていません。

このイヤピースは凄く良いです

ワイヤレスイヤホンの登場で一般人もイヤピースのフィット感や音質への重要性をようやく理解しはじめたようで、優れたシリコンイヤピースの需要が高まっているようです。

2020年はAzla Xelastecという体温で変形してフィットするやつが好評だったので私も買ってみたところ、思いがけないところで良い結果となりました。

普段と同じようなサイズや使い方では、さほど凄いとは感じなかったのですが、写真のUltimate Earsのようにノズルの長いデザインのシェルだと、先端にXelasticの最小サイズを装着することで、まるで本当のカスタムIEMのように耳の奥でしっかり変形してフィットするので、圧迫感が少なく、音質も遮音性も抜群に良いです。おかげでUE RR+Xelastec(SSかS)は電車通勤でじっくり音楽を楽しむための最高の組み合わせになりました。

Chord Hugo TT2 + M-Scaler

年末年始は実家に帰省せずに自宅でのんびり過ごしていたところ、友人が旅行に出ているあいだChord Hugo TT2 + M-Scalerのセットを貸してくれるということで、幸運にも数週間じっくり堪能する事ができました。発売当時に試聴した際も凄い音だと思ったのですが、あらためて自宅で聴いてみても、そのポテンシャルの高さを実感します。返却するのが実に惜しいです。

今欲しいもの

今のところ、普段使っているシステムでも十分すぎるほど満足できていますが、欲を出して、資金さえあれば買いたいと思っている商品があるか考えてみると、真っ先に思い浮かぶのは、大型ヘッドホンだとフォステクスTH909、イヤホンだと64Audio Nioになります。

特にTH909は現状全てのヘッドホンの中で、サウンド・装着感・デザインなど総合的に見て、一番自分の好みに合っているヘッドホンです。リラックスして最高水準の音楽鑑賞が楽しめるという点においては完璧に近いです。中古ADX5000を格安で買えていなければ、多分こっちを買っていたでしょう。ADX5000が劣るというわけではなく、あちらはHD800と同様に完全開放なので騒音の無い静かな部屋で背筋を正して聴くような感じで、一方TH909はむしろセミオープンっぽく環境に左右されず良い音に包み込まれます。

64Audio Nioはもう五回くらい試聴しているのですが、毎回試聴する前に「そんなに良かったっけ」と懐疑的でも、いざ試聴しはじめると「やっぱり良い音だ」と納得してしまいます。イヤホンは更新頻度が速いので、23万円というのはちょっと高すぎて厳しいですが、ライバルと比べてもその値段の価値は十分にあるモデルです。ハイブリッド型でUnique Melody Mavis IIから交代するなら、このNioが最有力候補です。

私は主にクラシックやジャズの生録音を聴いているので、そういうのが好きな人は上に挙げた私の好みのモデルはどれもおすすめできると思います。逆にスタジオミックスのポピュラー系を主に聴く人だと全然違うモデルが良いと感じるでしょうから、どれが正解というものでもありません。

とにかく好き嫌いせず多くのブランドやモデルを試聴していると、自分の好みにピッタリ合うモデルに遭遇する事があり、さらに何度も繰り返し試聴に戻っても心が変わらないとすれば、値段は無視してどうしても欲しくなってしまう、というのがオーディオ趣味の怖いところです。

その点においては、自分の好みを発見するためにも、レビューを読むだけでなく実際に試聴することの重要性を改めて実感した一年でした。

2021年以降、コロナが落ち着いて、またイベントや試聴会などに活気が戻る事を祈っています。