Dita Audio VenturaとAcoustune HS3000イヤホンを試聴してみたので感想を書いておきます。
| Dita Ventura・Acoustune HS3000 |
Venturaは2025年11月、HS3000は2026年1月発売の新作で、どちらもダイナミック型の頂点を争う最高峰モデルということで、今回合わせて試聴してみることにしました。
Dita & Acoustune
このブログでは近頃すごいハイエンドなイヤホンを多く取り上げていて、そもそも私自身が購入できないくらい高価なものばかりで申し訳ないのですが、自分が興味があるメーカーの新作というと、こういう高級機が続々登場して困っています。
| Dita Prelude・Acoustune RS Five |
Dita Audioは直近では二万円台のPrelude、Acoustuneは四万円台のRS Fiveといった比較的リーズナブルなモデルを紹介したばかりで、どちらもそこそこ良かったので、これでようやく中級価格帯のラインナップ充実を目指すのかと期待していたら、今回のDita Venturaは80万円、Acoustune HS3000は65万円と、とんでもない価格で驚いてしまいました。
これらに手が届くオーディオマニアは世界中で何人いるのかと気になる一方で、それだけポータブルオーディオというジャンルに上昇志向があることに嬉しくも感じます。
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| どちらも60万円超というのは恐ろしいです |
私自身、ハイエンドイヤホンというと、最近の物価高を考慮しても20~30万円くらいが上限という感覚があったので、さすがに今回の価格には衝撃を受けました。いざ試聴してみて、どれだけ高音質だったとしても、「この音質なら、この値段も十分納得できる」といった結論は絶対に言わないと心に決めようと思います。
Dita Audioはシンガポール、Acoustuneは日本のイヤホン専門メーカーで、どちらもダイナミック型モデルの開発に力を入れているところが共通しています。それぞれ独自の構想と技術でドライバーや音響ハウジングの発展を進めており、大手のゼンハイザーやFinalと並んでダイナミック型のファンなら見逃せないメーカーです。
Dita Audioの発足は1971年ということですが、多くの人にとって2015年のThe Answerというイヤホンがデビュー作として印象に残っていると思います。Acoustuneの方は2015年のHS1001がデビュー作で、現在のデザインに落ち着いたのは2017年のHS1501くらいからだと思います。
私はこのあたりの業界トレンドに疎いので、どちらもある程度知名度が出てきてからイベントブースかなにかで知ることになり、Ditaは2016年のThe Dream、Acoustuneは2020年のHS1697Tiを購入してファンになりました。当時マルチドライバー型が主流だった中でダイナミック型のポテンシャルを追求するDitaとAcoustuneは、一見古風のようでいて、他社を圧倒するサウンドに衝撃を受けた記憶があります。
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| Dita PerpetuaとVentura |
その後Ditaの上級モデルはDream XLS (2019)、Perpetua(2022)と続いて現在のVenturaに至ります。その間に奇抜な限定モデルの「Project 71」やFinalとのコラボモデル「糸竹管弦」を出したり、レギュラーラインナップのProject M、Mecha、Preludeといったモデルなどがあり、とりわけProject Mは5万円弱でデザインと音質が素晴らしく、私も購入しました。
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| HS3000・HS2000 MK3 |
Acoustuneの上級モデルは2021年のHS2000MXでドライバーと音響チャンバーをカプセル化したユニットモジュールを導入して以来、HS2000 MX MK2 (2022)、MK3(2024)と更新を続けて、さらに別売のモジュールも多数リリースしており、今回HS3000が搭載するACT08モジュールも過去モデルとの後方互換性を保っています。それら最上級シリーズとは別に、2024年のHS1900Xというモデルを個人的に気に入って愛用しています。
どちらも熱心なファンが多いメーカーである一方で、単純な優劣ではない独自の魅力があるため、私を含めて、わりと柔軟に両方とも支持しているイヤホンマニアが多いと思います。
Ventura
まずDita Venturaの方をじっくり見てみます。ハウジングのデザインは明らかにDita Audioらしさを放っており、60万円のイヤホンとは思えないほどシンプルでコンパクトに仕上がっています。
最近のイヤホンは大きすぎて扱いづらいという人も結構多いと思いますし、そんな中で最高級機でもここまで薄くコンパクトに作れるということを見せつけてくれます。
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| Ventura |
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| だいぶシンプルです |
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| コンパクトの代名詞IE900と比較 |
ハウジングは後ろに向かって通気グリルのように飛び出した部分があり、そこに一般的な2ピン端子でケーブルを接続します。Acoustuneの方がメカ的なデザインで有名ですが、Venturaもガンプラの関節部品みたいな形状ですね。
内部には12mmの金蒸着チタン・セラミック振動板のDita V4ドライバーを搭載しているそうです。ちなみにドライバーマグネットの後ろに四種類の音響バッフル部品を組み込んでいることからV4と呼んでいるそうです。このドライバーユニットとバッフルが真鍮製のモジュールに格納されて、チタン製の外側ハウジングに組み付けられています。
全体的に真面目でシンプルというか、精巧に切削されたチタンハウジングも黒いコーティングで大人しく仕上げています。ハイエンドなイヤホンというとギラギラした宝飾品のようなモデルが多い中で、Ditaはあいかわらず気難しい職人気質というか、知る人ぞ知る隠れた逸品というイメージが感じられます。
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| HS3000とVentura比較 |
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| 耳穴とノズル角度が合うか個人差があります |
ところで、冒頭で「Dita Audioらしさを放っている」と言ったのは個人的にマイナスの意味もあり、耳へのフィット感がかなり独特で賛否が分かれると思います。
側面から見るとわかるとおり、コインを重ねたような円筒から出音ノズルが斜めに飛び出している形状は、Dita初期のAnswerやDreamといったモデルデザインを踏襲しており、実際に装着してもそれらを彷彿とさせます。雰囲気が一番近いのはDream XLSでしょうか。
それらDita初期のモデルはフィット感が独特すぎて、開発者自身がフィットするデザインを作っただけで、世間一般に売る事をあまり考えていないように思えました。ハウジング側面が平面なので耳穴のくぼみへの収まりが悪く、ノズルが変な角度で飛び出ているので、耳穴との軸線が揃わず音にクセがついてしまうという問題がありました。今回Venturaも似たような感想です。装着感はともかく、聴こえてくるサウンドに個人差が生まれやすいのが問題です。
上の写真で見てもわかる通り、HS3000はノズルとハウジングが一直線にテーパーしているコーン形状なので、自分の耳穴の軸線に合わせて調整できるのに対して、Venturaはハウジング側面を耳のくぼみに合わせると、耳穴とノズル角度が揃っているかは個人差の運任せになってしまいます。
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| Dita Mechaの方がカスタムっぽい定番フォルムでした |
不思議なのは、Ditaのラインナップでも直近のProject M、Mecha、Preludeなどの安価なモデルでは、カスタムIEMに近づけたような三次元フォルムでフィット感が非常に良かったので、ようやくDitaも他社と足並みを揃えてきたかと油断していたところ、今回Venturaでは逆戻りしたのが意外でした。
あえて初期のデザインに回帰したのは、Dita Audioらしいアイデンティティーの強調なのかもしれませんが、それにしても私はあまり納得できません。
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| Ventura付属ケーブル |
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| 一般的な2ピン端子 |
付属ケーブルもDitaらしく個性的です。Ditaといえば独自のケーブル開発に自信を持っており、私も初代Dreamの付属ケーブルの音の良さに驚かされ、そして扱いづらさに苦しめられた一人です。
Venturaに付属しているケーブルはそこまで固くはなく、特にY分岐以下は布巻きでベタベタしないため良好です。しかしY分岐より上はビニールチューブのような張力のある外皮で、一般的な編み込みタイプと比べると耳周りから飛び出して収まりが悪いです。質感はホビー用のエアーホースのような感じです。しかもイヤホンへの接続端子が2ピンなので、ここで回転させて耳の側面に添わせる調整ができないため、常に飛び出して引っ張られるような感覚があります。
もし付属ケーブルが粗悪な安物なら、すぐにでも柔軟な社外品ケーブルに交換したいところですが、Ditaの場合ケーブルを含めてサウンドを設計していると思うので、むやみに社外ケーブルに変えたくないのが悩ましいです。Project Mの付属ケーブルはサラッとした質感の編み込みタイプで使いやすかったので、ようやくDitaも業界の標準に合わせてきたかと喜んだところ、また往年のDitaらしさを思い出すことになりました。
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| プラグ交換 |
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| Dita独自の着脱端子 |
アンプ側のコネクターは独自機構で分離交換できるようになっています。今では多くのメーカーが採用している一般的なギミックになりましたが、Ditaはかなり最初期の発案者だったと思います。2016年のDreamでプラグ交換が実装された時はかなり画期的でした。
HS3000
続いてAcoustune HS3000の方を見ていきます。こちらは正式にはHS3000 HICHIRIKI 篳篥といって、雅楽とかで使う竹の縦笛のことだそうです。HS2000はSHO 笙だったので、どちらも独特の世界観で高級感のあるネーミングだと思います。
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| HS3000 |
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| Acoustuneらしいメカデザインです |
肝心のダイナミックドライバーは「第2世代ミリンクスコンポジットダイナミック型ドライバー」というそうで、公式の解説だと「医療グレードのポリマーバイオマテリアルを基本素材とするミリンクス振動板と、日本製ベリリウム薄膜加工ドームを組み合わせた複合構成」だそうです。
ちなみに私が持っているHS1900Xの方は「第3世代ミリンクスコンポジットドライバー」と書いてあるので、第2世代と第3世代の区別がいまいちよくわかりません。
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| HS3000とHS2000 MK3のドライバーモジュール |
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| モジュールは互換性があります |
HS3000のドライバーモジュールはACT08という名称で、チャンバーは銅製だそうです。HS2000シリーズと後方互換に対応しているので、もし別売するのであればモジュールだけ買ってHS2000に組み込む事も可能ですし、逆にHS2000用モジュールのコレクションもHS3000のハウジングで有効に活用することができます。
そうなると、今作はHS3000というよりもHS2000 MK4と呼ぶべきかもしれませんが、外側のハウジングが完全新設計で印象もガラッと変わったことで、あえてHS3000という名前を選んだのだと思います。これまでのHS2000シリーズも継続して販売する様子です。
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| HS3000・HS2000 MK3比較 |
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| 形状がだいぶ変わりました |
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| フタが二段階になりました |
新しいシェルハウジングに関しては好き嫌いが分かれるかもしれません。HS2000と比べて奥行きは変わらないものの、前後の横幅がだいぶコンパクトになったメリットがある一方で、フィット感が変わったので合わない人もいるかもしれません。
私の耳ではほぼ問題ありませんでしたが、HS2000と比べると耳穴の上あたりがちょっと当たる感じがあります。どうしても合わないようならシリコンイヤピースの種類やサイズを変えて試してみるべきです。
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| HS3000のモジュールとシェルハウジング |
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| 二つのヒンジ部品を揃えて |
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| このネジの段差が厄介です |
個人的に不満があるとするなら、新しく変更されたモジュール組付け機構がちょっと複雑になっており、こういうのに慣れていない人に任せると壊すリスクが増したように思います。
具体的には、HS2000ではモジュールのL/Rと電気接点を合わせて挿入したら、その上からヒンジカバーのネジで固定するだけの一動作だったのですが、HS3000ではヒンジカバーを回転部品で押さえつける二段機構になり、しかもネジがステップネジになったので、回転部品の軸を正確に揃えて組み付ける必要があります。
しかもHS2000では摘みネジだったところ、HS3000は六角ヘッドに変更されており、些細な違いでも個人的には従来の摘みネジの方が良かったと思います。六角だと必然的に工具を使いたくなる人が出てくるので、過度な力でネジ山を舐めてしまうリスクが高まります。摘みネジであれば指で回す以上の力がかからないため、トルク管理ができない素人が壊す心配が減ります。HS2000の構造だとネジが緩んでモジュールが脱落するトラブルでもあったのでしょうか。
なんにせよ、一旦しっかり組み付けさえすれば、HS1900Xなどと同じような普通のイヤホンとして扱えるので、そう頻繁にモジュールを交換しない限り問題ないと思います。
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| ケーブルは太いですが柔軟性は良好です |
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| HS3000・HS2000MK3ケーブル比較 |
付属ケーブルはデザインがだいぶ変わりました。ARX600という新型で、古河電工の高純度無酸素銅線PCUHDを採用しているそうです。かなり太くて高級そうな質感ですが、柔軟性はそこそこあるので、これまでのモデルと比べてもケーブルに引っ張られるような不快感は無く、むしろ重いケーブルが耳掛け部分を下に引っ張ってくれるため、フィットの安定感が増します。
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| MMCXではなくPentaconn Earコネクター |
イヤホン側にPentaconn Earコネクターを採用しており、品質や装着感は非常に良いです。Dita Venturaの方は古典的な2ピン端子なので耳掛け部分の回転角度が調整できず散々悩まされましたが、それと比べるとAcoustuneのPentaconn Earは耳掛けを自分の耳に沿わせることができるので助かります。
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| コネクター交換 |
今回コネクターが独自の4ピン圧入端子で分離して4.4mmバランスと3.5mmシングルエンドを交換できるようになりました。このあたりは最近多くのメーカーが採用しているギミックで、どうにか規格を統一してもらいたいところですが、HS3000のはコネクターがチタン切削ということで、かなりカッコいいです。
インピーダンス
いつもどおり再生周波数に対するインピーダンスの変動を確認しました。
参考までにDitaはPerpetua、AcoustuneはHS2000MK3とHS1900X、さらにMadoo Typ930のグラフも重ねてみました。
どれもマルチBA系と比べると可聴帯域全体のインピーダンスが安定しており、アンプに対してそこまで難しい負荷ではなさそうです。このあたりもダイナミック型の大きなメリットです。
Dita Venturaの公式サイトにインピーダンス数値の記載は見当たりませんでしたが、50Ω付近と結構高めに設計しているようです。個人的にインピーダンスはこれくらい高い方が扱いやすいので嬉しいです。
HS3000の方は意外でした。直近のHS2000MK3とHS1900Xがほぼ同じような24Ωあたりのインピーダンス特性だったので、HS3000もこれくらいを目安に設計しているのだろうと思っていところ、低域側は18Ω付近と若干低く、中域のアップダウンを経て7kHzあたりからHS2000などと重なってきます。私の測定ミスかと思いテスターやLCRメーターでモジュール単体を測ってもこのような数値になるので、間違いではなさそうです。
同じデータを電気的な位相変動で表したグラフです。Madoo Typ930のみ平面型+BAのハイブリッドなのでクロスオーバーの存在が明らかですが、それ以外はシングルダイナミックなので、インピーダンスは違えど位相変動の傾向はそこまで変わりません。
HS3000はやはり従来のモデルと比べると不思議な挙動ですね。3kHzの位相回転で大きな谷ができるのは他と同じですが、なんだか極端な気がします。とはいえどれも10°以内に収まるような些細な変化なので、最近の高性能DAPであれば問題ないでしょう。
音質とか
今回の試聴では普段から聴き慣れているHiby RS6やAK SP3000 DAPを主に使いました。
VenturaとHS3000のどちらも一般的なIEMイヤホンと比べるとノズルが短いので、イヤピースは普段よりも一段大きめのものを選び、Final EタイプやAzla Sedna Crystal/Maxなど色々試してみました。
まずVenturaとHS3000それぞれ個別に感想を書いてから、双方の向き不向きなどを比較してみたいと思います。
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| Ventura |
まずDita Venturaの方ですが、こちらは何度聴いても感想がなかなかまとまりません。2025年11月の発売直後に試聴してからたびたび試聴する機会があったのですが、そのたびに悩まされて、まだ結論に至ることができません。
音が悪いというわけではなく、むしろ逆に、あまりにも普遍的なバランスに調整されているため、なかなか特筆すべき個性みたいなものが見いだせずにいます。単純に言えば凡庸で無難なサウンドなのですが、それだけでは済まされない何かがあることは実感できます。
特定の音楽ジャンルに最適化されているといった特徴でもあれば、何度か試聴を繰り返すことで弱点も徐々に暴かれるわけですが、Venturaはそういった先鋭な感じではなく、なんというか普通で、これといって特徴も無いと思えてしまうものの、いざ同じ次元で競合するようなイヤホンを挙げろといっても見合うような候補が思い浮かばない、そんな感じのイヤホンです。
| Amazon |
そんなVenturaの凄さを最大限に引き出せるアルバムを考えてみたところ、LSO Liveの新譜でNoseda指揮LSOのチャイコフスキー6番が絶好のパートナーでした。
あいかわらずLSOのアルバムは演奏と音質のレベルが高いです。The Barbicanコンサートホールという本拠地があるおかげで、オケと現場の音響スタッフが一丸となって音質向上を志しているのが実感できます。とくに最近になって音質がどんどん進化しており、自主レーベルを発足した2000年ごろの録音と比べると天と地の差が感じられます。
このようなパワフルで情熱的な交響曲はまさにVenturaが得意とする演目です。チャイコフスキーらしい弦楽器の荒波や金管楽器の咆哮といったサウンドにドライバーやハウジングが負けず、実にスケールの大きな演奏風景を描いてくれます。
ステレオ音場展開が縦横に広く、音像の安定感と分離が良好で、広い空間の明確な位置にオケの楽器が定まってくれます。楽器を描く線はそこまで細くないため、空間が広くてもスカスカな感じはせず、音色で余白をしっかりと埋めてくれる力強さがあります。逆に言うと、音色の隙間の余白からうかがえるホール音響の奥行きみたいなものはそこまで強調されません。
さすがにここまでハイエンドなイヤホンになると周波数特性には目立った不具合は無く、低音の緩さや高音の刺激もしくはヌケの悪さといった問題はありません。プレゼンテーションの傾向としては派手さや疲労感が少なく、何時間も聴いていられるようなリラックスした描き方です。あまり自分から率先して情報を拾いに行くという感じではなく、まるでスピーカーが部屋全体を音楽で満たしてくれているような余裕があります。
高価なイヤホンでも、たとえば高解像モニターのような性能を追求しているモデルだと、音楽鑑賞用としては退屈で感動が伝わってきませんし、逆に響きの美しさを誇張するイヤホンでは、低品質な楽曲を美化してくれる効果はあったとしても、このチャイコフスキーくらい質感やダイナミクスが優れた高音質音源だとかえって過剰な味付けが裏目に出て、暴力的で雑な鳴り方になってしまいます。Venturaはこのあたりのバランス感覚や基礎性能がとても高いので、Ditaの開発チームが優れた音源やオーディオシステムを使って入念に作り込んだことが実感できます。
Venturaはとくに音像の太さや空間の埋め方が上手で、ソロ楽器が活躍する場面ならそれらがしっかり主張して、大編成のバンドやオーケストラなら全体が無理無く収まるサイズに仕上げてくれるといった具合に、ケースバイケースでジャンルを問わず順応力が高く、死角がありません。おかげで歌唱や合唱入りの大編成オーケストラ楽曲など、スピーカーや大型ヘッドホンで鳴らしたくなるタイプのアルバムでVenturaの凄さが際立ちます。
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| Dita Perpetuaと比較 |
その点では、Ditaの前作フラッグシップPerpetuaと似ている部分もあります。Perpetuaも広大な空間のスケール感や、大編成の音源を余裕を持って描いてくれるあたりに魅力を感じましたが、逆にそちらに特化しすぎていた傾向もあります。VenturaはそんなPerpetuaの特徴を活かしつつも、個々の音像の輪郭や力強さも強調してくれるおかげで、Perpetuaは凄いイヤホンだけどフワフワと広がりすぎて掴み所がないと感じていた人はVenturaに満足できると思います。
このような大編成の音源が得意というVenturaやPerpetuaの性格はDitaの初代フラッグシップDreamでも感じられました。私が2016年にDreamに感銘を受けて購入したのも、当時のイヤホンとしてはオーケストラ音源の描き方が格別に凄かったからです。その頃はクラシックのハイレゾ新録音源が続々リリースされはじめた時期で、スピーカーシステムで聴けばCDを凌ぐ新世代の音響体験を実感できたのに、ポータブルオーディオではいまいちメリットが引き出せなかったところ、Dreamが見事に実現してくれたわけです。
余談ですが、当時のハイレゾ音源のメリットというのは、44.1kHz/16bitと比べて96kHz/24bitフォーマットの方が音が良いという安直な話ではなく、レコーディングセッションからマスタリングまでの全工程でハイレゾを意識して水準を高めたリリースが増えたおかげで、とくにクラシックなど生楽器主体のジャンルでメリットが実感できたわけです。
Dreamの問題は、高音質なハイレゾクラシック音源では凄いサウンドを引き出してくれたものの、質が悪い楽曲では容赦なく耳障りな刺激を生んでしまい、とくに当時はストリーミング黎明期で過度に圧縮された音源を聴いている人も多かったこともあり、賛否両論分かれるイヤホンでした。
そんなDreamやPerpetuaにてDitaイヤホンの凄さと扱いの難しさを体験してきたことで、今回Venturaは意外と普通に誰でも満足できるようなサウンドに仕上がっていることに驚いたわけです。
それでもDream・Perpetua・Venturaに共通点があるとするなら、サウンドの立体展開の部分で設計者の思惑が感じられ、とりわけスピーカー的な体験に近づけるように空間プレゼンテーションを入念に作り込んでいる印象を受けます。
具体的にどのようなスピーカーというのはわかりませんが、DreamからPerpetuaでその傾向が極端に強まり、そしてVenturaではさらに進化を遂げたことで、まるで自宅のリスニングルームで王道の3-5WAYくらいの堂々としたフロアスピーカーを鳴らしている時のような感覚で、つまりスタジオモニター環境とは根本的に異なる音楽観賞に寄せた体験です。
具体的には上下左右の展開幅や、音像が空間の余白を埋めるような定位配置、そしてオーケストラの大迫力を描き切るダイナミクスといった要素が、家庭用のハイエンドフロアスピーカーを正解とする優れたオーディオ体験の定義に近づけています。
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| HS3000 |
続いてHS3000のサウンドについて、こちらはVenturaを聴いた後だとプレゼンテーションが大幅に異なる事に驚かされます。
HS3000の方が音場の広がりがコンパクトで、まるで顕微鏡的を覗き込んでいるような聴き方になります。
空間展開は広ければ広い方が良いと思うかもしれませんが、HS3000の場合はむしろ逆に、前方視野に収まる円の中で音楽が繰り広げられることで、あれこれ翻弄されず音楽の核心に集中することができます。まるで水晶玉を覗き込んでいるような感覚といえば伝わるでしょうか。
ステレオの左右が狭いというだけでなく、低音と高音が上下に分離せず、同心円上の中心に合わせて鳴っている感覚があります。多くの人は無意識に一般的なスピーカーの空間配置(ツイーターが上でウーファーが下)が正しいという先入観に縛られていますが、HS3000はむしろアラインメントがピッタリと揃ったコンパクトニアフィールドや静電型スピーカーのような同軸的な表現が近いです。
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MirareレーベルからGaspard Dehaeneのピアノアルバム「Fauré en héritage」を聴いてみました。
単なるフォーレ作品集ではなく、ラヴェル、リリブーランジェ、オベールといった、フォーレのパリ音楽院教授としての影響を回想する選曲集となっています。演奏しているDehaene自身がフォーレからコルトーと続く伝統の中心地エコールノルマル音楽院の教壇に立っていることもあって、単なるピアノ演奏が上手い若手アルバムとは一線を画す渋味みたいなものが堪能できます。録音も音質に定評のあるドッビアーコのマーラーホールなので素晴らしく、まさにクラシック音楽の魅力が凝縮されたようなアルバムです。
このアルバムは最近聴いた新譜の中でもとりわけHS3000のポテンシャルの高さを実感できる一枚です。
もちろん壮大なオーケストラとかも難なく鳴らしてくれますが、むしろこれくらいシンプルなソロピアノ録音を聴いた方がHS3000の凄さを理解しやすいと思います。ピアノだけの一見単純な作品でも、ここまで奥深い情報や情景を引き出せるのかと驚かされます。
ピアノの最低音から最高音までの全域が同じポイントソースから鳴っているような統一感はHS3000に限らずシングルダイナミック型の利点ですが、そんな中でもとりわけHS3000はピアノのフレームが歪むような低音の強烈な和音から、目まぐるしい高音の素早い打鍵まで、広大なダイナミクスを統一された質感と表現力で描いてくれるのが凄いです。振動板にミリンクスとベリリウムの複合ドームを採用しているということで、高音に余計なエッジやキラキラ感が加わるかと懸念していたところ、むしろ逆にそのような味付けを一切感じさせない素直な鳴り方に驚きます。
ピアノの弦や響板といった部品構造から、その傍らにいるピアニストの実在感、そこから奥へと広がるコンサートホールの床や壁といった、マイクを通して収録された全ての情報が正しくリアルに伝わってくるので、つい身を乗り出して意識を集中してしまいます。
この「正しくリアルに」というのがHS3000のポイントだと思います。スピーカー越しの体験とはちょっと違って、収録マイクが自分の目となって、演奏をつぶさに観察しているようなリアルさです。
コンサートをYoutubeやDVDなど映像で見た方が、視覚情報が加わることでリアルさを補う手助けになってくれるわけですが、HS3000はそれに近いような感覚があり、聴覚だけでも頭の中でリアルな演奏の視覚イメージが浮かんできて、もっと集中して聴けば、さらに奥深いニュアンスが掴めるような期待が湧いてきます。大袈裟な言い方をするなら、じっと見つめればピアノの奥にあるステージの壁の色まで想像できるようなポテンシャルが感じられます。
クロスフィードなどのギミックが無い状態でここまで中心にフォーカスが効いているサウンドというのは、それだけ左右信号の整合性が正確で、仮想音像が形成できているのだと思います。ボーカルだけがセンターに結像して低音や高音はまとまりがなく四方に分散するといったタイプのイヤホンは多くても、HS3000のように全帯域がピッタリとフォーカスするのは極めて稀です。そして奥行き方向で何層ものレイヤーに細分化されており、これがつまり顕微鏡のようにじっくりと集中して聴かせる感覚に繋がっているようです。
私の率直な感想としては、HS3000は凄さを理解するのに時間がかかる難解なイヤホンだと思います。わかりやすく派手に高音質というのとは真逆で、リスナーは集中を強いられ、専念すればするほど奥底まで見通せるようなサウンドです。難解な文学作品とか、一流シェフの創作料理みたいな感じで、表面的に接するだけなら大した感想もなくスルーしてしまいがちですが、じっくり腰を据えて理解しようと心がけることで深みにはまっていく感じです。
逆にネガティブな言い方をするなら、本当にこういった難解なサウンドのイヤホンが必要なのか、という疑問も沸いてしまうのが弱点といえるかもしれません。高価なイヤホンを求めている人の多くは、もっと派手でエキサイティングな方が喜ぶ気がしますし、その点ではHS2000系の方がわかりやすいサウンドです。HS3000の方を好んで選ぶのは相当趣味に凝った人だと思いますので、その点AcoustuneがフラッグシップやステートメントとしてHS3000をこのようなサウンドに仕上げたのはずいぶん気骨があります。
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| HS2000 MKII |
2024年モデルのHS2000 MKII (ACT05)と比べたらどんな感じだろうと興味が沸いて聴き比べてみました。こちらは27万円のモデルなので、HS3000と比べるとだいぶお買い得に見えてきます。
いざ比較してみると意外と大きな差が感じられました。ACT05とACT08で一見同じようなドライバーモジュールなので不思議です。技術設計の進化のおかげなのか、それとも価格差に見合うくらい材料や製造コストの差が音質に直結するのでしょうか。
HS2000 MKIIは温厚な中に輝く美しさが見え隠れする感じが結構好きなのですが、HS3000と比較すると、たとえばJVCウッド系のように、なんとなく雰囲気で押し切るような甘さが感じられます。奥行き方向の分離や立体感が希薄で、全体的に厚いカーテンのようなゆったりした音色に浸るのは良いのですが、HS3000を聴いた後だと置くまで覗けない見通しの悪さがもどかしく感じます。
ACT47モジュールを搭載するHS2000 MK3の方がもうちょっとシャキッとした鳴り方で、見通しの悪さはだいぶ払拭されますが、クリア感で聴かせるあたりはFinalっぽい感じもします。私はHS2000 MK3の鳴り方は結構好きなのですが、やはりHS2000 MK2とMK3のどちらも特定の音楽ジャンルとの相性を狙って使い分けるような印象があるあたり、全体的に死角の無いHS3000との格差がなんとなく実感できてしまいます。
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| Madoo Typ930 |
せっかくなので兄弟ブランドのMadoo Typ930とも聴き比べてみました。こちらはBAの明るさはあるものの、根底には平面型のリニアで薄味な描画が中核にあるので、HS3000とは両極端に位置する印象です。
映画サントラやBGMなど広大な臨場感を味わいたいならTyp930の方が向いています。スケールの大きさという点ではVenturaと似ているかもしれませんが、Typ930はもっと発散した空間展開で、Venturaは重厚なフロアスピーカーのようなレイヤーの積み重ねという違いがあります。どちらにせよHS3000のような質感に集中して聴くような性格ではないので、AcoustuneとMadooで方針を大きく分けていることが実感できます。
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| HS3000にHS2000 MK3のケーブル |
今回HS3000でもうひとつ気になる点として、付属ケーブルが大層凄いと書いてあるので、HS2000 MK3に付属していたものと交換して聴き比べてみました。
結論として、違いがわかるくらいの差が感じられますが、HS3000のケーブルの方が明らかに上というほど単純な話でもありません。私の感覚ではむしろHS3000のケーブルの方が個性が強く、低音が豊かで全体のばらつきを抑えて丸くスムーズにまとめてくれるような感じで、HS2000 MK3のケーブルの方が一般的な高解像系の高級アップグレードケーブルの感覚に近いです。
どちらにせよチューニングを崩すようなクセや相性の悪さは無いので、かなり良いケーブルだと思いますし、社外品に交換するメリットも無さそうです。現時点ではHS3000のケーブルは単品で別売していないようですが、このケーブルであれば、たとえばこれまでのAcoustuneやMadooイヤホンに装着してみると面白そうです。
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| どちらが良いのか |
そんなわけで、Dita VenturaとAcoustune HS3000をじっくり試聴してみたわけですが、試聴期間中のことを振り返ってみると、それぞれ無意識にだいぶ異なる使い方を行っていた事に気がついたので、その観点から自分なりに両者の違いについてなんとなく掴めてきました。
私は毎週クラシック新譜のチェックを欠かさないのですが、とくに最近はマーラー交響曲のリリースが多く、佐渡裕とTonkunstlerの8番、Roth Les Sièclesの大地の歌、Jurowski LPOの9番、チョンミョンフンとコンセルトヘボウの9番といった具合に、じっくり聴くのが追いつかないくらい良さそうなアルバムが続々登場しており、そういうのはHS3000よりも絶対にVenturaの方で聴いてみたいという気分になります。とくに8番の合唱とVenturaの組み合わせは圧巻です。
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| Cayin HA-3A |
さらにVenturaを駆動するアンプも普段のDAPに限らず、最近登場したQuestyle SIGMA Proを通したり、据え置きDACのChord DAVE、さらにはオール真空管のCayin HA-3AやHA-6A MK2といった色々な条件で鳴らしてみたくなります(Venturaはインピーダンスが高めなのでノイズを気にしなくても良いのも利点です)。
イヤピースもあれこれサイズやブランドを試してみると、とくに低音の左右の回り込みを調整できることに気が付き、まるでスピーカーのトーインを調整しているような気分になります。
総じてVenturaは大型ヘッドホンのような使い方、もしくはそれを超えてスピーカーオーディオのような感覚で、周辺機器から設置(装着)の試行錯誤に至るまで、かなり趣味性が強く、オーディオマニア的なこだわりと努力を楽しんで実践できる人に向いているようです。
イヤホンよりもヘッドホンに近いという観点では、とくに低音の回り込む感覚は開放型よりは密閉型寄りなので、身近にある密閉型ヘッドホンとあれこれ比較してみたところ、まず明らかに平面駆動型ではなくダイナミック型ヘッドホンと同類で、その中でもFocal Stelliaが一番近いように感じました。Stelliaの方が若干広めですが、Venturaの方が細部の描写は一枚上手です。
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| これだけで完結して目移りしません |
HS3000の方は、最近のクラシック新譜をチェックしている中でもVenturaとは全然違うタイプのアルバムを聴きたくなります。
NaxosのGiltburgラフマニノフ最新巻、ChandosのImogen Cooperベートーヴェン後期ソナタ集、ChallengeのTrio 258 Bohemian Legacy、GlossaのLeila Schayeghビーバーロザリオといった具合に、ソロ奏者メインで演奏技術と楽器の音色の美しさを極限まで引き出したいような聴き方にはVenturaよりも断然HS3000を選びたいです。
再生機器に関しても、VenturaではDACやアンプをあれこれ試してみたくなったところ、HS3000では自分がレファレンスとして信頼しているAK SP3000をずっと使い続けて、目移りしませんでした。他のアンプでの鳴り方を吟味して遊ぶよりも、雑念を取り除いて、録音された音色を最高純度で引き出したいという気持ちが先行します。精巧にカットされたボヘミアガラスで蒸留酒を飲むような、無色透明な奥深さというと伝わるでしょうか。
そんなHS3000とVenturaのどちらも、もちろんポップやロックなど他のジャンルが破綻するとか相性が悪いというわけではなく全然問題なく楽しめますし、私の普段の新譜チェックでも、ハイレゾクラシック以外のアルバムリリースも沢山聴いています。それでもVenturaとHS3000で、つい魅了されて最後まで通して聴きたくなるアルバムはやはりハイレゾクラシックに傾倒してしまうあたり、どちらもハイエンドイヤホンらしいポテンシャルの高さを実感します。
他に私がよく聴く50-60年代のジャズやクラシック復刻盤とかは、あえてVenturaやHS3000を出すまでもなく、もうちょっと鮮やかさや美しさを強調するような、それこそAcoustuneではHS1900XやHS2000のACT03とか、DitaならProject-Mや過去の限定モデルProject 71なんかを使いたくなります。
おわりに
今回はDita VenturaとAcoustune HS3000という非常に高価なイヤホンを試聴してみたわけですが、結論から言ってしまうと、なにか劇的な革命というよりも、これまで脈々と受け継がれてきたシングルダイナミック型イヤホンの本流からは逸脱しておらず、誰が聴いても普通に良い音に満足できるような仕上がりになっています。
既存のイヤホンの鳴り方を熟知している人が現時点での頂上を目指すようなモデルなので、突飛な特殊効果を期待している人にはそこまで刺さらないと思いますし、特定の音楽ジャンルとの相性に特化したような強烈な個性もありません。
私の感想としては、たとえばゼンハイザーやAcoustune、Finalなど、すでに優れたダイナミック型イヤホンを使っていて満足しているのなら、VenturaやHS3000はそこから別次元のサウンドを提供してくれるわけではありません。しかし、それら既存のイヤホンではモデルごとに弱点や音楽ジャンルとの相性も拭えなかったところ、VenturaやHS3000もう一段上のランクで全体的な完成度の底上げが実感できるあたり、幅広い音楽ジャンルに対応できて、ユーザーの視野が広がるようなイヤホンだと思います。
今回の試聴では、むしろDitaとAcoustuneの音作りの違いに大きな発見がありました。シングルダイナミック型の頂点を目指しても、それぞれ別のゴールに向かっているようです。
Ditaはスピーカーリスニングの体験が根底にあり、それは前作Perpetuaでも感じられたように、スピーカーに慣れ親しんだ人が共感できる魅力があると思いますし、逆にAcoustuneはスピーカーでは実現できないイヤホンサウンドの限界を追求しています。
あえてVenturaやHS3000の弱点を挙げるとするなら、たとえばスピーカーの場合は一部屋に一台以上を設置するのが難しいので、どれか一台買うなら万能選手であることが重要になりますが、イヤホンは何本か所有して使い分けることが容易に実現可能なので、完成度の高さで頂上を目指す必要性がそれほど高くないという現実があります。単純に言うと、60万円のイヤホンを一本か、20万円の個性的なイヤホンを三本なら、後者を選びたい人も多いと思います。
それでもオーディオメーカーにとって今作のようなフラッグシップやステートメントモデルを作る意義はあると思います。
たとえばスピーカーの世界でも一昔前のB&Wの初代NautilusやKEFのMuonのように、明らかに普及価格帯ラインナップから逸脱したステートメントモデルの存在が末永くインパクトを残しています。
それらの存在意義というのは、開発陣がコスト度外視でノウハウをつぎ込むことによる可能性の追求と、同時に若手への技術継承の機会、そして新しいアイデアや新素材を積極的に導入することで今後の製品開発に活かすトリクルダウン効果といったあたりが思い浮かびます。
そこで今回のVenturaとHS3000ですが、どちらのモデルも非常に高音質ではあるものの、これらのポイントがいまいち伝わってこない印象を受けました。前作PerpetuaやHS2000の延長線上という感覚が強く、ステートメントな価格設定と説得力が薄い気がします。
逆に言うと、これまでのDitaやAcoustuneを愛用してきたファンにとっては、すんなりと移行できる通常モデルの最新型という安心感はあります。高価ではあるものの無駄なラグジュアリー演出ではなく中身に注力しており、一歩前に前進した音質であることは保証できます。その上で、後継機ではなくワンランク上のモデルとしての説得力が薄いというわけです。
懐に余裕のある人なら検討してみるのも面白いかもしれませんが、そこまで手が届かない大多数の人でも、2026年現在の最先端・最高峰サウンドの一角を把握しておくためにも、機会があればぜひ試聴してみるべきです。
個人的な願望としては、現在の中級価格帯10-20万円くらいで、もうちょっと王道を攻めたモデルの充実を期待したいです。
Acoustuneは個人的にHS1900Xに満足できているので文句を言う筋合いはありませんが、その下のHS1750Cuとは価格とサウンドのどちらも大きなギャップがありますし、その上のHS2000系に手が届く人でも、そこから十万円の交換モジュールを買い足すのはハードルが高いです。
DitaはProject MやMechaを見てわかるように、モデルごとに奇抜なアイデアで遊びすぎていて、純粋にフラッグシップ機からのトリクルダウンと呼べるようなメインストリームなモデルが常時不在です。
せっかく今回のVenturaとHS3000で凄いフラッグシップイヤホンを作ったのだから、次回作ではまた突拍子もない奇抜なアイデアで振り出しに戻るのではなく、フラッグシップで成功したコア部分だけを凝縮してコスト削減に専念したモデルを出してもらいたいです。
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