2022年12月7日水曜日

Astell&Kern SP3000 DAPの試聴レビュー

 Astell&Kernの新作ポータブルDAP SP3000を試聴してみたので、感想などを書いておきます。

Astell&Kern SP3000

2022年10月発売で価格は約50万円、前作SP2000が2019年登場なので、三年ぶり久々の新作フラッグシップということで、大きな期待とともに試聴してみました。銀と黒の二色から選べるようですが、今回は黒色のみ借りられました。

SP2000とSP3000

今回はAstell&Kernの最上級DAPになるわけですが、実はレビューとして書く話題はそこまで多くありません。というのも、AKは毎回フラッグシップ機に奇をてらったギミックなどは搭載せず、極めて「標準的」なDAPに仕上げているからです。

SP1000・SP2000・SP3000

直近のフラッグシップSP1000、SP2000、そして今回のSP3000と順番に並べてみると、どれも至ってシンプルな大型タッチスクリーンDAPといった感じで、毎回その時点での理想的な設計を模索して、純粋に音質だけを追求するというような、いわゆる「時代のレファレンス」的なアプローチを取っています。

大型ヘッドホンをも楽々ドライブできるハイパワーとか、NOS DACや真空管を駆使した濃い音色演出といった具体的なセールスポイントを求めているのであれば、他のメーカーの選択肢も色々とありますし、AK自身もKANNシリーズやSP2000Tなど特殊機能に特化したモデルを提供しています。それらと比べてSP3000はあくまで「イヤホンを中心に、音楽鑑賞を最高音質で楽しむ」という、ポータブルオーディオの本質を突き詰める存在です。

高級機ならではのデザインの美しさに魅了されたとしても、さすがに50万円という価格はDAPの中でも相当高価な部類ですから、実際に聴いてみて音質に説得力を感じるような人以外には無縁のモデルだと思います。

前作SP2000から三年もの期間が空いてしまったわけですが、最上級機というだけあって無闇に新作を連発するのではなく、その期間で業界に動きが無ければ、あえて後継機を出す理由も無いという方針なのだろうと思います。

SP2000は現役の期間が長かった印象があるものの、この三年間でDAPに求められる機能やユーザーの利用環境に大きな変化があったわけでもなく、今使っても古く感じることもありませんし、音質面では未だにトップクラスに位置するモデルだと思います。今回SP3000が登場したことで、むしろ買い替えのために手放されたSP2000の中古品を狙っている人も多いかもしれません。

Nutube搭載のSP2000T

AKとしても三年間のギャップは流石に長かったのか、昨年2021年にはSP2000Tというモデルを出しています。45万円だったSP2000と比べてこちらは30万円と若干安めの価格設定で、シャーシもステンレスや銅ではなくアルミのみ、しかしその代わりにNutube真空管を搭載するという異色のモデルでした。

個人的な印象としては、SP1000とSP2000の間にSP1000Mという廉価版コンパクトモデルが出たのと同じように、このSP2000Tというモデルはフラッグシップ間のつなぎのような意味合いと、さらにNutubeという新たなサウンドの市場評価を得るための意欲的なコンセプトだったように思います。

SP2000と比較

そんなわけで、正真正銘のフラッグシップとしてはSP3000が三年ぶりのアップデートになったわけですが、デザインもそれなりの時代の流れを感じさせてくれます。

まずシャーシサイズは最近のトレンドに合わせて大きくなっており、画面サイズは5インチ720×1080から5.46インチ1080×1920のフルHDに拡大され、重量も410.8gから493gへと重くなっています。

ちなみにSP2000ではステンレスと銅の二種類から選べたところ、SP3000は今のところステンレスシャーシのみで、黒と銀の二色が用意されています。私はステンレスが好きなので構いませんが、AKといえば銅シャーシのファンも多いので、今後また限定版とかで出るのでしょうか。

画面がフルHDになったのは素直に嬉しいです。やはり並べて比べてみるとフォントのドット感が低減されて、だいぶ見栄えが良いです。ストリーミングサービスのAndroidアプリをインストールする人が増えてきた事で、スマホと同じくらい大きく高解像な画面が求められるようになっているのでしょう。

画面拡大にともなってプレーヤーOSもアップデートされたらしく、個人的には従来のバージョンにだいぶ慣れていたせいで、最初はかなり戸惑いました。

SP3000のデザイン

中身に関して、まずD/Aチップに最新の旭化成AK4499EXを四枚搭載しているという点が挙げられます。SP1000はAK4497EQ、SP2000ではAK4499EQといった具合に、これまで旭化成のD/Aチップの更新とともにモデルチェンジが行われてきました。

旭化成というと、2021年の大規模な工場火災のせいで今後の展望が危ぶまれていましたが、今回ようやく新作チップを掲げて堂々復活したのは嬉しい限りです。

火災からまもない時点で、現行チップの生産を復旧するよりも新型チップへの移行へと注力するという発表がされたにも関わらず、「旭化成のD/Aチップは二度と手に入らない」というような希少性を煽る商売を行っていた業者が乱立したのが記憶に新しいです。

SP1000に使われたAK4497EQは一般的な電圧出力D/Aチップでしたが、続くSP2000のAK4499EQでは電流出力になったため、基板上に別途I/V変換回路が必要になり、さらに今回SP3000のAK4499EXではデジタルフィルター回路すら無くなり、別途デジタルプロセッサー(DSP)チップAK4191と組み合わせて使う構成になりました。

2チップ構成のAK4191 + AK4499EX

この2チップ構成というのは、工場火災よりもずっと前の2020年の段階ですでにAK4191 + AK4498というチップの組み合わせで披露されており、その当時はあくまでワンチップのAK4499EQを最上位として、AK4191 + AK4498の方はAK4497EQをベースにしており、オーディオメーカーに対する新たな提案というような話でした。

しかし火災やコロナの影響で先延ばしになり、怪我の功名というべきか、AK4498ではなく、AK4499EQをも上回る性能のAK4499EXを投入した新たに2チップ構成として再登場したような感じです。

そんなAK4191+AK4499EXのような2チップ構成というのは、新参オーディオファンにとっては珍しく見えるかもしれませんが、CDプレーヤーの時代には標準的な方式でした。

フィリップスのSAA7350+TDA1547通称「DAC7」や、ソニーCXD1244 + CXD2552Q「Pulse DAC」など、デジタルフィルターICでオーバーサンプリングしたデータをD/A変換ICに送るという組み合わせが当時は一般的であり、現在のようにD/A変換ICにフィルターが内蔵されてワンチップになったのは2000年以降、R2Rが廃れてデルタシグマDSPとDACの境界線が曖昧になってきた頃(CS4397やPCM1792など)が最初だったと思います。

もちろん当時と比べて現在は技術的に大きな進歩を遂げており、CDプレーヤー時代は64倍(2.82MHz)1bit デルタシグマでオーバーサンプルしたデータをD/A変換チップに送るのが主流だったのに対して(そもそもそこからDSDやSACDといったアイデアが生まれたわけで)、一方SP3000に搭載されているAK4191になると、入力信号を256倍(11.289MHz)7bit デルタシグマにまでオーバサンプリングできる高性能チップです。

このような2チップ構成は「全ての機能をワンチップに詰め込む」という現在のSoC的なトレンドに逆行しているわけですが、それなりにメリットもあります。

まずAK4499EQの時点でチップのパッケージサイズが128ピンという巨大なものになってしまい、物理的に実装がかなり面倒になっていました。今回AK4191+AK4499EXではそれぞれのチップが半分の64ピン小型パッケージになったおかげで基板上のレイアウトや電源信号線の取り回しもだいぶ楽になっています。

さらに、デジタルプロセッサーとD/A変換を分離することで、基板上の電源回路や電磁シールド、グラウンドパターンなど最適化や個別のノイズ対策が可能になりました。

そして必ずしもDSPとD/Aチップが同じメーカー製である必要はなく、将来的にそれぞれのチップ単体で組み合わせを模索したりアップグレードすることも可能になります(もちろんユーザーではなくメーカー側の話です)。CDプレーヤー全盛期に活躍したバーブラウンPCM1702なども、NPC SM5804やSM5840といったオーバーサンプリングDSPチップが登場するたびに性能アップが望めましたし、旭化成もその当時からAK4114といった優れたオーバサンプリングDSPインターフェースチップを作っていたのを思い出します。

最近ではFPGAを使った独自のオーバーサンプリングアルゴリズムを駆使しているメーカーも増えてきましたし、チップメーカーのレファレンス回路に依存しない柔軟な設計が容易になるかもしれません。

そんなわけで、今回SP3000に搭載されているAK4191+AK4499EXという構成は、それ単体での紙面スペックの優劣ではなく、信号や電源経路などを含めた基板設計において、もっとホリスティックにメーカーごとの独自性や作り込みが反映されるようになったのが最大のメリットだと思います。

逆に言うと、安易にAK4499EXを搭載しても実装が悪ければ音が悪い製品も作れてしまうわけで、そういった意味では旭化成にとっても諸刃の剣になってしまいます。

また、USBやS/PDIFデコーダーからオーバーサンプリング、D/A変換、電圧出力まで(しまいにはヘッドホンアンプ回路まで)ワンチップICで手軽に済ませたいメーカーにとっては、このAK4499EXというのは非常に使いにくいチップになります。

SP3000の回路設計にて、もう一つ面白いのは、シングルエンドとバランスでそれぞれ独立したD/Aチップを搭載している事です。これもAK4499EXチップが小型化されたメリットによるものでしょう。通常であれば、バランス出力の片方だけを取ってシングルエンド出力に送るのが一般的であるところ、SP3000ではAK4191 DSPチップ以降、バランス用にAK4499EXを二枚、シングルエンド用にも二枚、合計四枚も搭載しており、後続するI/V変換やヘッドホンアンプ回路もそれぞれ独立しているようです。

公式サイトによると、このクラスの回路になるとシングルエンドとバランス出力を切り替えるスイッチの性能がアナログ信号のボトルネックになってしまうため、それを解消するためにデジタル信号の段階から根本的に二系統に分けたとの事ですが、これは据え置き機でもなかなか見ないような奇抜で贅沢なアイデアだと思います。逆に言うと、変なオカルト思想ではなく実際に音質に影響がありうる部分にて物量投入を行っているというわけで、フラッグシップ機に相応しいコストのかけ方として説得力があります。

D/A変換以降のアナログアンプ回路に関しては、AKはどのモデルでも非公開にしています。中華系DAPメーカーだと、どのコンデンサーやオペアンプを使っているなどでマウント合戦になっているわけですが、実際のところ音質というのは、チップの品番や銘柄よりも、基板上の実装や電源などの配慮による貢献が大きいため、AKはあえて低次元な競い合いを避けているようです。

それ以外の部分では、CPU SoCはSnapdragon 665に8GBメモリー、そしてTERATON ALPHAチップを搭載しています。このTERATON ALPHAというのは電源管理とデータインターフェースを任されているチップセットのようで、AKはいつも自慢しているのですが、どの説明を読んで具体的な数字などが書いていないので、既製品ICと比べて何が凄いのかイマイチよくわかりません。

SP3000の外観

SP3000のシャーシがステンレスのみになった理由としては、これまでの一般的な316ステンレス(調理用具とかでよく使われるやつ)ではなく、新たに904Lステンレスを採用したためだろうと思います。

この904Lというのは一般的なステンレスと比べてクロムとニッケルをかなり多く含んでおり、酸性の腐食に強いということで、マリン製品やロレックスなど高級ダイバーズウォッチに使われている事で有名です。

実際にDAPが腐食するような状況は稀でしょうけれど、最高級モデルとして最上の素材を選んだという点では納得できます。

綺麗な仕上がりです

さらに今回は削り出しのヘアライン加工ではなく厚めのコーティングが施されており、これまでとは質感がずいぶん違います。

ツルツルした感触はクロムメッキのような感じもしますが、もうちょっと薄手でエッジがクッキリしており、公式サイトによるとイオンプレーティングと書いてあるので、これまた高級腕時計などでよく見るタイプの表面処理です。

ボリュームノブ

ボリュームノブやボタンの統一した質感を見ただけでもAKのクオリティの高さに関心します。やはりこのあたりが他のDAPメーカーがどれだけ高級志向を演出しようとしてもまだまだ追いついていない事を明確に表しているように思います。

LEDの光が本体の奥から漏れ出して、宝石のようなカットのボリュームノブに乱反射する演出は、もしノブが別の素材でできていたら成金趣味っぽく見えてしまうところ、シャーシと同じイオンプレーティングの質感に統一させて、しかもノブを保護するシャーシの直線的な傾斜の内側に収める事で、派手に主張せずにスッキリとまとまっています。

ボタン周りのエッジの陰影

反対側のトランスポートボタンを見ても、三つのボタンの真ん中を三角形のエッジの頂点に配置することで、美しい陰影の演出とあわせて、目視と手触りのどちらでも、どのボタンを押すべきか判別でき、さらに側面から圧迫されても三角の頂点がバンパーの役割を果たして誤動作を防ぐという、実に素晴らしいデサインです。

他社からどれだけ金銀財宝のような高級DAPが出ていても、やはりAKはこういった質感とユーザビリティを前提としたデザインのトップを独走しています。買ってもらうためというよりも、むしろ購入後にユーザーが末永く愛用できるような嫌味のないデザインというのはこういうものでしょう。

シンプルな背面

背面にはガラスの奥に幾何学模様が描かれていたのですが、借りた試聴機には本体上面と背面に保護シールが貼ってあったため、はっきりとは見えませんでした。ケースに入れて使っていると、背面はつい忘れてしまいがちです。

付属レザーケース

こういうタイプです

ケース装着時

付属レザーケースは緑色で、これまでとは一味違ったマットな質感なので、ラグジュアリー感は以前のパテントレザー調と比べると一歩劣るように思います。

最近のDAPは放熱のために派手なメタルグリルとかを設けているケースが増えてきていますが、こちらはあくまで普通のブックカバーのようなスタイルで、タブを織り込むことで全周を保護します。

ちなみにSP3000の公式サイトを見ると、付属品に「専用ゴートスキンレザーケース(Green)」と書いてあり、多分これの事だと思うのですが、さらに別のページに「SP3000 Case」というのがあって、スムーズな黒色のケースの写真があるので、そちらは別売品でしょうか。知らずに買った人はちょっと混乱しそうです。

USB-Cとカードスロット

出力端子

カードスロットはSP2000と同じように底面にバネ式が一枚あります。USB-C充電はQC3.0対応だそうです。さらに個人的に今回の目玉として、新たに4.4mmバランス出力端子が用意されているのは嬉しいです。

最近のAK DAPは4.4mmが搭載されるようになったので、当たり前のように思えてしまいますが、そういえば三年前のSP2000の頃はまだ2.5mmバランスのみでした。

アダプターが不要になりました

ちなみに私はSP1000やSP2000を使う時に、上の写真のような2.5mm→4.4mm変換アダプターを通して使っています。これはこれで面倒というほどではないのですが、アダプターの品質次第でサウンドが結構変わってしまうようなので(こういうアダプターの中身は極細の線材やフレキシブル基板だったりするので)、アダプター無しで4.4mmケーブルが使えるようになったのは嬉しいです。

インターフェース

SP3000はこれまでどおりAK独自のプレーヤーOSがメインになっており、Androidベースではあるものの、他社のDAPのような素のAndroidホーム画面やGoogle Playは用意されていません。

主要なストリーミングサービスやROON ARCなどはAKプレーヤーアプリ内の機能として対応しているか、AndroidアプリをXAPKでインストールするなど色々とできるようですが、私の場合はカードからのファイル再生しか使わないので、今回は試しませんでした。

SP1000と比較

デザインがだいぶ変わりました

設定メニューなどはいつもどおりです

画面の高解像化にともないプレーヤーアプリが大幅にアップデートされたようで、使っていてかなり戸惑いました。

メニューや設定画面などに一旦行ってしまえば、そのあたりは従来とほとんど変わっていないのですが、トランスポート画面のボタン配置が色々と入れ替わっているため、従来機に慣れていると変なところに飛ばされたりして混乱します。

そういえばAK380からSP1000になった時もインターフェースが変わってずいぶん戸惑った記憶がありますが、今となっては快適に使えているので、今回も慣れればきっと大丈夫でしょう。

CDジュエルケース風ブラウザー

Now Playingの赤タブ

今回の新型インターフェースで一番面白いのが、CDジュエルケース風のブラウザー画面です。

このモードは、画面右上のアイコンで通常のグリッドブラウザー画面と切り替える仕組みで、横にスワイプして観覧するだけの、実用上そこまで役に立たない、ただのおもしろギミックなのですが、私みたいにジャケット画像をファイルに埋め込んでいる人は、こうやって綺麗に陳列されると嬉しくなってきます。

ジュエルケースのオーバーレイも高解像で本物そっくりですし、再生中のアルバムにはNow Playingの赤タブが表示されるのも昔のCDショップのレジ前みたいでセンスが良いです。

不満をひとつ挙げるなら、このジュエルケース画面は、パッと見で普段のトランスポート画面と混同しやすく、それぞれボタンの位置や挙動の違いで戸惑うことが何度かありまました。

もう一つ、しょうもない要望ですが、DSDファイルはSACD用ジュエルケースのデザインにしてくれたら、私みたいなSACDファンも喜ぶでしょうし、本物と同じように観覧時に見分けやすくなると思います。

フィルター切り替え

Digital Audio Remaster

デジタルフィルターは旭化成DACの標準的なタイプが用意されています。以前のAK DAPならデフォルトのフィルターはどれか書いてあったのですが、今回はそれがありませんね。任意で好みのフィルターを選べという事なのでしょうけれど、AK自身が開発時のレファレンスにどのフィルターを使っていたのか知りたいです。

さらに今回はフィルターとは別にDigital Audio Remaster (DAR)という新しい機能が追加されました。画面上部のスワイプショートカットからもON/OFFができます。

これはいわゆるハイレゾアップスケーリング機能で、DACのデジタルフィルターに送る前にシステム上でPCM352.8kHz・384KHzかDSD11.2MHzへとアップスケールするようです。なにか特殊な補間アルゴリズムを駆使しているのかは不明ですが、最近は特にストリーミングサービスで44.1/48kHz・16bit音源メインの人が多いので、有用な機能だと思います。

ショートカットから

個人的に一つだけ不満があるとするなら、スワイプダウンのショートカットからはDARのON/OFFしかできず、PCM・DSDの切り替えは設定メニューに行かないとできないのが面倒です。

こういう音質関連のギミックはリスニング中に交互に切り替えて「聴き比べ」をするのが楽しいわけですから、できればショートカットからもOFF→PCM→DSDみたいな感じに巡回できれば便利だったと思います。

出力

いつもどおり1kHz 0dBFSサイン波を再生しながら負荷を与えて歪みはじめる(THD > 1%)最大出力電圧(Vpp)を測ってみました。実線がバランスで破線がシングルエンドです。

近頃のDAPというと、アンプのゲインモードの切り替えなど選択肢が多く、いちいち測るのも面倒くさいのですが、その点AKは相変わらず「バランス」「シングルエンド」の二種類しか無いため、とてもありがたいです。

一応「ライン出力」モードも用意されているものの、ヘッドホン出力のボリュームが特定の電圧(2Vrmsとか)に固定されるだけの機能なので、グラフには載せませんでした。

SP3000の出力はSP2000と比べると大幅なパワーアップを遂げているのがわかります。アンプの出力特性としてはSP2000Tとほとんど同じなので、同世代の回路設計なのでしょう。

無負荷時の最大出力電圧はバランスで18Vpp(約6.5Vrms)というのはSP2000と同じですが、SP3000ではそれが200Ωあたりまで定電圧を維持できており、低インピーダンスでの電流出力の粘り強さが飛躍的に向上しています。特に最近はインピーダンスが低いヘッドホンなんかも増えてきたので、そういうのにしっかり対応できる近代的な設計に進化しました。

もちろん、ただ出力を上げるだけなら安価なDAPでも容易に実現できるのですが、そうすると音質的には最善でないICを採用することになったりするため、音質優先なら無闇に高出力を追い求めないという考え方も大事です。多分SP2000Tで新たなアンプの基本構想をテストした上で、満を持してSP3000に導入したという流れだと思います。

同じテスト信号で、無負荷時に1Vppにボリュームノブを合わせて負荷を与えていったグラフです。セオリー通りバランスよりもシングルエンドの方が1Vpp定電圧を維持できており、出力インピーダンスも公式スペックの0.7Ω、1.6Ωとピッタリ合っています。

SP2000と比べてアンプがパワーアップしても、出力インピーダンスが悪化していないのはさすがです。

参考までに、最近測ったDAPなどと比べてみました。やはりパワー最優先ならFiio M17が圧倒的です。M17のシングルエンドがSP3000のバランス出力と同じくらいで、しかも低インピーダンス側の粘り強さはM17の方が優秀です。

KANN MAXは無負荷時(つまり600Ωヘッドホンなど)での最大出力は圧倒的ですが、インピーダンスが低いと一気にパワーダウンします。バランス接続では200Ω付近でSP3000と交差するので、つまり200Ω以上のヘッドホンではKANN MAXの方が大音量が期待できるということでしょう。

ボリュームを1Vppに合わせて負荷を与えたグラフです。ここではMojo 2の横一直線ぶりが目立ちます。シングルエンド出力のみですが、低インピーダンスのマルチドライバーIEMなどではかなり有利な特性です。

それと比べると、M17はバランス・シングルエンドともに低インピーダンスで定電圧を維持できないため、ハイパワーとのトレードオフで一長一短といった感じです。SP3000はそれらの中間でちょうどよい特性を狙っているようです。

音質とか

今回の試聴では、私が普段から聴き慣れている64 Audio NioやUE Liveイヤホンなどを使ってみました。

SP3000はこういったイヤホンを鳴らすのにゲインが最適化されているため、これまでのSP1000やSP2000と同じような感覚で快適に使えます。

UE Live

まず第一印象として、さすがAKのフラッグシップというだけあって、なんだか他のDAPとは違う、特別なサウンドだと瞬時に実感しました。クセが強いというわけではないので、具体的に何が凄いのかはすぐにはわからないのですが、楽曲のポテンシャルを普段以上に引き出せているような気がしてきます。

退屈か派手かという点では、どちらかというとエキサイティングな傾向にあると思います。ドンシャリかカマボコかとなると、どちらかというと聴きやすく丸く収めているような感じです。とはいえ、そうシンプルには語れない複雑な鳴り方なので、なかなか表現しがたいです。

AccentレーベルからVáclav Luks指揮Collegium 1704のスメタナ「わが祖国」を聴いてみました。このオケは別名プラハバロックオーケストラとしても活動しており、この録音も2021年プラハの春音楽祭の開幕演目という由緒正しい録音です。

わが祖国というとモルダウしか聴かない、というか、他はドッシャンガッシャンうるさくてよくわからない、という人が結構多いと思いますが、この演奏は室内楽的な清閑さとスケールの大きさが両立している面白い解釈なので、全編通して聴いてみると新たな発見があるかもしれません。

Sunnyside RecordsレーベルからAubrey Johnson & Randy Ingram 「Plays Favourites」を聴いてみました。ボーカルとピアノ伴奏のみというシンプルなジャズアルバムですが、逆にこういうのの方がオーディオ機器の真価が問われます。

ニューヨークで活躍する二人で、録音もブルックリンBig Orange Sheepということで、内容もサウンドもお墨付きの優秀盤です。一曲目にMy Futureのジャズアレンジで意表を突きますが、そこからは主にスタンダードとブラジルをミックスしたカジュアルな選曲なので、とても聴きやすい一枚です。

私のHiby RS6と比較

SP3000を私が普段使っているHiby RS6と比べてみたところ、不本意ながら大きな格差を感じてしまいました。

RS6は音質面で個人的にかなり気に入っており、これまで他の高級DAPと何度も比較試聴して、十分に健闘していると思えたのですが、SP3000と比較されると流石に分が悪いようです。もし大富豪が現れてどちらか一つ買ってくれるとなったら、私なら確実にSP3000の方を選びます。

RS6はHiby独自のFPGA + R2RディスクリートDACというのを搭載しており、サウンド面でもそれを活かしたまろやかで豊かな鳴り方が魅力的です。カジュアルな音楽鑑賞を高次元で演出してくれるあたりが気に入っていて、発売から一年経った今でも毎日愛用しています。

そんなRS6ですが、ハイレゾクラシック楽曲の繊細な空間描写なんかは不得意で、主役の音色を中心に厚く描いて、空間がフワッと実態の無い雰囲気になってしまいがちです。もっと明確にコンサートホールの天井や壁の距離感やオケ奏者それぞれの解像感を最大限に引き出したい場合はSP1000を好んで使っていました。

SP1000は私にとって史上最高峰の空間音響を体験できるDAPだと思っているのですが、いかんせんパワーが弱いのと、音源のクオリティが伴っていないと薄く軽いだけの平凡なサウンドに成り下がってしまうのが難点です。たとえば試聴に使ったクラシックのアルバムはSP1000で聴いた方が断然良いのですが、ジャズボーカルはRS6の方が良い感じで、SP1000だとピアノとボーカルと背景の響きが対等すぎて、つい細かい情報を拾うだけの分析的な聴き方になってしまいます。そういった意味では、SP1000はAK DAPの中でもレファレンスモニター的な鳴り方に一番近いモデルかもしれません。

そんなわけで、シーンに応じてRS6とSP1000という二つのDAPを使い分けるのが、私なりのベストな回答というわけですが、私以外でも、このように性格の違う二つのDAPを持っていて、どちらか一つには絞れないという人は結構多いのではないでしょうか。そういった意味ではSP2000TやSE200などサウンドのモードを切り替えられるDAPや、SE180のようにアンプモジュールが交換できるDAPの存在意義にも納得できます。

SP1000の後継機であるSP2000はサウンドの厚みや押し出し感が増して、どちらかというとRS6の方向性に若干寄っていった印象があり、これ一台で全てをこなすDAPとしてバランスがとれたサウンドだと思いますし、高音質音源ばかりに特化せず、下手な楽曲でもそこそこ豊かに聴かせるような仕上がりは、この頃にストリーミングユーザーが急増したのとも上手く噛み合っています。

しかし個人的には、SP2000はSP1000の完全な上位互換とは言い切れず、音の力強さと引き換えに空間のスケール感が一歩劣る印象があり、しかし、そうはいってもHiby、Cayin、ウォークマンほど濃いスムーズ系の音色でもなく、どうもしっくりこないモデルでした。

そういった背景を踏まえて、改めてSP3000の何が凄いのかというと、ただ音が良いというだけではなく、SP1000とSP2000の良いところを見事に融合していると実感できるのです。

SP1000と比べると、SP3000は中域がそれなりに前に押し出されるようなサウンドである事は確かです。高音のエッジも柔らかめなので、レファレンスモニターというよりは、どちらかというと音楽鑑賞向けの積極的に聴かせるようなチューニングだと思います。一方SP2000と比べると、SP3000の方が空気の余裕があり、音楽をもう一段深いレイヤーまで見通せるような感じがします。

ジャズのアルバムでは、SP2000のようにボーカルとピアノがどちらも至近距離で重なるように主張しあうのではなく、それぞれ独自の立ち位置を持っていて、しかもその後ろにはスタジオの広い空間が感じられます。手前にいる演奏者と比べて、高音の空気感と低音の反響のどちらも演奏者と同じ平面上にはなく、もっと遠くへと拡散される感じです。シンプルに「分離が良い」とか「抜けが良い」というよりも、さらに立体感のある描き方です。

クラシックのオーケストラでも、SP1000のように遠方のステージをホール席から観覧している感覚ではなく、木管や弦など聴くべき楽器は目前に浮かび上がってきて、音色や質感が十分に味わえます。オケは実際よりも近めで、最初に聴いた時は「ずいぶん近いな、またSP2000と同じタイプか」と感じたのですが、もうちょっとじっくり聴き込んでみると、先程のジャズと同じように、演奏の後方にホールの空気感やステージ床の反響などが広がっているので、音圧や空気感といった観点では押しが強く感じません。

音楽が間近に迫るタイプのアンプと、遠く臨場感があるタイプのアンプのどちらでもなく、SP3000はそれら両方の特徴を効果的に組み合わせることで、より一層ダイナミックで、演奏の裏側まで見通せるような立体感を生み出す事に成功していると思います。

さらに生楽器の音色に関しても申し分無いです。高音の金属音やアタックの刺激が全く気にならないため、丸くロールオフしているのかと思えても、実際はしっかり上まで解像しています。低音も膨らまず、音像が定位置で安定しています。

艶っぽい美音を求めるのであれば、最近紹介したCayin N8iiなどを選んだほうが断然良いと思うのですが、SP3000はどちらかというとアンプによる色艶の乗せ方がそこまで強くなく、前後の立体感で音色の聴きどころを上手に引き出すような、自然な演出効果を狙っているようです。このおかげで、高級オーディオ機器を堪能しているというよりも、楽曲のポテンシャルを普段以上に引き出せているという感覚があります。

UE RR

私は普段のリスニングではUE Liveや64 Audio Nioなど、イヤホンマニアであればご存知の通り、比較的厚めで味付けが濃いタイプのイヤホンを愛用しています。

私の場合、DAPやアンプなどはそこまで頻繁に変えず、音楽ジャンルや楽曲の雰囲気にあわせて相性の良い個性的なイヤホンを選ぶような使い方をしています。その方が、真面目なレファレンス風イヤホンを使うよりも充実した音楽体験ができると思っています。

特にマルチBA型イヤホンでは、UEのReference Remastered(RR)というモデルも持っていて、そちらの方が断然高解像で見通しが良いと思っているのですが、SP1000などで聴くと薄味すぎて、あまり使う機会がありませんでした。ところが、今回SP3000を試聴してみて真っ先に「これはUE RRで聴くべきだ」と思い、実際に聴いてみると確かに相性が良いです。

同様の事は、たとえばゼンハイザーIE900とかにも当てはまると思います。UE RRやIE900は、DAPが薄味すぎると退屈で、逆に濃すぎるとクセが目立ってしまい、なかなか使い所が難しいのですが、SP3000はそういった優れたイヤホンのポテンシャルを引き出す事ができる数少ないDAPの一つだと思います。

逆に言うと、私が普段使っているイヤホンは個性が強すぎて、今回SP3000を試聴するにあたり、本来のサウンドが最大限に活かせていないような気分になってしまいました。できれば少し前に借りて感動したDita PerpetuaイヤホンをSP3000で鳴らしてみたかったのですが、もう返却してしまったので名残惜しいです。

Cellar Liveレーベルから「Tim Fitzgerald's Full House」を聴いてみました。ジャケットとタイトルで想像できる通り、ウェスのオマージュアルバムといった感じです。

音色や選曲はウェスを意識していますが、カバーバンドというよりはモダンで新鮮な演奏で、リーダーのギターとさらにピアノ入りトリオに三管という豪華なバンドです。NYではなくシカゴのTransient Soundというスタジオで録音したそうで、良い雰囲気が出ています。

このアルバムを含めて、ジャズは新譜でも44.1kHz/16bitのリリースが未だに多いため、ハイレゾダウンロードショップだけを巡回していては見逃しがちです。気に入ったレーベルはBandcampで定期的にチェックするのが良いと思います。

SP3000には新たなDigital Audio Remaster(DAR)というアップスケーリング機能があるので、それを試してみました。

このジャズアルバムは44.1kHz・16bitなので、DARをテストするのに最適なようで、確かな効果が感じられます。しかもDARのPCMとDSDモードでそれぞれ異なる雰囲気が得られるあたりも、DACのデジタルフィルターとかよりも変化がわかりやすいと思います。

DARの効果は一般的なアップスケーリングで得られる傾向と似ており、PCMモードでは高音を中心に全体的に粒立ちの良い高解像っぽいディテール重視のサウンドになり、DSDモードでは緩やかに流れるようなサウンドになる感じがします。DARをOFFにすると帯域が制限された素朴な鳴り方になるので(これが本来のサウンドなのですが)、DARをONにした時よりも、ある程度DARで聴いてからOFFにした時の方が変化がわかりやすいかもしれません。

楽曲によって相性はあると思うので、常時ONにするようなものでもありませんが、比較的悪影響が少なくサウンドに変化を与えるギミックとしては十分楽しめます。

音量はそこそこ出ますが

全てにおいて完璧かのように絶賛してきたSP3000なのですが、最後にあえて弱点を挙げるとするなら、やはり大型ヘッドホン駆動はちょっと厳しい場面もあります。

ポータブルDAPなのだから、それは当然だろうと言われるかもしれませんし、私もそれには同感なのですが、それでもあえて挙げておきたい理由があります。

最近はイヤホンリスニングにおいてDAPがどんどん進化していて、今回のSP3000のように、新作が出るたびに音質の凄さに驚かされます。

ところが大型ヘッドホンとなると、未だに古典的な据え置きヘッドホンアンプに優位性があり、ポータブルで鳴らすとイマイチしっくりきません。音量は十分に出せても、どうもフワフワして地に足が着かない平面的な鳴り方になってしまいがちです。

AKのラインナップを見ても、CA1000やKANNシリーズなどはあるものの、SP3000クラスの作り込みで大型ヘッドホンを鳴らすモデルは存在していません。もちろんiFi Audio micro iDSDシリーズやChord Hugo 2などヘッドホンを鳴らすのが得意なポータブルDACアンプも色々とありますが、近頃のDAPの飛躍的な進化と比べると、このあたりはどうも業界全体で手薄のような気がします。

せっかくSP3000を買っても、それをUSB OTGトランスポートとして別のDACアンプに接続するというのももったいない気がしますし、アナログポタアンも最近は本当に選択肢が少なくっており、しかも高出力なものは思い浮かびません。最近は特に密閉型で凄いヘッドホンが続々登場しているのに、それらをポータブルで鳴らせる環境が十分とはいえません。

そんなわけで、SP3000そのものの弱点というよりは、現状AKのラインナップの穴というか、もしSP3000を買ったとしても悩まされるであろうポイントとして、あえて指摘してみました。ようするに、どれだけ高価であってもDAPはDAP、それ以上の汎用性を期待すべきではないという意味です。逆に言うと、それくらいしか弱点が思い浮かびません。

追記:そんな事を書いていた矢先に、AK CA10というポタアンが発表されました。なんだか誘導ステマのようになってしまいましたが、発表されるまで知らなかったので、私自身結構驚いています。実際どのような音がするのか気になります。

おわりに

今回Astell&Kern SP3000をじっくりと聴いてみたところ、やはりポータブルDAPメーカーの頂点の座を譲る気配は無さそうです。他社の高級DAPを圧倒するフォルムや質感の美しさはもちろんのこと、サウンドにおいてもさらに上のレベルを提示してくれたように思います。

個人的に特に素晴らしいと思えた理由は、SP1000、SP2000と比べて、単純に音色の味付けや表現を変更したわけではなく、明らかな進化を実感できたからです。しかも、どんな楽曲を聴いてもそのように感じます。すでにAK DAPのオーナーであっても買い替えを検討する価値は十分にあると思います。

単純にD/Aチップを積み替えただけの手軽なリニューアルではなく、シャーシのデザインからサウンドに至るまで、これまでのフラッグシップを乗り越えるべく、この三年間着々と開発を進めてきた努力の痕跡が伺えます。新たなインターフェースOSも新世代を感じさせてくれます。あと、4.4mm端子追加も素直に嬉しいです。もしこれで2.5mmだけだったら購入をためらう人も少なからずいただろうと思います。

では実際に購入すべきか検討するとなると、いくつか考えなければならないポイントがあります。

私の場合、普段の通勤で使っているHiby RS6からのアップグレードとしては、サイズがずいぶん大きくなり、容積で1.5倍、重量も315gから495gに増えるとなると、相当の覚悟が必要です。毎日RS6を入れているバッグのサイドポケットにはギリギリ入りませんでした。

近頃はAndroidアプリ対応の関係上、どのDAPメーカーも大画面化しており、そうなるとシャーシも必然的に大きくなってしまいます。ソニーのウォークマンもM2になってずいぶん巨大化しましたね。

その点、私みたいにマイクロSDカードからのファイル再生に特化しているシンプルなユーザーとしては、それほどの大画面は不要なので、RS6や、SP1000の小型版SP1000Mくらいの、ポケットにスッと収まって、片手でスイスイ操作できるくらいのDAPがちょうど良いのですが、最近はフラッグシップ機でそのサイズは見つからず、中級機止まりになってしまいます。実際SP1000Mを買おうと検討した時も、音質面でSP1000の方が明らかに良かったため断念しました。

そんなわけで、今後は高音質DAPの頂点を目指すとなると、両手に余るような巨大なDAPに乗り換える覚悟が必要なようです。もちろん一旦それに慣れてしまえば、さほど気にならないだろうとは思います。

そうなると、やはり値段が問題になるわけですが、現状では他にも高級DAPを出しているメーカーが続々と増えているため、感覚が麻痺してしまったというか、もはや50万円という価格設定にも驚かなくなってしまいました。むしろ他社の50万円級DAPをこれまで色々と触ってきた事で、改めてAKのクオリティの高さに説得力すら感じてしまいます。

とはいえ私の財布では手が出せない価格帯なので、ひとまず身の回りのマニア友人が何人か購入するでしょうから、あらためて長期間使った上での評価を伺ってみる事にします。そのうち安くなったら買いたいとは思いますが、それにはまだ数年かかりそうです。

ともかく、今後当面の指標となる素晴らしいDAPだと思うので、実際に買えるかどうかは別として、ぜひお気に入りのイヤホンを持参して試聴してみてください。